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5年ぶりの再会と誕生日

こんにちは。
上板橋の学習塾、久賀塾の久保田です。

先日、山賀はとても嬉しい電話で起こされました。
「問い合わせなんですけど…」と話す声は明らかに学生。
自分から電話を掛けてくる問い合わせなんて滅多にありません。

どうやら相手は高校3年生で、進路について相談をしたいとのこと。
学校名を聞いたとき、おや?と思いました。
昔、塾の先生として出張授業をしていた学校の名前だったからです。

久賀塾は山賀と久保田で運営しておりますが、元々は都内の私立中高一貫校で『学内塾』の運営に携わっておりました。
学校の中にオフィスを置いて、放課後に授業や個別指導をする特殊な環境でした。
対象は全学年の全生徒だったため、日々ほんとうに多くの生徒に関わっていました。
楽しい日々だったなあ…。

生徒がたくさんいれば、もちろん思い出深い生徒というのが数名出てくるものです。
学校の問題だけでは飽き足らず、センター試験の過去問まで貰いに来た子。
友だちとうまく行かず半べそをかいて事務室に相談に来た子。
廊下を走って放課後授業から逃げ、結局捕まって静かに椅子に座っていた子…。

知っている子だったりして、と思いながら
「お名前お伺いしてもよろしいですか?」
と聞いたところ、聞き覚えのある名前が返ってきました。
中1の時に出会った生徒で、まさに上記の『思い出深い生徒』の1人。
今でもたまに話題にあがるくらい、ちょっとやんちゃで面白い子でした。

名前を聞いてびっくりした山賀は、「少々お待ちいただけますか」と電話を保留にして私のところへ。
「○○から問い合わせがきたんだけど…ちょっと、出てみて、喋ってみて」と言うので、信じられない気持ちのまま電話に出ました。

私たちの思っていた通り、あの子でした。
今は高3になっており、大手の塾に通っているそうです。
しかし、成績は伸び悩んでしまい…。
進路相談をしても追加の講座受講を勧められるだけで要領を得ず、どこに頼れば良いのか分からなくなっていたそうです。

そんな中で、ふと、覚えていた山賀の名前で検索をかけてみたそうです。
久賀塾が結果に出てきたのでHPを見てみると、あの山賀と久保田が2人で塾をやっていることが分かり、勇気をだして問い合わせの電話番号に連絡してくれたとのことでした。

5年も前、たった1年だけの関わりで、彼にとっても私たちにとっても「たくさんのうちの1人」だったはずです。
なのに、大事な高3の今、わざわざ調べてまで電話をしてくれたことが単純にとても嬉しかった。
ぜひ一度塾においでよ、ということになり、その翌日すぐに彼はやって来ました。
一通り進路について相談し、ちょっと思い出話をして、じゃあまた連絡してね!と解散しようとしたところ…。

「先生、これ、どうぞ」
と紙袋を渡してくれました。
玄関に現れたときから、なんでこんな大きな紙袋を持っているのだろうと思ってはいましたが、まさか手土産だったとは…!
個別指導がイヤでなにかと理由をつけて遅刻したり、宿題を忘れるのはもちろんのこと、調子に乗ったことを言ってよく怒られていたあの子が…!笑

「結婚祝いと、出産祝いと、山賀先生の誕生日祝いです」とのこと!
しかし山賀の誕生日は11月です。
また変なこと言ってんなあ、とつっこもうとしたら、こう付け加えました。
「何百回も祝ってたんで、さすがに本当にプレゼントしようかなと思って」

そう言われて私たちは2人とも思い出しました。
彼は個別指導が嫌で嫌で…60分の授業時間をいかにやり過ごすかにいつも注力している子でした(勉強に注力してほしかったですが)。
そんな彼の作戦は、授業の開始時に毎回「山賀先生、誕生日おめでとうございま~す!」と言い出すことだったんです。

周りの子もちょっと巻き込んで、「誕生日なんですか!?」というくだりを作ることで授業時間を削ろうとする、彼の伝家の宝刀でした。
ああ、あのことか、と思い出したとき、勉強が嫌いで逃げ回っていた彼と、進路の相談で自分から電話をかけてきた彼が不思議と重なり、ちょっと泣きそうになりました。

ジーンとしながら彼を送り出し、いつも通り山賀は授業へ。
授業後、彼からのプレゼントをワクワクしながら開けてみたところ…。

ネコマンマ…かあ…。
中身は超美味しそうな鰹節とお出汁のセットでした。
まさか「先生はネコマンマでも食べててくださいよ!」という彼なりの超絶ギャグなのか…?
それとも、真剣に選んでくれたのか…?
なんにせよ、この掴みどころのなさがまさに『ヤツ』だな、と笑いました。

ありがとうな、次会える日を楽しみにしてるよ!
会えて本当に嬉しかったよ!!

ああ、先生やってて良かったなあ、と思える瞬間でした。

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