「シャドウクロウズ」ボカロP本人による楽曲解説

ありがたいことにマシュマロでご要望を頂きましたので、自作ボカロ曲「シャドウクロウズ」について、解説や補足をしていきます。

URL : https://youtu.be/ggdTvOT5U0Q?si=rLrHo3chyZlspeve

インスト&歌詞 : https://piapro.jp/t/ywy8


【全体の解説】

世界観について

少年少女、才を求める悪ガキ達。
お互いに敵同士であり味方同士でもある彼等は、時にせめぎ合い、時に共謀し、儚くも退屈な少年時代を駆け抜けていく。

少々ややこしいのですが、歌詞中の悪ガキ=悪牡蠣ということで、この曲の少し前に制作した楽曲『エビルオイスター』の世界観を明確に意識した歌詞となっております。

エビルオイスターの「才をくれ」という歌詞なんかも今作の「才を求める悪ガキがせめぎ合う」という歌詞と繋がっている形です。

合わせてぜひ。

エビルオイスター : https://youtu.be/42fQq7g4llo?si=xYjYhs5DSsnK1AMr

曲について

BPM:190
スケール : Aナチュラルマイナー(転調無し)


ポストロックや、PSYQUIさんをはじめとしたFuture Core等のジャンルに強く影響を受けた時期で、疾走感の中に色々ギミックを仕込みたい、という形で制作した曲です。
理論的なことよりも悪戯心を詰め込もうという気持ちで制作していました。
それ故かコードは結構シンプルです。


【部分ごとの解説】

■イントロ(サビ)

透明でいたいこの心が
いつか白や黒に染められてゆくのなら
捨て去ってしまいたいよ
手に負えない

「いきなりサビから始まるのが今風!!」というのでやりました。
トリッキーな曲だということを早めに示したかったので、ボーカルにエフェクト(gross beat)を掛けて遊んでいます。

■Aメロ

今だ!解放!!

せーの 悪知恵働かせ企てる 継ぎ目のない策を
迷う感情導いて行くよ 何度も

才を求める悪餓鬼がせめぎ合う 窓の向こうの街
滾る細胞騒ぐ 今だ解放 行くよ

歌詞中の「窓の向こうの街」は少年少女が駆け回る舞台。であると同時に、「Windowsからアクセスするインターネット」を表しています。
タイトルのシャドウクロウズも語感がWindowsに似ているというのが採用理由の1つです。
同じ年に投稿した『iHATE』(Apple社製品を意識したタイトル)が自分史上かなり伸びていたので、セルフパロディ的な意味合いで取り入れました。

■Bメロ

邪魔なもの またひとつずつ蹴飛ばして
駆け抜ける

Bメロというか間奏と呼んでも良いかもしれません。
当初は「初音ミクの曲」というより「ゲストに初音さんを迎えた曲」というイメージを持っていたので、あんまり歌わない構成になっています。

■サビ

「共鳴を願う想い捨てて」って
寂しがりな僕らに誰かが囁くよ
「不自由は嫌いなんだ」
動き出せば戻れはしない ずっと

孤高への憧れと、孤独への恐怖が混在しているイメージかなと。
「寂しがりな僕らに誰かが」の辺りはボカロっぽさを意識した(具体的にはwowakaさんの影響が大きい)高速歌唱になっています。
ザ・ボカロという感じがして好きな手法です。

■2番

大まかには1番と同じ流れで、編曲がちょこちょこ変化している形です。
Bメロから4つ打ちのキックで、シンプルにひたすら疾走感を意識しました。

走り抜けた先、ふと街の真ん中で立ち止まる。
サビでは環境音の中でボーカルだけ取り残されるような演出になりました。

具体的にはスマホゲームの『消滅都市』のゲスの極み乙女。とindigo la EndコラボのCMからめちゃくちゃ影響を受けてます。

■ラスサビ(Aメロ3回目?)

せーの 悪知恵働かせ企てる 継ぎ目のない策を
迷う感情 導いて行くよ 何度でも

才を求める悪餓鬼がせめぎ合う 窓の向こうの街
滾る細胞 騒ぐ 今だ解放 踏み出して

メロディはAメロ、伴奏はサビとほぼ同じ。
同じメロディを違う使い方で……というのは伏線回収というか、序盤の敵が終盤に再登場するような感じがして好きです。

【終わりに】

ここまでお読み頂きありがとうございました。
マシュマロでのリクエスト本当に嬉しかったです。

感想、リクエストなどいつでもお待ちしております。
お気軽にぜひ、よろしくお願いいたします!

ところで記事中でFuture Coreからの影響について言及しましたが、ちょうど最新曲もFuture Coreに強い影響を受けた作品なので貼っておきます。

たくさん聴いて頂ければ嬉しいです!

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