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「ハリー・ポッター」のダメなところ

こんばんは。
上板橋の学習塾、久賀塾の久保田です。

「本を読む子どもが減った」と毎年のように言われていますが、本当でしょうか。
少なくとも私の周りにおいては、ある程度本当だなと思います。

本を読むのって現代だと結構難しいと思います。
他にも魅力的なものがたくさんありますから。
それでも、国語の成績のことを考えると、どうしても子どもたちには本を読んでほしい。
学校でも、そうやって読書の時間をとっていると思います。

さて、皆さんはどんな小説が好きですか?
言わずとしれた名作の1つに、「ハリー・ポッター」シリーズがありますね。
私たちの世代は当たり前に読んでいると思いますが、最近気づいたんですよね…2010年代の子どもたちって、ハリポタ読んでないんじゃね!?ってことに…。

ハリポタを今から新鮮に楽しめるなんて、すごく羨ましくないですか?
そこで、塾の小学生に聞いたところ、やっぱり読んだことがないそうで…!
塾に設置している貸出フリーの本棚から第一巻の「賢者の石」を取り出して、「ちょっと読んでみて、感想を教えて」と伝えました。

何十分かあと、上巻の10分の1くらいまで読み進めていた小学生に、「面白い?いまのところ、どんな話だった?」と聞いたところ…。

「えーとね、コブラみたいな大きなヘビが出てきて、戦った」とのこと。

詳しく聞いてみると、どうやら話の流れが全く掴めず、自分の興味のありそうなところだけが頭に残っていたようです。
ハリーがどんな人なのか、なぜヘビが出てきたのか等、質問してみましたが首をひねるばかり。

「ちょっと難しかった?」と聞くと…。
「うーん、この本、無駄なところが多かった」

無駄なところ!!

彼にとって、情景が目の前に浮かび上がるように細かく書かれたJ・K・ローリングの文章の数々は、どれも「無駄なところ」だったようです。

「もっと必要なところだけ書いてくれないとお話が分からない」とも言っていました。
誰々が出てきて、戦いが起きて、誰々が勝って、という流れだけが、まだ彼の中で物語なんだと思います。

ハリーという人がいて、額には稲妻のキズがあり、黒い髪と深い緑の目をしていて、メガネをかけていて、カエルチョコレートが好きで、ダズリーの家に預けられているけどいじめられていて…という情報の積み重ねから、「ハリー・ポッター」という少年の姿が浮かび上がってきます。
そうして、自分の頭の中にハリーが住み着いて初めて、彼が経験するいろんなことに一緒に驚いたり感動したり、目の前にホグワーツが見えてきたり、魔法薬の匂いが漂ったりする…。
それが、本を読むということだと思うんです。

それができるのには、意外と訓練が必要です。
それこそ、あらすじしか書いていないような本から始めて、少しずつ情景の描写に慣れていかないといけません。
でも、そうしてこそ味わえる面白さというのが、本には確かにあります。

そもそも、本は勉強のために読むのではありません。
楽しいから読むんです。
読書感想文のためだけに読んだり、学校で15分読書をしろと言われたから仕方なく眺めたりしても仕方ないんです。

本を読む機会を作ることは大切ですが、なんでも「やらなければならないこと」になるとつまらなく感じますよね。
本は特にそうです!
勉強のために読まなきゃ!と思うと、「この本を読んだらなにか意識の高い感想を言わないと」ということだけが気になり、面白いとなんか到底思えません。
そして、そんなふうに読んでいると、「どんな本だった?」と聞かれたときに、「人は努力をしないといけないと思った」とかいうチンプンカンプンな答えが返ってくるようになってしまうんだと思います。

本は面白いです。
だからこそ、気負わずにただ「面白い!」と思って読んでほしいな、と思う久保田でした。



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