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人口減少すると経済的に豊かになる【ゲスい経済学】

 こんにちは、ゲスい経済学徒です。今日は人口と経済成長についてマクロ経済学で学ぶ経済成長理論であるソローモデルを基に考えていきます。

1、人口減少すると衰退するというイメージ

仮説1:人口減少すると経済が衰退する

 一般に共有されている経済観が、この人口減少=経済が衰退ではないでしょうか?もう少しつっこむなら労働人口が減少すると経済が衰退するですね。

 少し具体的に考えてみます。

ケース1:A市は1970年代は人口5万人の町でした。しかし、若者が東京に流出し、人口はいまや3万人。一方で医療技術の進歩で従来よりも高齢者は長生きし、高齢化が進行。それぞれの地域に活気をもたらしていた商店街は、大型ショッピングモールの開業でシャッター街状態。なんとなく街に元気がない。

 これが人口減少すると経済が衰退することの具体的なイメージです。

 たしかに人口減少と経済的な衰退が同時期におこっていますから、両者になんらかの関係があると考えるのが普通です。けれども、まともな経済学者ならそれでは終わりません。人口減少が経済的な衰退の原因となっているのかを検討します。

 因果関係の検証をしなければ、例えば「アイスクリームの売り上げ時期に、溺死する人が多い。だから、アイスクリームの販売を禁止すべきだ」のようなトンデモ論を作れてしまいます。この関係性の理由は、夏にアイスクリームを食べたい人が増えて夏に海や川で遊ぶ人が多くなるからです。

2、人口と経済の関係

 それでは、人口と経済の関係についての思考実験してみて検証しましょう。

 さて、経済的な繁栄度を測るときに最も使われる国内総生産(GDP)という有名な概念を使ってみます。国内総「生産」とついていて、値段×量で測りますから、高い物をたくさん作れば作るほど経済的に繁栄しているというわけです。

 ここで何をもって生産する?という考えがでてきますが、経済学はとてもわかりやすいフレームワークを提供しています。労働力と資本で生産量が決まるといういものです。

 労働力はヒトの能力、資本はモノの能力です。ここでのモノはパソコンや工場や原材料のことです。

仮説2:経済的な繁栄(GDP)は労働力と資本力できまる

3、一人当たりの幸福とはなにかについて

 しかし、ちょっと待ってください。いくらGDPが2倍になっても人口が4倍になったら結局、一人当たりでGDPが1/2になってますので、むしろ不幸です。これは一人一人は貧しくなっているのに国全体としては成長するという意味で、窮乏化成長といいます。

 ですので、

仮説3:国民の幸福を考えるなら一人当たりGDPの成長について考えるべき

 としましょう。

4、人口減少は経済的な繁栄に結びつく

 「仮説2:GDPは労働力と資本力できまる」「仮説3:考えるべきは一人当たりGDP」を思考実験の前提にしたいと思います。

 すると下のことが言えます。

資本力

つまり、 

一人当たりGDPは一人当たりの資本力で決まる

となるわけです。となると、

当然、人口が減ると一人当たりの資本力が増えますから、一人当たりのGDPは増加するわけです。

考えてみれば当たり前です。

ケース2:ある部活では筋トレ器具が10台しかないのに、部員が50人もいてそれぞれのトレーニングが不足していました。しかし、「こんなに混んでちゃやってらんね」と部員が30人も辞めていった結果、一人ひとりのトレーニング量が増えて部員の腹筋がめちゃめちゃ割れました。

ということはよくあります。

ですから、ちまたでいう「人口が減少すると経済的に衰退する」は嘘であるわけです。

 人口減少すると一人当たりの資本力が増えて生産性があがるわけですから。

※ここで使われた考え方はソローモデルと呼ばれている経済学の経済成長理論の中で最も有名なものを基礎にしています。本来は技術進歩が重要であることを論証するときに使います。


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