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ツナギ売り_パナソニック①(6752)

こんにちは、個人投資家のくがつです。
本日は、ツナギ売りの売買記録を公開していこうと思います。

はじめに、「ツナギ売りってなに?」という方は、先日公開しました下記の記事をご参照ください。ツナギ売りの概要をまとめた記事となります。

本日紹介する銘柄は、パナソニック(6752)です。
早速ですが、2021年5月21日(金)時点での私の取引状況は以下のとおりです。

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簡単に取引の経緯を説明しますと、まず、2020年4月にパナソニックの現物を1000株、1400株と二回に分けて購入しました。平均取得単価は約800円です。

取得から8カ月ほど経過して、利回りも+50%を越えてきたため、一時的に調整が入ると予想して「300株―300株―600株」というサイクルでの売り建てを2回繰り返して、計6回に分けてツナギ売りを実行しました。

時系列での取引記録

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正直、空売りを仕込むのが早すぎました。下手くそ過ぎて公開するのが恥ずかしいのですが、この時すでに現物で利益が出ていたため、300株、300株と売り建てた後に株価がぐんぐん上がっても特に気にせず高値で空売りをぶつけることはできました。

現物という裏付けがあるからこそ、高値を更新してきたところでも心理的な負担はとくにない状態で空売りを入れられました。ツナギ売りの利点を実感した気がします。また、ツナギ売りは心理的に楽だからこそ長く続けられるはずです。

ツナギ売りでどのくらいの利益を狙うのか、という点について、ツナギは一連の取引で5~10%のコストダウンが達成できれば成功と考えています。

【コストダウンの考え方】
取得単価800円の現物に対して、ツナギ売りで40円の利ザヤが取ることがでた。よって、取得単価(コスト)を800円から760円に減らすことができた。

現在、パナソニックの空売りは90円ほど利ザヤが出ているので、取得単価800円の現物に対して、約11%のコストダウンとなります。もちろん、まだ買い戻していないので、コストダウンに成功したわけではありません。

数字だけ見れば成功としても良いのですが、個人的にツナギの仕込みが速すぎたことを反省しています。このあたりは経験を通じて上達していけばいいのしょうが、年間でそう何度も取引できるものでもないため、きちんと取引を振り返り、反省して、次回へ向けた改善の意識を大切にしたいです。

【ツナギ売り】7つの条件

1.現物を持っての空売りであること
2.オーバーヘッジしないこと
3.時価総額5000億円以上の企業であること
4.値上がりした翌日に寄成で売り建てること
5.分割して仕込むこと
6.2ヶ月以上上昇してから売り始めること
7.無理に持ち株すべてをヘッジしないこと

上記の条件でツナギ売りをしている限り、大きな損失を被ることはまずありません。「1」~「5」は絶対に守らなければいけない条件ですが、「6」、「7」は状況に合わせた判断で良いと考えています。

無理に持ち株すべてをヘッジしないこと

私は持ち株をすべて、すぐにヘッジしたがるタイプなので、自制心が課題であると認識しています。よって、守るべき条件に「無理にヘッジしないこと」を加えました。取引を重ねることで弱点や課題も見えてくるので、適宜条件も調整していくつもりです。

ツナギ売りにおける最大の失敗は、売り建てが完了してから半年以上、株価が上がり続けてしまうケースです。

その場合、空売りの返済期限(半年)になりますと、”現渡し”に迫られるため、せっかく手塩に掛けて育てた株も手放さなければなりません。
売り建てまでの現物の利益は確保されるものの、貸株料や逆日歩などの費用の分も差し引かれるため、ツナギ売りにおいて"現渡し"は失敗と言えるでしょう。

逆に"現渡し"に迫られぬように気を付けて売り建てていけば、ずっとコストダウンの機会を得られることになります。原則、逆張りで売り建てをしますので、売り建てた後に株価が持ちあったとしても、コストダウンには成功します。

投機の世界は非常に厳しいものなので、正直このくらい分があり、優しいやり方でなければ、一切やろうと思えません。というかツナギくらいしか優位性を見出せません(;´д`)トホホ…

いつかは売り建てた後に、半年間上がり続けてしまうケースに遭遇するでしょうが、それまでは価格の下落または持合いでコストダウンが狙えます。

時価総額5000億円以上の企業であること

前述の条件に「時価総額が5000億円以上」という項目がありました。これは、規模の大きい会社であれば、”青天井”になる可能性が低いからです。

もちろん、大型株でも価格が3~5倍以上になることもありますが、中小型株よりそのようなことになる可能性が低いため、時価総額が5000億円以上の会社に絞るようにしています。

パナソニックの例ですと、業績や財産状態、ブランドイメージや事業内容などを踏まえ、時価総額2兆円(株価800円)は割安と判断して、株価が下落したタイミングで購入しました。

業績や財産状態に関する情報は、以下に添付しましたマネックス証券の銘柄スカウターを参考にしています。

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パナソニックは、私の見立てですと以下のように考えています。
時価総額1兆円(400円)は超割安、おそらくここまで下がらない
時価総額2兆円(800円)は割安、このあたりで買いたい
時価総額3兆円(1200円)はフラット
時価総額4兆円(1600円)は割高、このあたりで売りたい
時価総額5兆円(2000円)は超割高、おそらくここまで上がらない
※ファンダメンタルズの変化に合わせて見立ては調整されます

パナソニックのような大型株であれば、価格に対する上限はある程度決まってくるので、たとえ年初来高値を更新していても、中小型株と比べると比較にならないほど空売りが入れやすいです。株価が荒れ狂うような銘柄に手を出すべきではないので、単純に価格の安定する大型株で取引するようにしているということです。

対話の記録

最後になりますが、林輝太郎氏の『ツナギ売買の実践』という書籍に、ツナギ売りに関する相談の対話が記述されていました。とても参考になる記録だったので抜粋いたします。内容が少し長いため、私の方で少々編集を加えている点はあらかじめご了承ください。

弟子「私は日立製作所に勤めていて、現物株を11,200株所有しています。平均取得単価は380円で評価額は426万円です。これをツナギ売りでコストダウンできたら、という希望を持っております。具体的なやり方をご教授ください」
輝太郎「まずは、毎日場帳をつけるようにしなさい。そして、数か月経過したら、また来なさい」

はじめての出動は1961年1月である。

弟子「保有している株式の価格が800円を超えたので、売っても良いでしょうか?」
輝太郎「いいとは思いますが、ご自分で決断するようにしてごらんなさい」
弟子「わかりました」

そして、2か月後・・・。

弟子「手仕舞いました。725円ですから、73円幅の利益になりました」
輝太郎「利益はいくらあげましたか?」
弟子「約20万円です」
輝太郎「手持ち株の総金額が426万円ですから、これでコストは406万円になりました。一株のコストは363円に下がったことになります」
弟子「ちょっと待って下さい。はじめての1回で20万円コストダウンしたんですから、これを20回繰り返せばコストはゼロになるわけですね。そのうえ、だんだんなれて上手になってくれば、利益も多くなるわけですから、10回とはいわないまでも、20回以下でコストゼロになるのですね。こんな簡単なのですか。コストダウンのツナギなんて、それこそプロのおこなう高級な戦術が、こんなにやさしいなんて信じられません。ほんとうですか」
輝太郎「本当です。ですが、これからもすべてこのようになってゆくものではなくて、チャンスを待つ苦しみもありますし、売ったあと逆に動いてしまう、見通しを誤る苦しみもあるはずですが、基本は今回やった空売りの繰り返しなのですから、基本としては簡単なのです。これから長期に渡って実行してゆくのですから決して優しいわけではないのですよ。」

これが3月末のこと。4月になったらすぐ電話がかかってきた。

弟子「また800円を超えましたので売ろうと思いますが・・・」
輝太郎「場帳をつけているのでしょう。前に手仕舞ったのが3月の終わりで、それからまだ半年も経っていないじゃないですか。場帳や月足をみてもわかると思いますが、1ヶ月の上げで天井をうつということはほとんどないでしょう。よく見てくださいよ。値がもとに戻ったから、というのはいわゆる”値段にこだわっている”わけですね。それよりも波をみて下さい。少なくとも2ヶ月の上げをみてみたらどうですか」
弟子「ではそうします」

4月は上げ続けた。5月のはじめ、本人が事務所を訪ねてきた。

弟子「900円を超えました。5月1日には960円をつけました。1000円を超えるのでしょうか」
輝太郎「それはわかりませんが、手仕舞った後で少し安値があったと思います。その安値からそろそろ60日経つのではないですか」
弟子「いえ、まだ60日には足りません」
輝太郎「でも、少しずつ分割で売ってみましょう。連休明けにまず1,000株売ってごらんなさい。そして、そのあと1,000株ずつでも2,000株ずつでもいいですから、合計5,000株になるまで売ってみたらどうでしょう。ただ、必ず守ることは安い日の翌日に売らないことです。高い日の翌日に成行で注文を出すことは今まで何回も申し上げ十分に分かっているとは思いますが、いざ実行しようとするとなかなかできないものですから重ねて言います」
弟子「わかりました。やってみます」

そして、弟子は分割して5,000株売った。平均値は924円、一週間毎くらいに売ったから6月の初めまでかかったのだが、とにかくゆっくりと高値を狙って売ったのだ。7月になって電話が来た。

弟子「日立が800円を割りました。もう100円幅以上も利益になっています。手仕舞いしようと思いますがどうでしょうか・・・」
輝太郎「高値を付けてから60日経っていますか?」
弟子「まだです」
輝太郎「ではもう少し待ちましょう」
弟子「一つ質問があります。60日ということを言われた記憶がありますし、今回も60日と言われました。60日というのになにか根拠があるのですか?」
輝太郎「これは昔から言われている波動のことなのです。別に60日ピタリではありませんが、それに近い波があるのです。これは場帳をつけていてもよくわかるでしょう」
弟子「60日とはわかりませんが、上がり下がりの周期があることは感じていました。確認したら場帳も次のように、2ヶ月の波があるんですね。だから、売るのも買うのも、特に急ぐことはないわけですね。少しわかりかけてきました。
1/29高値:802円
3/22安値:718円
5/1高値:960円」

弟子の手仕舞いは772円。売りの平均値は924円だから152円幅の利益で、5,000株だから手数料を引いて約70万円であった。

以上

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本日の記事は、現在取引しているツナギ売りの公開と、実践における考え方などをまとめました。次回は、もう少し具体的な内容をまとめられたらと思います。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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