見出し画像

しっとりとした風、冷静な頭。

久しぶりに乗った快速電車。混んでいるのが嫌という理由だけで、快速で止まる駅に住んでいてもいつも各駅停車の電車に乗る。

昨日は自転車に乗ってやってきた。飲み屋街の前でその姿を見つけた時には、もう走り寄っていた。

近くの駐輪場を探す彼、うちに停めなよと言えない私。この距離はいつになったら埋まるのか、埋まる前に終わるのかななんて、最近はよく考える。

バーを2軒回り、帰りは歩いて一緒に家まで帰った。いつものドライブももちろん好きだけれど、一緒にゆらゆら歩く帰り道がやっぱり好きだ。蒸し暑い季節がすぐそこまできていることを感じさせるような、少ししっとりした気持ちのいい風が酔いを覚ました。

その晩、とても嫌な夢を見た。たかが夢の出来事だけれど、正夢のような気がして少し彼を嫌いになりかけている。溶けてしまいそうになるくらい甘い彼の中に、夢に見たようなこびりつく苦さがあるような気がしている。本当に私は自分勝手だ。

前にも行った喫茶店で同じモーニングを食べた。恐らくまだ働いてから日が浅いであろうアルバイトの女性に、店主が朝から怒っていた。ウインナーコーヒーのホイップは甘くなかった。

来月の休日に出かける予定を立てた。その日まではこの関係が約束されているのだと少し安心した自分に違和感を覚えた。初めての感覚、永遠なんてものはないとわかっていて今だけ一緒にいる関係。気付いてはいたけれど、なんだかずっと寂しい。好きになりきれない自分に気付いてから、なにを求めたらいいのかわからなくなっている。

別に不幸でもなければ、幸せでもない。でも、無責任に先の約束を交わし続けている。付き合うということは、こんなに虚しいものだったかと一人で考えている。

やけに冷静な自分が少し怖くなるが、すごく頼もしくもある。私を幸せにできる唯一の人間が私なのだから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?