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AIとHero's Journeyの手法で小説のプロットを生成しまくろう

古くから小説家は面白いストーリーをひねり出すために多大な努力をしてきました。そして、面白いストーリーには、ある一定の法則があることを見つけてきました。

ジョセフ・キャンベル氏によって提唱された「Hero's Journey(英雄の旅)」と呼ばれる手法は、様々な文化や時代を超えた物語に見られる普遍的なパターンを示しています。

膨大なWeb上のテキストから生成されたChatGPTなどの会話AIはこの手法についてもよく知っており、これを利用して物語を作るように言うと、その通りに作ってくれます。面白いので活用してみましょう。

# 英雄の旅(Hero's Journey)について

Hero's Journeyの手法は多くの神話や物語が共有する基本的なパターンを指し示しており、以下の12のステージで構成されています:

  1. 通常の世界(The Ordinary World): 物語の主人公が最初にいる普通の、日常的な環境が示されます。この段階は、後の異常や冒険との対比を作るために重要です。

  2. 冒険への呼びかけ(The Call to Adventure): 主人公が冒険への誘いを受ける瞬間。これは問題や挑戦、冒険の始まりを示唆します。

  3. 拒否の段階(Refusal of the Call): 多くの場合、主人公は最初に冒険を拒否します。これは不安や恐れ、責任感から来るもので、物語に緊張感を加えます。

  4. 助言者との出会い(Meeting with the Mentor): 主人公が賢者や師匠と出会い、冒険に必要な知識や装備、勇気を得ます。

  5. 門をくぐる(Crossing the Threshold): 主人公が通常の世界を離れ、冒険の世界へと踏み出します。これはしばしば重要な転換点です。

  6. 試練(Tests, Allies, Enemies): 冒険の世界で主人公は試練に直面し、友人や敵を作ります。これらの経験を通じて、主人公は成長し、次のステージに進む準備をします。

  7. 最も内部への接近(Approach to the Inmost Cave): 主人公は物語の核心に近づき、最大の試練や敵に直面する準備をします。

  8. 試練(The Ordeal): 物語のクライマックス。主人公は最大の挑戦に直面し、しばしば死と直面するか、最も暗い時間を経験します。

  9. 報酬(The Reward): 試練を乗り越えた後、主人公は報酬を得ます。これは物理的なものか、あるいは重要な知識や経験かもしれません。

  10. 道のりの帰還(The Road Back): 主人公は通常の世界への帰路につきます。しばしば新たな挑戦や追跡があります。

  11. 復活(The Resurrection): 物語の最終的なクライマックス。主人公は最後の試練に直面し、変容します。

  12. 帰還と変容(Return with the Elixir): 主人公は通常の世界に戻り、冒険から得たものを共有します。物語は解決し、主人公は変わった人物となっています。


# 物語を作成するプロンプト

それでは、物語を作成していきましょう。作成プロンプトを紹介します。生成AIの実力を遺憾なく発揮させるため、最初に前提を尋ねましょう。ChatGPTなどの会話AIを使いましょう。

小説のプロットを作りたいのですが、英雄の旅(Hero's Journey)という手法を知っていますか?

すると、知っていますとか、このような手法です・・・と答えてくれるでしょう。続くプロンプトに以下のように入力します。

### 指示:
この手法を利用してプロットを作ってください。以下の方向性を参考にしてください。
### 方向性:
- 時代背景: 昭和後期、バンドブーム
- 主人公: エレキギターの達人「ヨシ・タツオ」
- ヒロイン: 平凡な女の子、ヨシ・タツオに憧れている

# 生成したプロット1

上記のプロンプトを用いて作成されたプロットが次のものです。

プロットから生成したイメージ画像

以下は昭和後期のバンドブームを背景に、エレキギターの達人「ヨシ・タツオ」と憧れの女の子を主人公とする物語のプロットです。英雄の旅の手法を利用しています。

  1. 通常の世界:

    • ヨシ・タツオは地元で知られるエレキギターの達人です。彼の日常は音楽と地元のバンド仲間との親交に彩られています。

    • 平凡な女の子は、彼女の日常生活でヨシ・タツオの音楽に触れ、彼に憧れを抱いています。

  2. 冒険の呼びかけ:

    • ヨシ・タツオは、全国規模のバンドコンテストへの参加を促されます。

    • 彼女はヨシ・タツオに近づくため、彼のファンクラブに参加することを決意します。

  3. 拒否の段階:

    • ヨシ・タツオは当初、コンテストへの参加をためらいます。彼にとって音楽は競争の対象ではなく、純粋な表現の手段だからです。

    • 彼女もまた、ヨシ・タツオとの距離を縮めることに不安を感じます。

  4. 導き手の出現:

    • ヨシ・タツオの師匠である元バンドメンバーが彼を励まし、コンテスト参加を後押しします。

    • 彼女はファンクラブの中で友人を得て、自分の情熱を共有することで自信をつけます。

  5. 異世界への通過:

    • ヨシ・タツオは全国のバンドたちとの競争の世界に飛び込みます。

    • 彼女はファンクラブを通じて、ヨシ・タツオの音楽とパーソナリティの深い部分を知るようになります。

  6. 試練:

    • ヨシ・タツオはコンテストで才能と個性を競い合う他のバンドと直面します。

    • 彼女はヨシ・タツオと直接関わる機会を得るが、彼の注目を集めることは困難です。

  7. 最も内なる洞窟への接近:

    • コンテストの決勝戦が近づくにつれ、ヨシ・タツオは自分の音楽的アイデンティティと向き合います。

    • 彼女はヨシ・タツオへの想いと自分自身の夢との間で葛藤します。

  8. 至高の試練:

    • ヨシ・タツオは決勝で圧倒的なパフォーマンスを披露しますが、同時に音楽の真の意味を再発見します。

    • 彼女はヨシ・タツオへの想いを伝える決心をします。

  9. 報酬(獲得):

    • ヨシ・タツオはコンテストでの勝利よりも、自身の音楽スタイルと真実を見出します。

    • 彼女はヨシ・タツオとの特別な繋がりを経験し、自分自身の情熱に気づきます。

  10. 道のりの帰還:

    • ヨシ・タツオは地元に戻り、新たに得た経験を音楽に反映させます。

    • 彼女もまた日常に戻りますが、新しい自信と目的を持っています。

  11. 復活の試練:

    • ヨシ・タツオは地元の音楽シーンにおいてリーダーシップを発揮し始めます。

    • 彼女は自分自身の音楽の道を歩み始めます。

  12. 帰還と変容:

    • ヨシ・タツオは変わり果てた姿で音楽界に影響を与えます。

    • 彼女は自分自身の音楽的才能を開花させ、ヨシ・タツオとの新たな関係を築きます。

このプロットは昭和後期のバンドブームという時代背景と、音楽を通じた成長と自己発見の物語を描いています。


方向性を変更して再チャレンジ(1) 中世のヨーロッパと領地経営の物語

先ほどのプロットは、それなりに面白そうなのですが、あまり読みたい感じがしませんでした。そこで、時代背景を中世のヨーロッパに変更してみましょう。領地経営をテーマにしてみます。以下のようなプロンプトにしました。

### 指示:
『英雄の旅(Hero's Journey)』を利用して小説のプロットを作ってください。
以下の方向性を参考にしてください。
### 方向性:
- 時代背景: 中世のヨーロッパ
- 主人公: 貧乏な貴族の長男は天才的なアイデアマン
- テーマ: 領地経営


中世ヨーロッパを舞台にした領地経営の物語のイメージ

以下は中世ヨーロッパを背景にした小説のプロットで、主人公は貧乏な貴族の長男で天才的なアイデアマンです。テーマは領地経営に焦点を当て、英雄の旅の手法を活用しています。

  1. 通常の世界:

    • 主人公は貧乏な貴族の家に生まれ、領地の荒廃に悩んでいます。彼は賢く、多くのアイデアを持っていますが、資源と支持が不足しています。

  2. 冒険の呼びかけ:

    • 王国から、若い貴族に領地を改革し繁栄させるチャレンジが発表されます。成功すれば、王の顧問の地位が約束されています。

  3. 拒否の段階:

    • 主人公は自信のなさと資源不足により、当初はこのチャレンジを受けることを躊躇します。

  4. 導き手の出現:

    • 主人公の元に、かつての家臣が現れて、彼を励ます。この家臣は、かつて領地を豊かにした経験を持っています。

  5. 異世界への通過:

    • 主人公はチャレンジを受ける決意をし、領地の改革に取り組み始めます。

  6. 試練:

    • 主人公は様々な改革を推進しますが、領民の抵抗、近隣の妬み、自然災害など多くの困難に直面します。

  7. 最も内なる洞窟への接近:

    • 主人公は最大の困難に直面します。隣接する領地の貴族からの策略により、彼の改革は脅かされます。

  8. 至高の試練:

    • 主人公は、全てが失われそうになる中、彼のアイデアと領民の協力によって危機を乗り越えます。

  9. 報酬(獲得):

    • 主人公は領地を救い、領民からの深い尊敬と支持を得ます。彼の領地は繁栄し、豊かな収穫を迎えます。

  10. 道のりの帰還:

    • 主人公は王国に戻り、自身の成果を報告します。

  11. 復活の試練:

    • 王国では、主人公の成功を妬む他の貴族たちが彼に挑戦します。主人公はこれを乗り越え、王からの信頼を勝ち取ります。

  12. 帰還と変容:

    • 主人公は領地を豊かにし、貴族社会での地位を確立します。彼は王国の顧問として新たな役割を果たし始め、中世ヨーロッパの政治と経済に大きな影響を与えることになります。

このプロットは、中世の背景、貴族社会の複雑な動き、そして個人の成長と社会への影響を絡めた物語です。主人公のアイデアと行動が領地をどのように変えるか、そして

彼自身がどのように成長し変わるかが物語の鍵となります。


上記の同じプロンプトで再生成してみました。

小説のプロット『英雄の旅(Hero's Journey)』を利用して、中世ヨーロッパを背景に、貧乏な貴族の長男で天才的なアイデアマンが主人公の物語を構築します。領地経営が中心テーマとなります。

  1. 序章(The Ordinary World): 中世ヨーロッパの小さな村。主人公は貴族の長男で、貧しいながらも賢く、常に新しいアイデアを考えている。しかし、彼の才能は家族や村人には理解されていない。

  2. 招待(The Call to Adventure): 主人公の家族が領地を失いそうになる危機が訪れる。村の将来も危うい状況。彼は領地を救い、家族の名誉を回復するために立ち上がる。

  3. 拒否の段階(Refusal of the Call): 最初は自分には無理だと感じ、逃げ出そうとする。しかし、家族の結束と村人の信頼を見て決心する。

  4. 導き手(Meeting with the Mentor): 賢い隠者や経験豊かな商人から、領地経営について学ぶ。彼らは主人公に知恵と勇気を授ける。

  5. 試練(Crossing the First Threshold): 主人公は新しい農法や商取引を導入し始める。最初は抵抗に遭うが、徐々に成果を上げる。

  6. 試練(Tests, Allies, Enemies): 近隣の貴族や疑わしい商人との対立、自然災害など、様々な障害に直面する。しかし、彼のアイデアと頑張りが徐々に村人たちの信頼を勝ち取る。

  7. 最内の洞窟への接近(Approach to the Inmost Cave): 主人公は領地の繁栄と家族の未来を賭けて、最大の挑戦に臨む。それは、大規模な市場での交渉や、他の領地との同盟を結ぶこと。

  8. 最大の試練(The Ordeal): 主人公は裏切りや欺瞞に直面し、一時は全てを失いかける。しかし、彼の真摯さと知恵が最終的に成功を収める。

  9. 報酬(The Reward): 領地は繁栄し、家族は名誉を取り戻す。主人公は村の英雄となり、かつての批判者たちも彼を尊敬するようになる。

  10. 帰路(The Road Back): 主人公は新たな自信と経験を手に入れ、家族と村に戻る。彼はこれからも領地を守る決意を新たにする。

  11. 復活(Resurrection): 主人公は最後の試験に直面し、全てを賭ける。それは、より大きな勢力との戦いや、最終的な和解に至る過程。

  12. 帰還(Return with the Elixir): 主人公は変わり果てた村に戻る。彼の経験と学びは村の未来を豊かにし、新たな伝説の始まりとなる。


方向性を変更して再チャレンジ(2)

方向性を以下のようなプロンプトにしました。

### 指示:
『英雄の旅(Hero's Journey)』を利用して小説のプロットを作ってください。
以下の設定を参考にしてください。
### 設定:
- 場面: 令和の図書館
- 主人公: 本好きの女の子
- テーマ: 不思議な国のアリスがきっかけで始まるストーリー

次のようなプロットが作成されました。


『英雄の旅』のフレームワークを利用して、令和時代の図書館を舞台にした、「本好きの女の子」と「不思議な国のアリス」をテーマにした小説のプロットを作成しましょう。

プロットの概要

  1. 通常世界: 物語は令和時代の静かな図書館で始まります。主人公は本好きの女の子、アユミ。彼女は日々の生活に退屈し、常に新しい冒険を夢見ています。

  2. 冒険への呼びかけ: アユミは「不思議な国のアリス」の古い版を見つけ、興味を持ちます。この本から、彼女は不思議な声を聞き、奇妙な光を目撃します。

  3. 拒否の段階: 当初、アユミはこの現象を無視しようとしますが、好奇心が彼女を引き戻します。

  4. 導き手との出会い: 図書館の古書担当者であるカズキがアユミに声をかけ、彼女の冒険についての知識と助言を提供します。

  5. 異世界への突入: アユミは「不思議な国のアリス」の本を通じて、幻想的な世界に迷い込みます。ここは、令和の日本とは全く異なる、魔法と奇跡に満ちた場所です。

  6. 試練と味方の獲得: 新しい世界でアユミは様々な挑戦に直面し、友達を作ります。彼女は自信を持ち始め、この世界の謎を解き明かすヒントを見つけます。

  7. 最も暗い時間: アユミはこの新しい世界の脅威に直面し、途方に暮れます。彼女は自分の家と図書館への道を見失い、絶望します。

  8. 報酬: アユミは自己発見の旅を経て、内なる強さと勇気を見つけます。彼女は不可能と思われる課題を克服し、新しい自分を受け入れます。

  9. 帰路: アユミは幻想的な世界からの帰路を見つけ、図書館に戻ります。しかし、彼女はもはや以前のような普通の女の子ではありません。

  10. 変革: アユミは自分の経験を通じて成長し、新たな自己理解と世界への理解を得ます。彼女は日常生活に戻りますが、冒険の記憶は永遠に彼女の心に残ります。

  11. 帰還: 物語の終わりに、アユミは図書館で新しい冒険を夢見ながら、再び「不思議な国のアリス」の本を手に取ります。彼女の旅は終わったばかりですが、新たな旅が始まろうとしています。

このプロットは、「不思議な国のアリス」の幻想的な要

素を取り入れながら、現代の令和時代の設定と組み合わせることで、独特の物語を創造します。主人公の成長と自己発見の旅は、読者に共感を呼び起こすでしょう。


次に以下のプロンプトを作りました。

### 指示:
『英雄の旅(Hero's Journey)』を利用して小説のプロットを作ってください。
以下の設定を参考にしてください。
### 設定:
- 時代設定: 現代
- 主人公: 漫才師を目指す青年
- テーマ: 世界で一番面白くなる

小説のプロット:『笑いの英雄旅行』

1. 通常の世界

青年・ユウタは大阪の普通の家庭で育ちました。彼の日常は平凡で、大学生活とアルバイトに明け暮れています。しかし、彼の心の中には、人々を笑わせる漫才師になるという熱い夢があります。

2. 冒険への呼び声

ある日、ユウタは地元の漫才コンテストのポスターを見つけます。これが彼にとっての冒険の始まりです。コンテストは「世界で一番面白い漫才師を決める大会」と銘打たれていました。

3. 拒否の段階

最初、ユウタは自分には無理だと思い、参加をためらいます。彼は自信がなく、自分のユーモアが人々を引きつけるとは信じられませんでした。

4. 導き手の出会い

ユウタの親友であり、漫才に詳しいタクミが彼を励まし、コンテストへの参加を促します。タクミはユウタの才能を信じており、彼のユーモアと独創性を高く評価しています。

5. 異世界への門

ユウタは勇気を出してコンテストにエントリーし、初めての舞台に立ちます。そこは彼にとって全く新しい世界であり、漫才の才能を試される場でした。

6. 試練

様々な漫才師たちとの競争の中で、ユウタは自己疑念、失敗、そして批判と戦います。彼は自分のスタイルを見つけ、独自のユーモアを磨くために奮闘します。

7. 内なる洞窟への接近

コンテストの決勝戦が近づくにつれ、ユウタは自分の限界と向き合う必要に迫られます。彼は自分が本当に世界で一番面白い漫才師になれるのか、自問自答します。

8. 最大の試練

決勝戦の夜、ユウタはこれまでにない圧倒的なパフォーマンスを披露します。彼のオリジナリティ溢れる漫才は観客を魅了し、彼は自分自身との戦いに勝利します。

9. 報酬

ユウタはコンテストで優勝し、認められることで自信を得ます。彼は自分の真の才能を理解し、漫才師としての新たな道を歩む決意を固めます。

10. 帰路

勝利の後、ユウタは故郷に戻ります。彼は経験を通して変わり、成長した自分を家族や友人に披露します。

11. 復活

地元での小さなイベントで漫才を披露するとき、ユウタは以前の自分を超えた新しい自己を発見します。彼は自分の限界を打ち破り、真の漫才師として輝きます。

12. 帰還と持ち帰ったもの

ユウタは自分の経験を地元の若者たちに伝え、彼らを鼓舞します。彼の物語は、夢を追い求め、自分自身を超える勇気を持つことの大切さを伝えるインスピレーションとなります。


そのままは使えないけど、アイデアの足しにはなるかも?

もちろん、上記のプロット、そのままは使えそうにありません。それでも、アイデアの足しにはなりそうです。

「大規模言語モデル(LLM)」が生成した物語は、まだまだ人間が書くような面白い作品を生み出せませんが、アイデアを補足したり、方向性を考えるのに役に立つかもしれません。


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