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タレント本は行間が広い

最近読んだ本の感想です。
この記事は 3分40秒 で読めます。


どうも、県庁の星になりたい鯨尺です。
生きています。

最近、本をよく読みます。ただ、昔から活字の類を読むのは苦手でした。
昔から本嫌い・テレビっ子・アニメファンだった私は、必然的に活字メディアより動画メディアや音声メディアに馴染み深くなりました。
大学では文学系の学部に進学したせいで、ゼミに入っても教授を含めた周りが本好きばかりであまり馴染めなかったし、専攻選びもゼミ選択も完全に間違えてたなぁ〜と今でも少し後悔しています。(ちゃんと勉強してメディア系に行くべきだった)

そんな本嫌いの私ですが、子供のときから本屋で好きなコーナーが一つだけありました。

タレント・芸能本のコーナーです。

幼少期は自由に使えるお金がなかったので、本屋に行っては「こんな○○は××だ!」「さまぁ〜ずの悲しいダジャレ」といったお笑い芸人のネタ本を立ち読みしまくっていましたし、装丁がやたら細長い「トリビアの泉 へぇの本」「サルヂエ」といった番組本でクイズにつながる知識を得「新・ブログの女王」中川翔子のブログを書籍化した「しょこたん ぶろぐ」を読んで当時の小学生のセックスシンボルだった しょこたん に欲情したりしていたのはいい思い出です。

タレント本は小説や評論と違い、バカでも読めるように(あるいは文字数が稼げるように)1ページあたりの文字数が少なく、文字が大きくて行間が広くなっているので、子供にも読みやすいのですね。

というわけで、タレント本好きの私もいつしか社会人になり、自由にお金を使える年齢になったため、興味ある本を何冊か買いました。
今回はそれらの本の感想を書きます。


芸人芸人芸人 volume2

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コスミック出版が発売したお笑いムックの第2弾です。
第一線で活躍するラジオ芸人に焦点をあて、アルピー、ダイアン、空気階段、霜降り明星といった芸人たちと、関係者のインタビューがたっぷり掲載されており情報量は満載。表紙を見れば分かる通り、グラビアの多くがアーティスティック極まっています。象さんのおしゃんてぃです。

1週間ほど前にこの本を読んだのですが、『宮下草薙の15分』(文化放送)、『かまいたちのヘイ!タクシー!』(TBSラジオ)、『三四郎のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)を早速聴きたくなり、確かその日のうちに最新回は全部聴いてしまったと思います。

「松本」の「遺書」 松本人志

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当時人気絶頂のダウンタウン松本さんが1994年に発売し、200万冊を超える大ベストセラーとなった「遺書」とその翌年に出た「松本」をガッチャンコした本です。
「遺書」は小学生の時 児童館で読んだ覚えがありましたが、「松本」の方を読んだことがなかったのと、昔すぎて内容を忘れている・理解できなかった話が多い(毛じらみの話とかね)ため、もう一度ちゃんと読もうと思って購入したのでした。
今読み返すと、相当過激なことを松っちゃんは言っているのですが、テレビがコンプラでガチガチに固められた時代しか知らない現代の若者には、このギラつき具合が痛快に感じます。たけしさんのフライデー襲撃事件謝罪会見の時の異常な目のギラつきとかもそうですが、やはりお笑い芸人は、危険な香りや狂気をにじませている方が面白いのだと思います。


悪意とこだわりの演出術 藤井健太郎

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時代は一気に飛び、TBSのテレビプロデューサー・藤井健太郎氏の著書です。装丁デザインには彼の一貫した個性や趣味が反映されていて、仕事術・ライフハック本というよりは氏のファンブックに近い感じがしました。
氏が過去に関わった作品の裏話なども豊富に掲載されています。

以前 放送作家・白武ときお氏の本を紹介しましたが、フリーランスの放送作家とテレビ局社員たるプロデューサーは、内容も仕事に対するマインドも全く異なるものだと実感しました。ただ、二人の根底にある映画・音楽・テレビといった芸能知識のインプット量の広範さは共通しているように見えます。

昔はTBSのバラエティといえばファミリー向けでつまらないという印象でしたが、もし今の中高生に「バラエティ番組が面白い局は?」と聞いたら、フジテレビよりもTBSの名が挙がるかもしれません。そして、それには藤井Pの功績が大きいと思います。


たくらむ技術 加地倫三

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現代日本の3大TVプロデューサーといえば先述の藤井さん、『ゴッドタン』の佐久間宣行さん、そしてテレ朝の加地倫三さんで異論はないと思いますが、彼が2012年に刊行し、自身の仕事術を語った文庫本がこちらになります。

ファンには嬉しい反面、実生活でためになるような「仕事術」はほとんど載せていなかった藤井さんとは打って変わって、芸能関係だけではない仕事で使えそうなノウハウも書いてあるのが「悪意と〜」との違いでしょうか。

また、『アメトーーク』や『ロンドンハーツ』の制作の流れについてかなり具体的に説明してくれているので、テレビ業界のしくみを勉強したい人にとっては有り難い本だと思います。


伊藤Pのモヤモヤ仕事術 伊藤隆行

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最後は、『モヤモヤさまぁ~ず2』『やりすぎコージー』などで知られるテレビ東京プロデューサー・「伊藤P」こと伊藤隆行氏の著書です。

前述の藤井P・加地Pと比べて、彼のつくる番組は「お笑い」に寄せていません。元々お笑い番組がやりたかったわけではなく、早稲田政経卒ということもあり報道記者志望でテレ東に入社したらしいです。

そして、前2人と大きく違う点は、彼が「テレ東」の社員だということです。TBS、テレ朝と違って番組に予算がなく、視聴率も(当時は)人気も低いので「振り向けばテレ東」という言葉が生まれる始末。

いわば、会社全員で縛りプレイをしているようなものなのです。

いかに低予算で面白い番組を仕上げるか、という話は、予算が潤沢にない日本の中小企業全般に言えることだと思いますし、すぐ文句や愚痴をこぼしてしまう自分の身もつまされますね。


おわりに

珍しくボケなども挟まず、真面目に書評を書いてしまいました。
この歳でも日々のインプットは大事だと思います。知識や経験がないとアウトプットもできないからね。
ここで紹介したもの以外で放送作家、テレビ・ラジオのプロデューサー・ディレクターが著した面白い本があったら教えて下さい。

ちなみに、「ジョージ・ポットマンの平成史」のディレクターである高橋弘樹さんの本はつい先日購入しました。家に届くのが楽しみです。


それでは、おいとまでーす!



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