三浦春馬 作品レビュー ミュージカル「キンキーブーツ」
先に記しておく。
私は、ミュージカル「キンキーブーツ」を生で観ていない。
厳密に言うなら、この記事は「キンキーブーツ」の2016年版、2019年版のゲネプロ風景のYouTube動画のレビューだろう。
もっと言うと、この記事の最後の方なんて、作品のレビューどころか、三浦春馬君を失った、私のただの嘆きをぶちまけただけになっているが、もう許してほしい。
この記事に辿り着いた貴方なら、きっとこのミュージカルと三浦春馬君に、何らかの思い入れがあることだろう。
きっとそれは私も一緒だから、そこに免じてほしい。
「キンキーブーツ」のあらすじとミュージカル化にあたり
すごーく簡単に言うと、経営の傾きかけた靴工場の社長のチャーリーとドラァグクイーンのローラが出会って、その工場を復興させるまで頑張る話。
詳しくは、このミュージカルの原作となっている映画を観てほしい。(ちなみに、この映画はミュージカル映画ではない普通の映画なので、シンディ・ローパーの曲は出てこない。)
このストーリー展開自体はとってもシンプルで、そんなに深みもなく、ドラァグクイーンが救世主的に登場して成功まで導くというありがちな感じではある。
しかし、それがミュージカルになった時には、シンディ・ローパーのポップでキャッチーな楽曲に乗せての、キャストのダンスショー的な要素が加わりゴージャス感満載になるわけだ。
映画とミュージカルでは、若干ストーリー展開が違う所もあるみたい。
観たことのない「キンキーブーツ」を観た気になる。
何せ、行ったことがないものだから、こうなったら行った人の話を読んだり聞いたりするしかない。
読みまくった、2016年版、2019年版の「キンキーブーツ」を観に行った人の書いたレビューを。
しかも、春馬君ファンのレビューだと、ちょっと春馬君のことは贔屓目に観てしまってフェアでない感じがするので、なるべく普段からミュージカルを見慣れている、コアなミュージカルファンの人のを探したりなんかして。
多くの人は、春馬君のことは評価していた。
小池徹平君のチャーリーもソニンちゃんのローレンも良いけれど、このミュージカルの成功の鍵は、何てったって度肝を抜くほどのド迫力の三浦春馬君とエンジェルスの圧巻のパフォーマンスにあると。
まずは下の動画をフルで観てみて。
(人のレビューを読んでの解釈なので、本来の内容とは異なるかもしれないけれどもご容赦くだされ。)
ローラが舞台に初めて登場してくるシーンでは、観客席から歓声とどよめきが上がるという。
あまりに女性らしく、かつ、美しすぎて「あれ、本当に三浦春馬だよね?」的な大きな驚きと、実際、180cm近い身長に10数センチもするハイヒールを履くのだから、物理的にも大きく見えて、パワーみなぎるローラが憑依した春馬君から発せられる圧力が半端ないのだろう。
途中、男の格好でローラが出てくるシーンがあるのだが、そこでも少しざわつくという。
「どうやらさっきの凄いドラァグクイーンは、やっぱり三浦春馬だったみたいよ。」的な、そこで、春馬君の見事な変貌の遂げ方を再確認することになるのだそう。
このミュージカルの大きな特徴として、ローラとエンジェルズがパフォーマンスするシーンでは、客席の観客はミュージカルの観客というよりも、ローラとエンジェルズのパフォーマンスを観に来た客の役割と被る感じがあるという。
「お客さんも含めてキャスト」なのだろう。
だから、ローラもエンジェルズもお客さんを盛り上げて、お客さんもキャストを盛り上げて、最後の「Raise Me Up/Just Be」では、お客さんもミュージカルの世界の中に飛び込び、一緒に楽しんだ気分になるのだとか。
何、その一体感、めっちゃくちゃ楽しそう。
だから、毎度スタンディングオベーションなわけだ。
あぁ、私もその場に居たかった。
何はともあれ、春馬君の美しきローラだ。
身体的な役作りで言えば、ハイヒールに慣れるとか、原作同様、体をマッチョにするとかもあるのだけど、注目すべきは女らしい、科(しな)の作り方だろう。
この動画の中では、1分50秒あたりの春馬君ののけぞり方を見て!
下の動画は1分35秒ぐらいから始まるようにしたので、すぐそのあとの青い衣装の春馬君に注目。
ね?
めっちゃのけぞってて色っぽくない?
実際の所、実生活で女性はそんなにのけぞらないのだけど、あえて舞台上では、そこまでのけぞると、あら不思議、とてつもなく女性らしく、かつ、セクシーに見えるんだから不思議なものよ。
このシーン大好きで、ここばかり繰り返し何度も観ている。
そういう風に演出で言われてるんだろうけど、忠実に体現できる春馬君のローラは素敵。
もう一つ、科の作り方では、4分36秒あたりの「Raise Me Up」の「引きあ~げてあげる~」のところ、ローラだけ深くしゃがんでる。
深くしゃがむことによって、ドラマティックに見える。
それから、4分43秒あたりのローラの顔の残し方、4分49秒あたりの上に2回手を押し上げるところの口の形、口角上げて二って笑う。
この部分についてはこっちの動画の方がアングル的に見易いかも。
下の動画だと、顔の残しは4分20秒あたり、二って笑うのは4分26秒あたりから4分32秒あたり。
それから少し見づらいのだけど、下の動画の4分29秒あたりに、ローラが指で招くようなというか、指すようなジェスチャーをするんだけれども、これがめっちゃイイ!
何てキュートなの。
それから、ローラの一番の見せ場であろう「Hold Me In Your Heart」。
ま~、見事な歌いっぷり。
私はここまで本格的に春馬君が歌えることを知らなかった。
散々ボイストレーニングを積んできたことだろう。
声量も十分すぎるほどにあるし、音程も安定してる。
ローラの強さ、優しさ、繊細さ、同時に併せ持つ、弱さ、悲しさ、儚さみたいなものを一気にここで出し尽くす!
これ、目の前で歌われたら、私、絶対に泣く自信あるわ。
それぐらいの感動を与える、圧巻の歌唱。
この動画観るまで、春馬君がここまで出来るなんて思っていなかった。
ここで取り上げたのは、2019年版のゲネプロばかりだけれども、それはやはり、2019年版の方が良いから。
二度目で細かい所まで目が届いているし、表現力も深みを増している。
2016年のローラも良いけれど、2019年のローラの方がもっと好き。
このゲネプロですらこうなのだから、観客が入った本番はどれほど素晴らしいステージであっただろうか。
本番でローラはどう観客にアプローチしたのか。
私もこのフィナーレを一緒に迎えたかった。
あぁぁあああああ!
この数分の動画でも、見どころがこんなにもある。
これを観られるチャンスはもう絶対に来ないのだぁぁぁああぁああ!!!!
あうあうあう…。(涙)
悔しくて、何度も何度もYouTubeで動画を観て、もう「Raise You Up」の振りなんて覚えてしまった。
このやり場のない思いをぶつける所もなく、もう一緒に踊るぐらいでしか発散できない。
「Raise You Up」のフル尺ビデオは、この上の動画ぐらいしかないので、こればかり観て、これに合わせて踊っている。(海外キャスト版のサントラは出てるの知ってるけど。)
この動画は、世界中の「キンキーブーツ」のキャストがリモートで繋がって歌っているのだが、春馬君らジャパンキャストもほんの少しだけ映っている。
春馬君、楽しそうに歌ってるじゃないの。
アミューズさん、DVD化してくれたら買うから、受注生産でも、有料配信でも良いから、一度でもいいから、春馬君が演じた「キンキーブーツ」を見せてもらえないだろうか。
それが難しいなら、せめてこのCDの再販はできないだろうか。
どうしても手元に、このミュージカルの曲をフル尺で置いておきたい。
春馬君はローラという役をどうしても演じたいと思い、オーディションを勝ち抜いて掴み取ったと聞く。
その時点で、すでに映像媒体では沢山出ていて、顔も名前も売れていたのに、あえてのミュージカル、あえてのドラァグクイーン、大変なことばかりであったろう。
あえて苦境にチャレンジしていった、その気概を私は称えたいと思う。
ミュージカルスター・三浦春馬という逸材
(ここからどんどん話が逸れていき、もはや「キンキーブーツ」のレビューではなくなる。)
こんなに歌えて、芝居ができて、踊れる春馬君。
これから先も、ミュージカルの世界でもっともっともっともっと活躍できたであろう。
例えば、もう少し年を取ったら、「レ・ミゼラブル」や「ミス・サイゴン」に出たって良かったと思う。
レントヘッド(=ミュージカル「RENT(レント)」にハマった熱狂的なファン)の私としては、やはり春馬君には「RENT」にも出て欲しかった。
しかもそれは、日本人キャスト版ではなくて、ブロードウェイキャスト版の方に。
日本人キャスト版の方だと、もう春馬君ぐらいに売れすぎてしまうと、演るならロジャー(主人公の友人、2番手位の役)かなって思うけど、私が春馬君に演じて欲しいのは絶対的に、ブロードウェイキャスト版のエンジェル。
エンジェルも心優しきドラァグクイーン。
「RENT」の中では4、5番手だが、ストーリー上、重要な役柄のエンジェルはレントヘッドの間でも大人気のキャラ。
ステージに登場すれば、それこそローラと同様に歓声が客席から沸き、最後のシーンでは皆、大泣きする。
ドラァグクイーン続きでアレだけれども、春馬君がエンジェルを演じたらどハマりするのではないかと思っている。
春馬君なら、「Today 4 U」を完璧に歌って踊ってくれる気がする。
ね、これを春馬君が演ってくれたら、超絶キュートだと思わない?
何かの動画で、春馬君は実は、海外で舞台(ミュージカルやストレートプレイ)をやってみたいと言っていた。
だから英語も勉強していたわけか。
だったら猶更、「RENT」のエンジェル、演ってもらいたかったって思う。
今年の初め、シンシア・エリヴォのミュージカルコンサートで、春馬君が「RENT」のリード曲である「Seasons of Love」を、シンシアらと一緒に歌っていたことを知る。
それだけで胸を打たれたというか、何かジーンと来てしまった。
「RENT」と縁があったってことなのだろう。
春馬君が歌う「Seasons of Love」、聴きたかった。
勿論、春馬君の歌ってる動画はないので、映画版の「Seasons of Love」を貼っておく。
春馬君、きっと「RENT」も観たことあっただろうし、この曲の意味を理解していたと思うけど、どういうつもりだったのよ。
この先、春馬君は日本のミュージカル界を背負って立つぐらいのミュージカルスターになれたと思う。
三浦春馬という役者の溢れる才能を、一番発揮できるのはミュージカルの舞台だろうと思う。
舞台の上で、歌って踊る春馬君を観たかった。
悔やんでも悔やんでも悔やんでも悔やみきれない。
かなり応えている。
もし、去年、私が「キンキーブーツ」を観れていたら、今頃の私の心の持ちようは違っていたかもしれない。
私ができることは全てやりきったと。
こんな風に、心にしこりを残していないかもしれない。
私が観たいと強く望んだ、唯一の三浦春馬出演作品、「キンキーブーツ」。
「キンキーブーツ」の最後の方、「Raise You Up」に続く曲、「Just Be」の歌詞には、こうある。
「Just be who you wanna be(なりたい自分になれ)」。
あの日、春馬君、貴方が「なりたい自分になる」って思って、決断したことなのであれば、それも尊重しないといけないかなって思う。
ねぇ、春馬君、今は、なりたい自分になれてる?
もしサポートをいただけるのでしたら、自身の心を潤すような音楽や映画などなど、エンターテイメントのコンテンツ購入に充てさせていただこうと思います。