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中身も大事だけど、器もやっぱり大事。

「闇から光が輝き出よ」と命じられた神は、わたしたちの心の内に輝いて、イエス・キリストの御顔に輝く神の栄光を悟る光を与えてくださいました。ところで、わたしたちは、このような宝を土の器に納めています。この並外れて偉大な力が神のものであって、わたしたちから出たものでないことが明らかになるために。

新約聖書 コリントの信徒への手紙二 4章6-7節 (新共同訳)

こんにちは、くどちんです。キリスト教学校で聖書科教員をしている、牧師です。

実は年末に唐突にBTS(防弾少年団)にハマりました。

始まりは子どもたち。学校で流行っていたのか、YouTube を見て踊ったり歌ったりし始めました。「へー、これがBTSかー」「何人おんの?」「この人って、この人?(シーンや衣装が変わると人の見分けがつかなくなる)」という感じだったのですが。

私そういえば今さらですけど割と熱量高めのヅカファンだったんですよ。今は軽く隠居状態ですが。で、ヅカファンは「美しいかわいい人たちが、ものすごく努力して素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたり、仲良くわちゃわちゃしている姿を垣間見せてくれたり」ということが大好きなわけですよ。

うん、ハマらんわけがなかったね。

そういうわけで、めでたくジェットコースター級の勢いで沼落ちしました。

余談ですが、「BTSにハマりました」って言うと、思いがけないくらいあちこちから「実は私も!」の声が返ってくる。今まで仕事の話しかしたことの無かった人からメッセージもらったりして、何だかお友だちが増えそうな予感です。推しは世界を救う。

ところで、この世界的大ヒットとなっている「Dynamite」ですが、こういうヒット曲と出会う度に思うことがあります。

「これ、別の人が歌っていても、同じくらいヒットしたのかなぁ?」

たとえばBTSがまだまだ売れていなかったデビューしたての頃にいきなりこの曲を提供されていたらどうだったのでしょうか。一気に世界規模に上り詰めることになったのでしょうか。あるいは別の名も無い音楽グループが、同じように昨年この曲とこのダンスを世に送り出したとして、やっぱりビルボードでトップを取ったりしたのでしょうか。

たぶん違うんじゃないかな、というのが私のぼんやりとした考えです。

歌も楽しい、歌詞もポップで気分が明るくなる、ダンスもかっこいいし、ビジュアルも素敵。その上すでにいろいろな実績を持っていた「2020年のBTS」だったからこそ、この曲はここまで人々に届き、愛され、世界的な大ヒットとなったのではないでしょうか。

逆にデビュー曲がどーんと売れたりするアーティストもいますが、それについても「名も知らぬ歌手が、すごくぐっとくる歌を出したぞ」というように、「その時のその人だから響く」という形でヒットするのではないかな、と思うのです。

歌そのものという「コンテンツ」ももちろん大事だけれど、それを「どんな人が届けるか」という「入れ物」の部分もすごく大きな意味を持つし、そのコンテンツを届ける「入れ物」が変われば、コンテンツの受け取られ方もきっと変わってしまう。出来合いのおかずでもプラスチックの容器のまま食べるよりは、お家でお皿に移して食べた方が何となくおいしい、心がほっとする、ということもありますよね。それと似たようなこと。器が変われば、中身の受け取られ方もきっとちょっと変わるのです。

冒頭の聖句では、私たち自身を「神さまの恵みを入れる器」と表現しています。偉大で素晴らしい光を入れる私たちは、「土の器」です。土の器は、質素で壊れやすいものでしょう。けれどもこんな「しょぼい器」に、神さまは素晴らしい恵みを入れてくださっています。

「コンテンツが良くても、入れ物がつまらなければ、その良さが伝わらない」と先に述べました。でも、「神さまの恵みは素晴らしいけど、私たちは所詮土の器に過ぎないから、ダメだ」とは思いません。むしろ、欠けや割れのある器ほど、そこから神の光が漏れて、かえって良いかもしれませんよね。密閉度の高い「しっかりした器」だと、全然中身の魅力が伝わらなかったりしてしまうかもしれません。

質素でも安物でもいいから、温かみのある器でありたいな、とは思います。無機質な器ではなく、でこぼこやゆがみ、欠けや古さも味わいになるような、そんな器になりたいです。

私たちは「人から見て、欠けや割れ、汚れや曇りの無い、ぴかぴかの器としての私」を目指したくなりますが、「中に入れた光を届ける」という器としての存在意義を忘れずにいたいと思います。その上で、器自体に対する評価を求めるのではなく、「この光を十分に届けられる器」として目指すべき姿を模索していけたら、と思うのです。

ぴっかぴかな人たちが届けてくれる素敵な歌に心躍らせることが、「神の恵みの器」を磨くことにも繋がりそうな気がしている今日この頃です(^^)

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