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双子の子育て、光と影 双子でよかったと思えるために。

双子妊娠は突然に。

妻からの突然のLINE。スマホのスクリーンに浮かび上がる「双子だって!」の文字。そして固まる僕の思考。

いまから9年ほど前、僕は双子(三男四男)の親になることが決まりました。妻の母体にかかる負担、妊婦検診のその日から始まる管理入院と、長男(当時4)次男(当時2)との父子家庭状態。

出産後、軋む妻の身体と、男児四人との生活に、僕も妻も疲弊していました。街にでれば、「あら、かわいい」「あっ、双子だ」と声をかけられ、その声には入ってない妻、長男、次男、と僕。

家に帰れば、さまざまな物事が家庭内で起き、夫婦で何とかするしかない日常。僕らは孤独孤立状態に陥りかけていました。

友だちもいない、情報もない

周囲には双子を育てた友だちもいません。ネットでいろいろ検索もしましたが、バチっとはまる制度や政策も見つけられない。ブログによる体験談はあるけれど、見知らぬ個人の経験なので、参考にはなっても、やっぱり環境が異なります。

そのなかでひとつの記事を見つけました。NPO法人つなげる代表の中原美智子さん。偶然、知り合いの知り合いだったので、すぐにアポイント取って、尼崎に。

一言で言えば、救われました。ご本人が双子子育ての経験者ということもありましたが、当時、ふたご家庭のための自転車を作ろうとしていたり、たくさんの双子・多胎家庭のケースをご存じだったので、「あっ、何かあったら中原さんに連絡すればいいや」と思えました。実際に相談もしてました。

誰かの経験を教えてもらうことで、自分たちの経験も誰かの役に立つかもしれない。そう思えるようになりました。そこで妻と話をして、自費出版で本を出そうと。そのときにも中原さんにはたくさんお世話になりました。

最初に印刷した分は掃けたので、自分たちで増刷して、kindle本にもしました。いまも毎月10冊から20冊読まれています。双子は一定の確率で生まれてきます。ときどき、感想やメッセージいただきます。Unlimitedなら無料です。

双子・多胎家庭が、「しんどい、でも双子でよかった」と思えるように。

少子化対策の不備や、子育て政策の脆弱性など、社会的に不足しているところはありますが、双子妊娠がわかり、双子が生まれて、育てて行く家庭にとって、とにかく「いま」がすべてになってしまいます。

深夜に、一方が泣いては、寝付いたころにもう一方が泣く。ひとりが機嫌よくても、もうひとりが超不機嫌。片方がもぐもぐご飯食べてる他方で、お皿ひっくり返して反り返る。

怪我、病気、保育園、小学校、習い事送迎、教育費、食費など、目の前に突き付けられる「困った」と、先々に絶対来る不安。そんなことを考えていると、げんなりして絶望感にさいなまれます。

そもそも、若者(親)支援や子育て支援でも、双子・多胎は基本的にメインターゲットになりません。幸せの象徴みたいな扱いの裏側で、親は疲弊しているのにです。

ちょっとした相談ができて、何かあったら連絡したら返ってくる、中原さんみたいな存在がいるだけで、結構救われます。僕のように。

その中原さんが個人からNPO法人を作って、双子・多胎家庭の支援をされています。実際のケアだけでなく、政策提言などもやりながら、最近では「ふたごハウス」まで立ち上げました。

たくさんの双子家庭が、助けを求め、ひと時の安住を探して訪れています。メディアにもたくさん取り上げられています。しかし、双子はやはり幸せの象徴で、その取り上げ方は、いい話。経営運営まで触れることはありません。

ほとんどのNPO活動がメディアで取り上げられるとき、それが危機的な話でも、心温まる話でも、団体の経営運営は触れられないままです。当然、そのままにすれば消滅します。

いま、NPO法人つなげるは、年間運営費の一部をねん出しようと、クラウドファンディングに取り組んでいます。

双子・多胎出生率の高まり、虐待割合の高さ、しんどさがゆえに、ときに自分の子どもに手をかけてしまいそうな事例。そういうことを前面に出せば、寄付は集まりやすくなるかもしれません。

それでも、双子子育てには楽しさや喜びだってあります。しんどい、かわいそうなだけではありません。マイナスをゼロに、ゼロをプラスにする活動は、前者も後者も大切で、バランスを前者に寄せれば当事者のスティグマにつながってしまうかもしれません。

だからこそ、僕も協力しようと思いました。想定外に工藤家の訪れた双子、パニック気味の子育て、暗闇に閉ざされた双子子育て道に、一筋でも光があれば、もう少しだけ、今夜だけがんばろって思えます。

いま、長男、次男、双子の三男四男は元気です。毎日10合近いお米が消失します。この先どうしたらいいのかなと思うことも多々ありますが、双子・多胎家庭も応援しようという方が、NPO法人つなげるを通じて、僕らのような家族を支えてくださると、とても嬉しいです。

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