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四月 星繍
2021年6月14日 12:30
痛みの中でしか、事実を正しく認識できない瞼は重いのに、思考は澄んでいて、こういう時に限って、人知れず死んでいくだけの悲しみに思いを馳せてしまう。痛みの中でしか、自分の視界を信じられない大切なものや人が増える度に、いつかそれを見殺しにしなければいけない自分を想像する。この手に抱えきれないくらいの幸福、身に余るくらいの愛情、身の程以上を望むのは愚かだと知っていながら、それでも愛おしい気持