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【台本】害悪オタク列伝 暇アノン問題編その1:Colabo攻撃の経緯と動機

導入

 害悪オタク列伝。これは、オタクたちの傍若無人な振る舞いを解説し、事実を記録するシリーズである。皆さんこんにちは。新橋九段です。
 今回解説するのはいわゆる暇アノン問題。現在進行形の陰謀論と誹謗中傷であり、一般社団法人Colaboへのデマ攻撃です。
 ここで取り上げる攻撃は非常に複雑かつ広範であり、簡単に解説するというのは正直なかなか困難です。
 そこで、この動画ではまず、この攻撃がどのように発生し、どのような動機によって行われているのかを解説します。
 続くシリーズでは、東京都の監査請求前後のデマの中身を具体的に解説する予定です。お楽しみに。

デマ攻撃の経緯

 そもそも、一般社団法人Colaboは、仁藤夢乃氏を代表とする女性支援団体です。
 主に未成年の女性の支援を行っている団体で、バスカフェなどによるアウトリーチ活動で支援を必要としている女性と繋がっています。
 そんな仁藤氏とColaboへの攻撃が始まったのは2022年の8月。
 暇空茜を名乗るアカウントがYouTubeへ投稿した動画とnoteに投稿した記事で、氏と団体に不正会計の疑惑があると主張したことがきっかけでした。
 もっとも、その内容は後々解説するように、その時点でかなり無理のある解釈から導かれるいちゃもんでした。しかし、攻撃はエスカレートします。
 暇空は団体の所有するバスが駐車されている地点をネット上に公表し、これをきっかけにバスが傷付けられる事態にも発展します。


 こうしたなか、11月29日、Colaboは弁護団を結成し暇空への訴訟を行うことを会見で発表します。[1]

 そして2023年1月4日、暇空が東京都に申し立てていた監査請求の結果が公表されます。[2]
 会計の処理が一部不当とされたものの、不正はひとつも認められませんでした。このことから、Colaboに不正がなかったことは公的にも証明されました。

 しかし、攻撃は依然として止んでいません。1月18日の活動では暇空のデマを真に受けた複数の男性が活動場所に押しかける騒ぎにすらなっています。[3]
 このような嫌がらせは動画作成中の現在も続いています。

 なお、この問題は一般に「Colabo問題」と呼称されることが多いものですが、本動画シリーズではそのようなフレーズは用いません。
 監査の結果からも明らかなように、Colaboに問題があるわけではないからです。
 にもかかわらず、「Colabo問題」というフレーズを用いることは、問題の所在について誤った認識を助長するものです。
 このため、本動画ではこの問題を、少々スラング的ではありますが、一般に普及している呼称を用い「暇アノン問題」と呼ぶこととします。
 では、なぜ暇空茜とその信奉者は「暇アノン」と呼ばれているのでしょうか。

暇アノンとは何なのか

 暇アノンという呼称の元ネタは、アメリカの陰謀論者や彼らによる活動を指すQアノンです。
 Qアノンの陰謀論は広く複雑ですが、基本的な特徴はリベラルやインテリが巨大なネットワークを作り反道徳的な利益を貪っているとするものです。
 代表的な陰謀論はピザゲートでしょう。これは大統領選当時、ヒラリー陣営がピザ店の地下を拠点に児童買春を行ったとする陰謀論です。
 加害者とされたのがヒラリー陣営というリベラル派であり、彼らが児童買春という反道徳的な利益を貪っているという要素は、まさにQアノン陰謀論の基礎を詰め込んだ内容と言えるでしょう。
 もちろんそんな事実はありませんでしたが、アメリカでは実際にこの陰謀論を信じた人物がピザ店で銃を発砲する事件まで起こしています。

 暇アノンはQアノンをもじった呼称ですが、実際に、暇空茜が主張する陰謀論にはQアノンとの共通点が多く見られます。
 代表例は「ナニカグループ」という陰謀論です。暇空はColaboを始めとする左派的な(と自分が思っている)組織が広く繋がり、不当な利益を得ていると主張します。
 これはQアノンに見られる、リベラルが反道徳な利益を得るというストーリーと全く同じものでしょう。
 また、陰謀論を信じ込んだ人間が実際の加害行為に走るという攻撃性も共通してしまっています。
 こうした特徴から、暇アノンという呼称は陰謀論であるという単純な共通点を超えて、彼らの性質をよく言い当てたものであるといえそうです。

 ちなみに、Qアノンはトランプ支持者が中心であることから明らかなように、極右思想や民族主義、女性蔑視と親和的な陰謀論であるとも考えられます。
 暇アノンの攻撃対象は女性支援団体ですから、女性蔑視という点ではまさに共通しています。
 また、現在、暇アノンに親和的な議員には自民党所属のものが多く、暇アノンを肯定的に取り上げた雑誌も極右論壇と呼ばれる種類のものです。[4]
 この点、極右や民族主義との親和性も暇アノンとQアノンの共通点と考えられるでしょう。

デマ攻撃の動機

 さて、ここまでの解説を、もし暇アノンと呼ばれた人たちが聞いていたら、怒りとともにこう反論するでしょう。
 「我々は陰謀論者ではない。ただ公金の使途を気にかけている善良な市民だ」と。
 しかし、残念ながら、この主張は大ウソと言わざるを得ません。最大限好意的に解釈しても、少なくとも彼らは暇空に騙されているというべきです。
 なぜなら、Colabo攻撃を主導した暇空茜自身が、攻撃の動機が公金の使途の解明以外のところにあるとはっきり明言しているからです。

 このツイートを見てください。

 これは暇空自身のツイートですが、はっきりと「作品を燃やしませんって詫びを入れたら俺はそこで手を止めますよ」と書いています。
 もし公金の使途が問題であれば、仁藤氏の『温泉むすめ』への態度は一切関係がないはずです。

 また、ほかのツイートではさらにはっきりと、仁藤氏への攻撃の動機を『温泉むすめを燃やしていたから』と書いています。
 つまり、暇空は最初から、作品を「燃やした」というオタク文化への敵対行動をとったと見なした人物への、私的報復として攻撃を行っていたのです。

 ここで、『温泉むすめ』について簡単に解説する必要があるでしょう。
 『温泉むすめ』は株式会社エンバウンドが作成した、日本各地の温泉を擬人化したキャラクターによるメディアプロジェクトです。[5]

 仁藤氏は2021年11月15日、出張先で見かけた『温泉むすめ』の表現の内容を批判するツイートを行っています。
 これが、暇空の主張する「仁藤氏が作品を燃やした」とする行為でしょう。
 ただし、仁藤氏の発言は到底「燃やした」ということは到底できない、単なる批判にすぎませんでした。
 未成年に設定されたキャラクターで、しかも温泉地のPRに用いられるものが、スカートめくりや夜這いといった性暴力を肯定するかのような設定をされていましたから、批判は当然です。
 仮に批判内容に同意しないとしても、批判をすること自体は自由であり、批判すること自体が否定されるいわれもありません。
 もっとも、こうした事実にかかわらず、暇空やその信奉者たちは、仁藤氏の批判は「攻撃」に等しいものとみなしました。
 その私的報復、リンチとして現在の騒動があるわけです。

 なお、こうした動機を赤裸々に語ったツイートは現在削除されており、アットマークから始まるスクリーンネームも変更されています。
 このことをもって、過去の動機を語った発言がなりすましによるものだと否定する主張もありますが、それは誤りです。
 Twitterアカウントのスクリーンネームは変更可能ですが、ユーザーIDは不変です。
 そして、スクリーンネームは過去にどのユーザーIDが使用していたか履歴を追うことが出来ます。[6][7]
 履歴を確認すると、当該発言をしたアカウントのスクリーンネームを、過去に暇空が使用していたことがわかります。
 ですから、『温泉むすめ』に対する批判への報復を動機とするという発言は、確かに暇空自身のものなのです。

 また、動機はどうでもよく、重要なのは公金の使途の是非であるという主張もあります。
 しかし、この主張は、暇アノンが主張する「疑惑」の全てが監査によって否定されたデマであるという事実を無視しています。
 そもそもの前提として、彼らの主張はデマなのです。ですから、重要だとされる「公金の使途の是非」という論点は最初から存在しないのです。
 彼らの行為がデマの流布であり攻撃である以上、それがどういう動機で引き起こされたのかが重要なのは言うまでもありません。
 何より、次回以降の動画で説明するデマは、公金の使途を明らかにする動機があれば絶対にありえない解釈やミスのもとに成り立っているものです。
 もし本当に公金の使途を気にしているのであれば、もっと議論に耐えうるまともな主張を行うはずです。
 そうなっていないのは、彼らの動機が疑惑の解明ではなく攻撃にあり、攻撃に使えるなら疑惑の中身は何でもいいからにほかなりません。

 今回の動画はここまで。動画に使用した参考資料、動画の台本はnoteにも投稿しています。概要欄からご覧ください。
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 また、解説してほしい内容もあれば要望もお待ちしています。暇アノンからの「これはデマじゃない」という主張も動画制作の参考になるので。
 それではまた次回。

注釈・引用文献

[1]【ご報告】Colaboとその代表仁藤夢乃に対する深刻な妨害に関する提訴記者会見を行いました。
[2]東京都若年被害女性等支援事業について当該事業の受託者の会計報告に不正があるとして、当該報告について監査を求める住民監査請求監査結果
[3]【弁護団声明】Colaboによる若年女性の居場所事業への、深刻な憎悪犯罪(ヘイトクライム)に対する抗議声明
[4]月刊 Hanada 2023年3月号 (発売日2023年01月26日)
[5]温泉むすめ公式サイト
[6]暇空茜のユーザーID照会
[7]idtwi(TwitterアカウントのID照会サービスとその説明)

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