【翻訳】英国執事が見て見ぬふりしたこと:執事エリック・ホーンの人生と冒険 第9章
優秀なフットマンが、極めて無能な執事になることも多いのです。ボタン(フットマンのお仕着せ)をつけている限りにおいては大丈夫だったことも、黒いコートを着て(執事になること)部下を持つようになった途端にそうではなくなり、途方に暮れます。執事になると、自分の部下たちがきちんと仕事をしているのかを監督しなければなりません。もし執事が部下たちを叱るならば、彼らからの侮蔑を受け止めなければなりません。部下たちは執事が彼らを解雇する力を持っていないことを知っているからです。執事は「馬車」を運転しているとされていますが、実際の鞭を握っているのは主人です。もし部下の何人かを主人に報告し、ふさわしくない能力だと解雇させれば、主人からすぐに「部下を管理する方法を知らない」「部下に厳しすぎる」と執事が言われます。
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