見出し画像

退職願に添えて

退職届を送付させていただきます。

無出勤が長く続いているにもかかわらず、ずるずると自らの進退を決めかねておりましたこと、大変申し訳なくお詫びいたします。
併せてこれまでご心配・お気遣い頂いたことに深く感謝申し上げるとともに、退職を決心するに至った経緯を含めて病状等の簡単な説明を付させていただきたいと思います。

画像1

昨年の2月に黄疸症状が出て赤十字病院に検査入院しました。膵臓に腫瘍が認められ癌の疑いが濃厚でしたが、慎重を期すために各種の検査が1ヶ月ほどかかりました。膵臓部の癌は発見した時には手遅れの状態が多いため、手術が可能かどうかの判断もありました。
「開けてみるまで分からない」なかで決心をし4月初めに約10時間に及ぶ手術をしました。出来ていた腫瘍は間違いなく癌でしたが、きれいには取り切れずまたリンパに飛んでいる状況にありました。手術から1ヶ月で退院できた、というより退院させられたというべきか、やっと歩ける状態でしたが、それは次の治療の化学療法に移るためにも早急に体力を回復しておかなければならない、という理由がありました。
2ヶ月後、再検査で肝臓に癌が転移していました。「転移が早いのでこのまま放っておくと数か月の余命」ということで直ちに抗癌剤治療が始まり、今現在通院でその治療を続けているところです。

職場ではこの2~3年のあいだ、癌で職場を離れる人が偶然にも続いていたことがあり「お互い気を付けよう」と同僚間では合言葉みたいになっていたものです。そんな中でわたしが癌になり、自分でもびっくりすると同時に上司・同僚に申し訳なく思ったものです。忙しい中で一人が欠けるのはとても厳しい状況になります。
わたしが入院して職場の皆さんは心配しこれまでずっと励ましてくれました。わたしも逐一状況を知らせつつ早く職場復帰を望んでいました。
しかし、膵臓の半分を摘出、十二指腸と胆のうの全摘という手術は思った以上に体力が戻らず、また抗癌剤の副作用が強く出て気分のすぐれない日々が続きます。
自分の目安では、一年以内には元の体力・健康状態に戻れて職場復帰できると踏んでいましたが遅々として回復が進まず、この先も今を維持するのが精いっぱいだと思われます。

ノート秘密保持誓約書(目隠し)

職場を離れてもうすぐ一年が経過しようとしています。勤めてきた職場は離れがたく、会社に籍だけでも残しておきたいというのはずっと自身を支える柱でもありました。しかし、長く職場を離脱している状態を続けるのはここまでが限度と思い、退職という形で身辺を整理しようと考えた次第です。

癌治療は日進月歩で治療効果は進んでいます。わたしの場合でも手術ができたことは幸運であり、抗癌剤も癌を抑え込んでいて消滅の方向に向かっているところです。
わたしは決してあきらめてはいませんし、そう遠くないときに職場に再登場できるだろうと考えています。しばらく籍を離れますがそのときをお待ちいただければ幸いです。

これまでのご厚意に感謝申し上げます。ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?