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スリムなあなたも要注意!「痩せメタボ」とは?

メタボと聞くと、みなさんは何を想像しますか?

多くの人がぽっちゃりした人を想像するのではないかと思います。

しかし最近一見スリムに見える人でも生活習慣病を持ち合わせていることも多く、注意が必要で「痩せメタボ」とも呼ばれる状況に陥ることがあります。

今回はそんな痩せメタボについてお話しします。



メタボ=メタボリックシンドロームとは?


【メタボリックシンドロームの診断基準】

1. 腹部肥満ウエストサイズ 男性85cm以上 女性90cm以上

2. 中性脂肪値・HDLコレステロール値中性脂肪値 150mg ⁄ dl以上
HDLコレステロール値 40mg ⁄ dl未満(いずれか、または両方)

3. 血圧収縮期血圧(最高血圧) 130mmHg以上
拡張期血圧(最低血圧)  85mmHg以上(いずれか、または両方)

4. 血糖値空腹時血糖値 110mg ⁄ dl以上

上記にあるようにメタボとは内臓肥満+脂質異常・高血圧・高血糖が合わさった状態のことをいいます。(ウェストサイズ+2~4の2つ以上があてはまるときに診断されます)

内臓肥満の評価に腹囲を用いているので、おなかポッコリな人が当てはまりやすいのは確かです。

多くの場合、食べ過ぎ、加齢による運動習慣の低下や基礎代謝の低下、飲酒、喫煙、睡眠・運動不足といった生活習慣に問題があることで進行してしまいます。

内臓脂肪は手でつかむことのできない内臓周りについた脂肪のことを意味します。

内臓脂肪がなぜメタボリックシンドロームの診断基準にあるかというと、脂肪細胞から分泌される物質が体に悪影響を及ぼすからです。

具体的には

・アンジオテンシノーゲン:血管の収縮や血管壁を厚くし血圧をあげる

・TNF-α:インスリン(血糖値を下げてくれるホルモン)の効き目を悪くする

・遊離脂肪酸:善玉コレステロールを減らし、中性脂肪を増やす

・PAI-1:血栓をつくりやすくする

などの体に良くない作用があります。

怖い一方で、生活習慣の改善で皮下脂肪よりも速やかに変化する部位でもあるので、対策をやる価値が大いにあると言えます。


脂肪肝だけではない!異所性脂肪って知ってる?


人間の体には脂肪がたまる部位として「皮下脂肪」と「内臓脂肪(腹部の臓器周囲の脂肪)」があります。

”異所性脂肪”とはそれとは違う本来脂肪貯蔵ではないところに脂肪があるものを指します。

代表的なのが、脂肪肝。脂肪が肝臓にたまった状態です。
アヒルを意図的に太らせて脂肪肝にした珍味がフォアグラですね。

ビタミンも摂取できるおいしいフルーツですが、健康によかれと食べ過ぎると果糖によって脂肪肝になるリスクが上がってしまいます。

フルーツにももちろんメリットはあるので、食べないように!とは言いませんが、より低糖質なグレープフルーツやキウイを選んだりドライフルーツやシロップ漬けのものは控える方がいいと思います。

そして最近筋肉に脂肪が蓄積する「脂肪筋」も注目されています。

筋肉は糖分をグリコーゲンとして蓄える働きがありますが、脂肪によって糖代謝が邪魔されることで糖尿病や高血圧、動脈硬化などにつながる可能性が明らかになっています。

脂肪肝も脂肪筋は見た目ではわからないので、生活習慣病の指摘があったり、揚げ物が多い、車などを利用して歩かない(5000歩/日)などがあてはまればリスクがあります。


痩せメタボはなぜおきる?


痩せメタボとは一見スリム体系でも生活習慣病などの生活習慣病のリスクが高い人のことを指します。

スリム体系を維持するために栄養不足がある一方で、高脂肪・糖質食、運動不足がある人に見られます。

痩せている人の脂肪肝も増加傾向です。

40~79歳の日本人約7200人を対象に追跡した研究ではやせ型の人のほうが糖尿病発症リスクが数値としては高いことがわかりました。

実は血糖値を下げてくれるホルモンであるインスリンは、同化ホルモンともいわれ体を作ってくれるホルモンでもあります。

同化作用が弱い=やせ型であるということはインスリンの分泌や効き方が弱い可能性もあります。

アジア人は欧米人よりもインスリンの分泌能力が弱く、軽度の体重増加であっても糖尿病になりやすいと考えられえています。

若いやせ型女性は標準体重の女性よりも約7倍血糖値の異常を認めたという報告もあり、注意が必要です。
(J Clin Endocrinol Metab.2021 Jan 29;dgab052.)


問題は偏った食事と運動不足


周りを見回すとパンやパスタ、麺類など手軽に食事をとろうとすると炭水化物や脂質の多い食事にはなっていませんか?

忙しい環境でパッと食べやすいものはだいたいこういたメニューになりがちです。

こういった食事では血糖値が急激に乱高下したり、消費できない糖分が脂肪になって内臓や筋肉に蓄積するリスクが高まります。

特に週に1回以上運動しておらず、普段もあまり歩かない人が筋肉に脂肪がつきやすいと報告されています。
(J Diabetes Investig. 2011 Aug 2;2(4):310-7.)

現代は便利になってあまり動かない生活になりつつありますし、リモートワークなどでますます運動しない生活に拍車がかかってしまったといわれています。


体重はいつも人に見えるように下げて歩いているわけでもないので、ふっくらに見えても体の内面に問題ないならさほど気にする必要がありません。

一方で一見すらりとしていても内面に問題があれば将来的に体や美容面でも不調がでてくる可能性が高くなります。

健診などを活用して指摘された事項があればスルーせずに早めに改善にとりくむことをおすすめします。

具体的な運動の工夫やおすすめの食事に関しては、引き続き記事にしていきたいと思います。



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