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短歌作品

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「藤田美香」の短歌。不定期。
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#創作

『天使だったな』2023.6月

誰にでもこころに森がありますか私の森は伐採されて たかがカフェで男のあれこれ整えてストロ…

藤田美香
1年前
8

2023年春の詩(無題)

雨がやまないので 菜種梅雨だねと言ったら 伝わらなくて会話が途切れた 春の雨は冷たい 油断…

藤田美香
1年前
6

全人類ひれ伏せ

おそらからままをみつけてきたと言うお前のことばはぜんぶ詩だなあ 喧嘩する子らを肴に酒を呑…

藤田美香
1年前
2

天秤秤Age.51:鯨の鼻骨

鯨の鼻骨/藤田美香 それぞれの目線で秋を愛でながら犬とゆっくり黙って歩く 朝のひかり夜…

藤田美香
1年前
7

天秤秤Age.50:半世紀

半世紀 /藤田美香 肉まんを両手で包んだあたたかさ程度の冬のそれは私よ 雨以外を避けられ…

藤田美香
2年前
4

天秤秤Age.49:窓際で暮らす/藤田美香

こんなにもおんなであること三ヶ月生理はとまらずどうしたいのだ 心地よく諦めている手のひら…

藤田美香
2年前
4

天秤秤Age.48:喪服がない/藤田美香

ビル風はどっどどどどうど容赦なく飛べない私を煽って あ、スカート 置き去りの魂なんかと目が合って何か入れ物、ちょっと持ってきて 駅でさらさらさらさらと手を振って当たり障りのない障りだな 百均でなんでも揃うと聞いたのでたましいの入れ物はどこです こんな拒絶 朝から市民センターのロビーは暑い ここにも居られない 冷房は二十八度の設定です。汗が引いても引かなくてもです 仕切られた机の下で靴を脱ぐ爪は赤、でも嘴じゃない 今誰か死んだら喪服がない、金も。私が死ぬなら良いの