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"NOTHING BUT LOVE" - Kinky Boots Haruma Miura Tribute movie

愛が炸裂している。
三浦春馬君、コメントを寄せたクリエイティブスタッフ、共演者・スタッフ等も含めたカンパニー、「三浦春馬君とキンキーブーツ」を愛するファン、そして、この映像を完成させて世に送り出すことに後ろでサポートしてくれた沢山の人たち、これらの人々の間で相互に愛が飛び交っている。
この映像には、愛しかない。

映像を再生し始めてすぐ、特徴のある声が聞こえてきて驚く。うわわわわわ、シンディ・ローパーだ。あのシンディ・ローパーが「ハルマ」って言ったぁぁ!!!!!初回再生時には、それだけで動揺して涙腺崩壊して、せっかくのシンディのコメントを聞き逃し、もう一度初めから再生しなおす。若い方々はあまりピンと来ないかもしれないが、シンディ・ローパーは80年代を代表するポップ・アイコン、スーパースターでございまして、そんな彼女が追悼メッセージを寄せるというのは、相当のことと思われる。

春馬君の2018年1月のニューヨークでの映像。初めて「キンキーブーツ」を観た時のことを語っているのだけど、客席を指さして「その辺だったと思うんです。」のイントネーションが標準語と違うような。どこかの地方の言葉なのか、ニューヨークの英語漬けの環境につられて日本語がおかしくなったのかわからないけど、その喋り方一つとっても何だか可愛い。

クリエイティブスタッフの方々からのコメントを、聞けて良かった。特に、三人目のアソシエイトコレオグラファーのラスティ・モーワリーさんのコメントは印象的。春馬君と最初に会った時のこと、2016年の舞台の幕が開くまでのこと、幕が開けてからのこと、2019年の公演で再会した時にはより成長したローラを春馬君が見せてくれたこと、春馬君は今後もきっと成長したであろうこと、そして、仕事仲間というだけでなく永遠に友であることを語り、「My heart breaks.(胸が張り裂ける思いがする。)」と声を震わせて言い、最後に「Nothing but love. (愛しかない。)」と二回も繰り返して言った。春馬君は、言葉や国や人種も関係なく、色んな人々と信頼関係を築くことの出来た人。この「キンキーブーツ」という作品とローラという役柄を愛し演じてきた人。カンパニーの仲間にも愛をもって接してきた人。ラスティさんが、事細かに、春馬君がどういう姿勢でこの作品に取り組んできたのか話してくれて嬉しい。それにラスティさんの「Nothing but love.」は、ラスティさんの心の内には春馬君に対しての愛しかないからそう発したのかもしれないが、実は春馬君の周りの人が全て同じ気持ちかもしれないとも思う。皆、春馬君への愛しかない。春馬君自身もそうで、春馬君にも愛しかない。「Nothing but love.」はそんな風に思える、この映像全体をも象徴するかのようなフレーズだと思った。

この映像を完成させて公開に向けて尽力して下さった方々、本当にありがとう。アップや引き、色んなアングルで撮ってて、画質もきれい。私は直に「キンキーブーツ」を観たことが無いものだから、本当にこの映像を見せてもらえるのが嬉しくてたまらないし、有り難い。セリフや、衣装、表情、動き等はCDの音からだけでは分からないものだし、私にとってはとっても貴重。一部の曲を長く見せるよりも、それぞれが短くても、なるべくキンキーブーツのストーリー全体や世界観が伝わるように編集してくれたのも有り難い。この映像の繋ぎ方にすら愛を感じる。この映像で初めて知ることも沢山ある。感謝しかない。

「Land Of Lola」のローラ、何と言っても美しい。春馬君はビリー・ポーターさんの登場シーンで衝撃を受けたと言っているけれども、春馬君のローラだって相当衝撃的だわよ。「rrrrrrrrred!」ってどういう訓練したらそう言えるようになるのか。私は何度か真似したけれども、出来なかったよ。
「Sex Is In The Heel」 の仰け反りローラ、このシーン大好きだったからこの映像にも入っていて嬉しい。綺麗に反れていて、とても女性らしく見える。
「Not my father's son」、気持ち入るよね。男性の格好のローラ、メイクは全部落とすのか。ほぼすっぴん?額にいっぱい汗。
「Everybody Say Yeah」、このシーン、2016年か2019年の公演していた頃、TVCMで使われてたかしら。何となく記憶にあるような。何で、何が何でもチケット取らなかったよ、その時の自分。
「What A Woman Wants」のローラは踊りながら歌うんだ!ちょっとメイクをしてる。合間合間にちょっとずつメイクを重ねていくのかな。
「In This Corner」、あんな風にドンに打たせて倒れるのか。「ブレックファーストの前よ♪」のくだり、ローラの話し方、表情、可愛いなぁ。そうか、ローラはそういう風に喋るのね。
「これで終わりよ。」と言って立ち去るローラの後ろ姿、ブーツではないので脚が良く見える。キレイな御御脚(おみあし)だこと!!!!
「Hold Me In Your Heart」は、やっぱり2019年の歌い方の方が好き。何だろう、2019年の歌い方には安定感みたいなものを感じるが、それは内から沸いて出る自信に裏付けされたものなのか。その自信はどこから来るかと言えば、ラスティさんも言うように、それ以前にハードなトレーニングを積んできたってことなんだろうけど。生まれ持った能力の高さの上に胡坐をかく人ではない、努力を積み重ねる人であること、そこに人々は心打たれる。
ここでの「Raise You Up」は短め。でも他の色んな所で観てるから大丈夫。
「Just Be」、両手を胸のあたりでグーにしてクックッと左右に動かす振り、皆、可愛いな。6ステップ、全部入れてくれた。そこ重要だものね。そしてここから畳みかけるように、次から次へと春馬君のシーンの連続。一旦おさまっていた涙が、またここでどわーっと出る。春馬君、去年はこんなに笑って、こんなに舞台の上で輝いていたのに。「Just Be」の最後の「beautiful」のフレーズと共に現れたローラ。その表情とポーズ、なんてキュートなんだ。その笑顔が最高に可愛い。この笑顔を見たら、こう思わずにはいられない。やっぱり春馬君がいなくて、すごく寂しいよ!心の中で叫ぶ。春馬君に居て欲しかった。このシーン(サムネイルにもなっている)を最後に持ってこようと決めたスタッフの人、最高。ここにも春馬君のローラへの愛を感じる。もう涙が止まらない。

キンキーブーツ・カンパニーの皆と一緒に写った写真も次々と。いつも私たちの心の中に、春馬君と春馬君のローラはいるよと、最後にカンパニーからのメッセージ。春馬君がどれだけ多くの人から愛されていたのかがよく分かる。

これが、この映像が公開されてから今までに思ったこと。同じミュージカルでも、観た時々によって感じ方が変わるように、この映像もこの先折に触れて何度も見ると思うが、その都度、感じ方は微妙に変わっていくかもしれない。

ストーリー全体がわかるように編集してくれたおかげで、春馬君がこの「キンキーブーツ」という作品を通じて、オーディテンスに伝えたかったメッセージも、何となく分かったような気がする。そのメッセージが何だかを、具体的に私がサマライズして、ここで言葉にするなんて野暮なことはしないが、本来、それは「キンキーブーツ」が再演された時に、直接春馬君から受け取りたかったものだ。それが叶わない代わりに、スタッフさんがこうして映像に詰め込んでくれた。春馬君からのファンやオーディエンスへの愛を、代わりにスタッフの皆さんが届けてくれたと思っている。それも本当に有り難いと思っている。でも、そのメッセージを確実に掴めた実感はなく、何となくこういう感じかなっていう、ただそれだけだ。

いつか日本で、新たなローラによる「キンキーブーツ」の舞台の幕が開く時が来るなら、私はそれを観に行きたいと思う。やはり実際に「キンキーブーツ」の全曲を目の前で観て聴いて、最後には一緒に歌って踊って、キャストやオーディエンスの皆との一体感を味わいたい。そうすることで、時間も場所も伝え手も違うけど、春馬君がオーディエンスに伝えたかったことはこのことかと、自分でよりリアルに、より深く理解して受け止められるような気がする。「キンキーブーツ」の劇場に行けば、「キンキーブーツ」を観れば、春馬君の肉体はもうそこにはなくても、「キンキーブーツ」のその舞台の上には春馬君の、春馬君のローラのスピリットはレガシーとしてあり続け、それに触れられるような気がするから。もし、日本での公演がないのであれば、コロナ禍がおさまっていつか海外でも演るという時に、そこまで行ってでも観てみたい。岩井俊二の映画「Love Letter」みたいに、いや、ちょっと違うかもしれないが、送り主はもういない、何年か越しのメッセージを、その時に私は受け取れたらいいなと思う。そして、再演されるごとに足を運んで、春馬君のローラの事を想いたい。

他のローラと春馬君のローラを比較したり、嫉妬したりしないから、心配しないでほしい。春馬君が大切に演じてきたローラという役柄を演じる俳優さんだもの、そのローラを受け入れる。「キンキーブーツ」は、繰り返し再演して行ってほしいミュージカルだもの、きっと応援していくから大丈夫。それが、私の「春馬君のローラとキンキーブーツ」の愛し方。次の「キンキーブーツ」の開演まで、この映像を観て、CDを聴いて、6ステップを実行して、春馬君のローラを思いながら待ってるよ。

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垣 公華子
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