全話無料キャンペーンの良くないところ

たまにやってくださる漫画の完結記念の全話無料キャンペーン。
すごくありがたいと思って、これまで何作か読んできました。
多くが最終話以外無料という場合が多いので、最終話だけお金を落として後は無料に乗っかるケースになるのですが、私はこの形式がどうもハマらないらしいです。

というのも、展開が気になってしまってどんどん読んでしまう。
確かに、先が気になってモヤモヤしたり、辛い思いをしたり、読みたいのに読めないというストレスを抱える事はないのですが、話を自分の中に取り込む間もなく、車窓から外で起きている物語を眺めているような、遠い出来事を安全圏から観察しているような感覚があるのです。
一気読みした事で読み飛ばしが起きたり、自分で考える余地がなかったり、他の人の感想を目にしたり聞いたりする暇がないからだと思われます。

あくまで私見ですが、紙だと意外とそんな事はなく、一気読みでもしっかり入り込む感覚があるので不思議です。
紙をめくる行為や、読む時の姿勢(しんどいので長時間は無理)、時間の制限など、物理的な制御が間に入る事によって、表面を滑らずに中に入り込めるようになっているのかもしれません。

例えば、私はゴールデンカムイと宝石の国がキャンペーンに乗っかって一気読みした作品なのですが、ゴールデンカムイは当時はハマらず、その後映画を見たキッカケで原作にどハマりするという、今では考えられないほど当時サラッと読んでいたという事がありました。
宝石の国も、展開の面白さが勝ってしまいどんどん読み進めた事によって、Xのコメントで見るような辛さを感じることや、深い読み方が全く出来なかったと感じています。

もしや作品がハマらなかっただけでなく、読み方に問題があったのでは?
電子で猛スピードで読みすぎたのではないか?

作品を楽しむにはそれにかけた時間と、それについて作品”外”で考えた時間が必要なのでは、というのがそこから考えた個人的な仮説です。

少し脱線しますし、あくまで個人に限りますが、恋愛ドラマで付き合う前が長いと、視聴者のテンションが上がるのはこの理由もあるのではないかと思いました。

電子で読めるようになる事で、隙間時間に漫画を楽しめるようになった事はとっても嬉しいことですし、初見の作品に対して最初のハードルを下げる事ができるので断然肯定ですが、ハードルを下げる事によってコンテンツの消費スピードを上げたのもおそらく事実でしょう。

多くの人に読んで欲しい、認知度を上げたいという目的はあると思いますが、本当にその作品を好きな人を増やしたいという場合、この仮説が正しいとすると全話無料キャンペーンは適切ではないのかもしれません。
そもそも無料キャンペーンで読む人は、その作品に興味を持っている。
それなのにキャンペーンで読んでしまうと、作品の話もキャラも見所も知っているけど、そこまでハマらなかったという人を作りかねない、と思います。

作品によってはスピード感が大事だったり、軽く読めるのが売りのものもあると思うので一概には言えませんが、しっかりしたテーマを扱った作品などはそこら辺の調整が必要なのではないかと思いました。

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