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生きている、それだけで誰かの役に立っている~心に残るあのエピソードをあなたへ~

チェーンナーさんの企画
~心に残るあのエピソードをあなたへ~
文子さんからバトンを受け取りました。
文子さん、ありがとうございます。

早速、書いてみました。

~心に残るあのエピソードをあなたへ~

3カ月ほど前から
住宅型老人ホームで
少しだけ働かせていただいています。

空いた時間を利用して
週に2回、4時間ほど。

そこで出会ったKさん。

Kさんに心を開いてから
私はKさんに会うのが
楽しみになりました。

用事がない日も
Kさんのことが気になって
お部屋をのぞいて
声をかけています。

最近のKさんは
吸引器を使用することが
ほとんどなくて
吸引容器の回収に回っても
確認してすぐに
部屋を出ることが多くなりました。

その日も
容器はきれいなままだったので、

「使っていないみたいなので
 使った時にまた来ますね」

そう言ってすぐに部屋を出ました。

そしたら
私の後ろ姿に向かって
Kさんが声を振り絞るように
言いました。

「…さ、み、し、い、の…」

私ははっとして
すぐにKさんの元に駆け寄りました。

「そうですか…。
 そうですよね…。
 さみしいですよね。
 
 分かりました。
 この仕事が終わったら
 また来ます。
 少し待っていてくださいね」

吸引容器の回収、洗浄、返却を終えた後
先輩の元に仕事の確認にいくと
幸いにも、
今日はあまり仕事が
立て込んでいないとのこと。

私はKさんのことを話し、
部屋の整理も兼ねて
しばらくお部屋で過ごしても良いか
きいてみました。

「ゆっくりいいよ」
先輩は笑顔で言いました。

良かった…。

私はKさんの部屋に急ぎました。

「Kさん」
名前を呼んで
Kさんの顔を覗き込むと
Kさんはただだまって
にこにこしていました。

それから
私たちは
色々なお話をしました。

私の問いかけに
Kさんは少しだけ
返答してくれましたが
うまく聞き取ることが出来なくて。

こうかな…
と私なりに想像しながら
会話を続けていきました。

ゆっくりお話をし
部屋の整理も終え
「Kさん、楽しかったです。
 ありがとうございました」
とお礼を伝えると、

Kさんは目を輝かせ
「ほ、ん、と?」
と言いました。

「はい。とっても。
 また、会いに来ますね」

そう言って部屋を出ようとすると
Kさんは言いました。

「…あ、り、が、と、う…」と。

「こちらこそ、ありがとうございました」
私は幸せな気持ちで
Kさんの部屋を後にしました。


さてこの日は
Tさんという方の部屋にも行き
同じように部屋の整理をしながら
お話をすることができました。

T さんの話すことは
事実と異なることもあります。
それでも
Tさんとのおしゃべりは
とても楽しくて、
私はT さんと話すのが大好きなのです。

その日も
本当に楽しい時間を過ごしました。

「今日は
 たくさんお話を聞いてくださって
 ありがとうございます。
 とっても楽しかったです」
そう伝えると、

Tさんは驚いたように
「ほんと?」
と目を輝かせました。

「はい。とっても楽しかったです。
 また、私のお話聞いてもらえますか」

「いいよ」
Tさんはそう言うや否や
すぐにすやすや眠り始めました。

KさんそしてTさん、
お二人の「ほんと?」の言葉には

あなたの役に立てて嬉しいわ

そんな思いが
込められているような気がしました。

入居者さんの中でも
特にも
KさんやT さんのような寝たきりの方は、
食事、排せつなど
生活の全てを
介助によって支えられています。

ですから
自分が誰かの役に立っている
という実感が
なかなかもてないのだと思います。

「ありがとう」
言うことはあっても
「ありがとう」
言われることは少なくて。

「やりますね(やってあげますね)」
言われることはあっても
「やりますね(やってあげますね)」
言うことはほとんどなくて。

でも
みんな一人一人
かけがえのない存在で
生きている
それだけで素晴らしいことなのですね。

Kさんの「ありがとう」の言葉や笑顔が
私に大切なことを教えてくれたように。
Tさんのおしゃべりが
私に元気をくれるように。

この世に生を受け生きている
そのことだけでもう
誰かに影響を与え
誰かの人生の役に立っているのですね。

それでもやっぱり
自分では
なかなかそんな風には思えなくて。

だからこそ

あなたといられて幸せ
あなたといると元気になる


そんな誰かの言葉が
明日を生きる希望に
つながるのだろうな…
そんな風に思いました。


さて、
次のバトンですが、
たくさんの方が思い浮かんで
悩んでしまいましたが…。

時々note街に現れて
私たちを
ほっこり和ませてくださる
はらっぱのりすさん
お渡しすることにしました。

noteをはじめて
半年ほどたったころに出会った
はらっぱのりすさん。

世の中には
こんなステキな人がいるんだなと
心がほんわか温かくなったことを
今でもおぼえています。

新しい記事も
もちろん楽しみですが、
はらっぱのりすさんの記事は
どれもこれも
みなさんに
おすすめしたいものばかり。

もし、
はらっぱのりすさんが
このバトンを受け取ってくださったら
新たなエピソードを
披露してくださるのか、
それとも
過去のステキな記事の中から
アップしてくださるのか。

どちらであっても
はらっぱのりすさんが
きっとみなさんを
優しい世界へと
誘ってくださることでしょう。

はらっぱのりすさん、
日頃の感謝の気持ちと
最近、いかがお過ごしですか?
そんな便りの意味も込めて
このバトンをお渡ししますね。

https://note.com/cloverisu/n/na9d399172129

ただ、もし、
今は難しいという場合は
遠慮なさらずに
おっしゃってくださいね。

その場合、このバトンを
そのままチェーンナーさんへ
お渡しすることが
出来るのだそうです。

はらっぱのりすさんの
無理のない形で
バトンをつないでいただけたら
嬉しく思います。
よろしくお願いします。

チェーンナーさん
そして文子さん
ステキな企画を
そして素晴らしいご縁を
ありがとうございます。


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