クラクラップ!「初ボドゲ創作②踊戦」
金沢小立野ゲームのとらです。
2015年ころにボードゲームに出会い
2020年にボードゲームの創作をはじめました。
この「初ボドゲ創作シリーズ」では、
ボードゲームプレイヤーがどのような経緯で、
そしてどのような道筋でボードゲーム創作に至ったのかを、
私の創作したボードゲームに興味を持っていただいた方と
何かを新たに生み出そうとしている方へ向けて伝えたいと思っています。
②ではこのゲームのルールが完成へ向かうまでの道のりを振り返ります。
前回までのnoteはこちら
クラクラップ!「初ボドゲ創作⓪前夜」
クラクラップ!「初ボドゲ創作①着想」
テストプレイ会in富山
思いついたままカードを作り、
大好きなクランクのコンポーネントからキューブを取り出し、
カードにも印刷した紙をスリーブに差し込みました。
テストプレイへいざ行かん。
テストプレイを経てわかったことは、
手をたたいた数を聞き分けるのは難しくて面白い、
思った以上にカードプレイの選択で悩む、
バトル判定がもたつく、
極めつけがダンス要素がない。
テストプレイってアイディアの宝庫なのだと思います。
ダンスバトルの行方
クラクラップのざっくりとしたプレイの流れは
カード3枚ドロー、カードに応じてクラップ(手をたたく)、
3枚のうち2枚を選んでセット、
レッツダンスの合図でバトルにノルか、降りるか決めます。
ダンスバトルは2枚のカードの数値合計を比べます。
このバトルの処理がどうにでも味付けできるわけです。
そこで、同値処理問題と効果問題にフォーカスして考えました。
数値合計を比べるということは同値になることが想定されます。
そこでダンス要素を取り入れることにしました。
単純に先に「決めポーズ」をとったダンサーが勝利としたのです。
副作用として、遠目に見てると
手をたたいてポーズしているパーティゲームに見えちゃいそうです。
個人的にはリズムゲーや踊りは苦手なのですが、
勝った時しかポーズをすることができないプレミアム感はありです。
同値でなくても勝者はポーズをすることにしたので、
単独で勝利し、おもむろにビシッとポージングしたいところです。
カード効果を最小限に
単純な数字比べにした場合、大きい数字最強となり、
展開も単調になりそうです。
そこでカードに効果を入れたくなるのですが、
そうすると処理が複雑化してしまいポーズ早決めと相性が悪いです。
そこで効果は3つに絞りました。
キーとなる効果は1つだけ、「5や6が0になる」効果。
基本カードの数値は6~2なので、
このカードが出るかどうかで場が大きく変化します。
大富豪の革命のようなものです。
ゲーム後半はこのカードの枚数が増えてくるため
前半と数字の価値が大きく変わっていきます。
そして一度に表になるカードの枚数が違うため、
実は4人プレイと6人プレイではプレイ感が結構違います。
残り2つはピーキーな効果としゃがみ的な効果です。
ピーキーな効果は引算、掛算、割算です。
2枚出すことに意味付けしたかったこともあり演算効果にしました。
ピーキー具合ですが、60÷は1で割ると60になっちゃいます。
ちなみに60は2から6の最小公倍数なので小数になる心配はないです。
60÷は強力ですが6が0になる効果で0になっちゃうのもピーキー。
しゃがみ的な効果はヴィクトリーロードという勝利点に関係する
自分のテンションをコントロールする効果です。
テンションのコントロール
テンションが高いと勝利したときにたくさん勝利点ボーナスを得ます。
一方でバトルに参加するとテンションを1つ消費します。
バトルに参加しない場合はテンションが上がります。
これが、勝利点を得るためにはテンションを消費するけども、
テンションを上げて勝利することで大量の勝利点を獲得できるから、
バトルに参加せずにテンションを上げることも選択しなければならない
というジレンマになっていると思っています。
8回のバトルのうち2回程度は参加しないを選ぶような
調整をしているつもりですが、
やはりプレイヤーとしては参加する方に前のめりになりたいはずです。
そこでカードの効果としてしゃがみ的な効果を採用しました。
この効果は2枚の数値合計には影響せず、
バトルに参加しているにもかかわらずテンションが上がるという効果です。
プレイヤー心理をサポートするための効果です。
言語依存を少なめに
カードの数値をコントロールして進めるゲームは多く存在します。
そして多くの場合カードやタイル効果で数値がアップデートされ、
そのコンボ感やシナジー効果が気持ちよく感じます。
この感覚を創作で再現しようと考えたとき
何を判断基準にして構築すべきなのか全く見えてきませんでした。
そこで逆に考えることにしました。
言語依存がないゲームを目指そう。
私自身カード効果好き好きプレイヤーなのですが
そこをぐっとこらえて
いかに少なく、はっきりした効果で場を動かせるかを考えました。
カード効果をなんとなく考えていた時は、例外処理がいくつも発生し、
それを回収するための例外処理が生まれ、連鎖的に他にも影響し、
というループに陥っていました。
言語依存がないゲームというような、指針を決めることは重要ですね。
テストプレイ会in名古屋
名古屋で行われている
「みさきさん」主催のテストプレイ会に参加しました。
ここではゲームのフレーバーとルールに関連づけがあることを評価され、
6人プレイもいけるんじゃないかという提案もいただきました。
UI的な改善点もみつかり、
ゲームがよりスタイリッシュになっていく感じがしました。
フレーバーによせていくスタイル
名古屋でのコメントに対して調子に乗ったのだと思いますが、
これ以降のルールの微調整はできる限り
ダンスフレーバーによせていく調整をしています。
例えば5や6が0になる効果は「ジェネレーションギャップ」とし
これまで流行りだったものが価値を失う、
そしてダンスではそれが結構生じるという意味づけを後出しでしてます。
ルールの調整としてはダンスバトルに参加しなかった場合、
当初はテンションが1つ上がることにしていましたが、
ダンスバトル参加者分だけテンションが上がるようにしました。
プレイヤーはダンスバトルに参加したいという心理であることをふまえ、
できる限りしゃがむ回数が減るような調整です。
これもよくよく考えればダンスバトル参加者が多ければ多いほど
見てる人はテンション上がるよね、という自然なフレーバーよせです。
ルールの調整は気づきだせばきりがなく、
フレーバーによせれないものは無理に調整しませんでした。
4人プレイと6人プレイ
テストプレイで決定的だったのは4人プレイと6人プレイのプレイ感が
思った以上に違ったということです。
カード効果の枚数調整など考えてもよかったのかもしれませんが、
6人プレイはパーティよりのゲームになるということを
自分なりに納得しました。
ソロテストプレイ、確率計算、テストプレイ会を繰り返し
自分がやりたかったこととゴール位置が明確になった気がします。
このゲームで表現したかったこと
フレーバーによせれるルールでまとめるのが
ルールライティングのゴールでした。
一方このゲームの原点は
「手をたたいて勝負に行くかどうかを悩む」ことです。
人のたたき数を聞いて、その多さ少なさに一喜一憂し、
自分のテンションの低さ高さを確認し、
ダンスバトルに参加するか見るかを悩む。
この感覚と論理と駆け引きのパズルを解く体験は
他のゲームとはすこし違ったテイストを
味わえるのではないかと思っています。
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