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【8月編】漫画家9℃の月推しマンガ3選2022

こんにちは、漫画家の9℃です。

こちらは
マンガ好きの漫画家が、先月発売新刊の中からおすすめタイトルを紹介する
という記事になります。

8月発売新刊の中から、今回は3作品選出させていただきました。


以下、作品タイトル(巻数)・著者・レーベル(出版社)・あらすじ・オススメポイント、という感じで紹介していきます。
電子書籍ストアBookLive!のリンクを貼っていますが、「書影がすぐ見れる」「登録なしでブラウザ試し読みができる」「私が普段使いしている」という理由です。
BookLiveに扱いのない作品については、公式サイトを載せています。

それでは紹介させていただきます!


『虎は龍をまだ喰べない。(1)』 著・一七八ハチ

…ハルタコミックス(KADOKAWA) 

食べるために捕らえ、生きるために戦う獣たち。龍を捕らえた虎は、その幼い風貌を見るなりすぐに食べてしまうことをやめ、奇妙な共生関係が始まった。
生きることへの姿勢も、種族としての意識も異なる二匹の間に芽生える心の正体は―…。

荘厳さ神聖さを感じさせる圧巻の画面描写が魅力で、多くを語らずとも彼らの生きる美しく厳しい世界にどっぷりと入り込める美しさと生々しさがあります。
丁寧で繊細な作画でありつつ、キャラクターに詰められたフェチズムも両立して楽しめます。強くて真面目で不器用なお姉さんと賢く生意気で勝気な少年それぞれの濃い魅力があり、ふたりの微笑ましいやりとりの満足感もとても高いです。
始まったばかりの二人の関係からも目が離せない、ぜひ早めに見つけていただきたい作品です。


『天幕のジャードゥーガル(1)』 著…トマトスープ

…Souffle(秋田書店) 

奴隷として売られた先で、学ぶことの意義を知った少女。しかし数年が経ったある時、帝国の侵略を受け大切な主人を失い、少女は捕虜となってしまった。
運命に翻弄されながら、大切な存在に与えられた「知」を武器に闘う少女たちの記録。

かわいらしくコミカルな絵柄で描かれる壮大でシビアな歴史譚は、シリアスな物語に引き込まれつつも重たく感じすぎずに読み進められるバランス感を成立させています。
背景描写がメインで人物はあくまでシンプルな線での表現…と思いきや、主人公であるシタラ(ファーティマ)の葛藤や覚悟のこもった表情の描写がとても魅力的です。
世界を知れば知るほどにその途方もなさに圧倒される、けれど知ることの価値を感じさせてくれる注目タイトルです。


『僕の心がチューと鳴く』 著・胃下舌ミィ

…ビームコミックス (KADOKAWA)

ある日、義父がネコになった。頭がおかしくなったとみんなが言う。自分もそう思う。
だけど、似た感覚を知っている。
平凡でまじめな普通の人間のままいたい自分が、本当は思い出したくなかったこと。…自分が、ネズミだということ。

うまく説明ができない…ということを紹介記事で言ってしまうのはよくないなと思うのですが、これは実際に読んでみてもらわないとわからない、とあえて書かせていただきます。
生きづらさ」という言葉が、気づけば世の中に浸透してきています。それぞれが固有の「生きづらさ」を感じながら、ある人は開示し共有することで、またある人は隠して周囲になじもうとすることで社会の一員となって。
一見突拍子もなくシュールに見えるこの一冊が、自分や他人の「生きづらさ」に対する視界を大きく揺さぶってくれるかもしれません。


今回の紹介は以上になります。

今月の紹介記事が少し遅くなってしまいました…楽しみにしてくださっている方の声や実際にオススメされた作品を読んだ!というありがたいコメントも時々頂けて嬉しい限りです。
仕事がまた忙しくなってきており(ありがたいことですが)紹介する冊数を少しずつ縮小していこうかな…という心づもりもあるのですが、たくさんの作品を楽しむことは変わらず続けていきたいなと思っています。

それでは、今月も楽しいマンガ生活を!

9℃

ありがとうございます!これからも頑張ります。