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【台本】害悪オタク列伝 暇アノン問題編その2:「不当」の正体と暇アノンの混同

導入

 害悪オタク列伝。これは、オタクたちの傍若無人な振る舞いを解説し、事実を記録するシリーズである。皆さんこんにちは。犯罪学者の新橋九段です。
 今回は前回に引き続き、女性支援団体への攻撃を繰り返す暇アノン問題について解説します。
 前回の動画から少し動きがあり、監査が東京都に求めていた再検査の結果が3月3日に公表されました。[1][2]
 そもそも、1月4日の時点で監査の結果は公開されており、その時点で「不正」がないことは明らかでした。[3]
 にもかかわらず、Colaboへの攻撃が止むことはありませんでした。その大きな理由が、監査が会計に「不当」な点があると指摘したことです。
 今回は再検査の内容も踏まえながら、監査の結果について、特にこの「不当」とされた部分の中身を詳しく解説していきます。
 なお、今回も動画の台本と参考資料の詳細はnoteにアップしていますので、そちらもぜひご覧ください。
 前回の動画には暇アノンからと思われる低評価が多くついています。解説が真っ当だと思う方は、ぜひ高評価をぽちっとお願いします。

「不当」の中身

 では、ここからは実際の監査の結果と再検査の結論を踏まえながら、会計の何が不当とされたのかを見ていきましょう。
 監査の結果では、21頁の「本件経費の検証について」から5つの項目で不当であるとする内容を列記しています。これを順番に検討します。

 ひとつ目は「人件費、法定福利費について」です。これはさらに2つの部分から成り立っています。
 ひとつは人件費が過大に計上されていたというもの。
 これは税理士などの報酬を、委託事業にかかかわる部分だけを計上すべきところ、全額計上してしまっていたという指摘です。
 再検査の結果、約60万円が過大な計上であったと判断されました。
 また、これとは別の人件費では管理台帳への記入のミスもあり、約45万円が過大計上だったこともわかりました。
 もうひとつは逆に、人件費を過少に計上していたというものです。
 本来総額を計上すべきところ、所得税等を控除したあとの額が記載されており、実際の支払額より小さな数字が計上されていたというのが監査の指摘です。
 再検査の結果、過少計上の額はなんと約1300万円にのぼりました。
 いや1300万て。
 この後も色々と解説しますが、「1300万自腹を切っていた」という事実の前にすべてがなぎ倒されることとなります。もう解説ここで終わってもいいのでは。
 というわけで、今回の動画はここまでです。ご視聴ありがとうございました。

 というわけにはいかないので話を続けます。
 不当とされた会計の2つ目は「領収書について」です。
 これは領収書の内容が抽象的で会計処理に適さない状態だったこと、そもそも領収書が示されていないことなどが問題として指摘されています。
 もっとも、監査は『本事業の特性上やむを得ない事由があることは理解できる』とも書いています。
 そもそも、Colaboが委託されている事業のひとつは虐待やDVの被害から逃げてきた女性を保護することです。
 こうした被害、特にDVは加害者が執拗に被害者を追跡し連れ戻そうと手を尽くすことがよく知られています。
 このため、被害者が保護されている場所の情報は厳重に秘匿されなければなりません。
 このような事情から、『女性やスタッフの居場所の特定につながり得る情報は記載でき』ないとColaboも主張しています。[5]
 暇アノンの中には再検査の結果に、都の職員が『領収書原本の提示を求めた際、団体側から領収書の一部の提示がなされなかった』とあることを槍玉に挙げ、あたかもColaboが不正をしているかのように主張する者もいます。
 しかし、これも単に、保護した女性の居場所に繋がりかねない情報を公開できないという事情があったために過ぎません。
 再検査では、こうした事情から領収書が確認できなかった約25万円分が経費から除外されています。
 Colabo側が保護の観点から領収書を示しにくいのは事実である一方、行政の立場として明確な記載のある領収書を求める必要があるのもまた事実。
 2つの立場の違いの解消は、今後の課題となっていくでしょう。

 3つ目は「事業実績額の内訳の記載について」です。これは実績の内訳について、計画の内容をそのまま書き写しており実態に即していないという指摘です。
 これについては書類の書き方の問題という点が大きく、再検査では細かい修正や記載の改善が指導されています。

 4つ目は「履行確認について」です。これも書類上の記載の問題です。
 委託事業の仕様として都は活動内容や頻度を指定していますが、実施状況報告書の記載からではその内容がわからないという指摘です。
 こちらも、今後改善されるという話になるかと思います。

 最後は「給食費、宿泊支援費について」です。
 これは支出が比較的高額な食事代や遠隔地での宿泊費が不適切であるとする指摘です。
 これについてColaboは、あくまで委託事業の遂行のために使用されたものであると指摘しています。
 例えば高額であるとされた食事代については、大人数での食事代として支出されたものと、支援対象の女性のお祝い事として支出されたものでした。
 支援対象の女性のお祝い事を行う重要性もColaboは説明しており、再検査でも『事業実施上必要性が認められる』とされています。
 また、遠隔地での宿泊費についても、都内での活動で繋がった女性への支援のためであると説明されており、再検査でもそのことは認められています。
 このことから、監査が妥当性が疑われるとした食事代や宿泊費は、再検査によってすべて妥当性が確かめられたということが出来るでしょう。

実績額の結果と「表3」の謎

 では、再検査によって実績額にどのような変化が出たのでしょうか。
 そもそも、委託費用としてColaboに支払われる額は2600万円でした。
 そして、Colaboは実績額、つまり委託事業のために実際に支払った額を約2900万円と計上していました。
 このうち、再検査によって費用として認められなかったのは約192万円であり、ここから、実際の実績額は約2700万円となりました。
 実績額が減額されてもなお、都が支払った2600万円を100万円も超す結果となったので、返金の必要はなしということになったわけですね。
 しかも、この実績額2700万円の中に、Colaboが自腹を切った人件費1300万円は含まれていません。
 ですから、実際の実績は4000万円にのぼるとすら考えられます。
 つまり、東京都は委託費用として2600万円を支払い、Colaboはその仕事に4000万円を使ったわけです。
 こうしたところから、監査は暇空の主張する不正疑惑を『本件精算は都に損害をもたらすという関係にはなく、請求人の主張には理由がない』としました。

 なお、実績額に関しては、暇アノンたちの間で「表3」なるキーワードが呪文めいて使用されています。
 これは監査の結果の18頁に登場する表のことを指しています。
 暇アノンの主張は不明瞭かつ各々がばらばらに好き勝手言っているのでまとめるのは困難なのですが、おおよその骨子をまとめると、元々実績額を2600万円としていたところ、監査のタイミングになっていきなり2600万円を超える実績額を記した表が登場するのはおかしいというものです。
 彼らは突然登場したように見えるこの表3が、不正の指摘を回避するために急遽捏造された数字だと思っているのでしょう。
 しかし、この謎は表3の前後の文章さえ読めばたちどころに解決します。
 元々、確かにColaboは実績を2600万円としていました。これは監査の結果に記載があるように、2600万円を超えた額を省いて報告したためです。
 都としては自身が支払った2600万円の使途さえ明らかなら十分で、そこから外れるお金がどう処理されていようが知ったことではないのはその通りです。
 委託費用から外れるものはColaboの自主的な財源で補われており、その財源をどう使うかはColaboの自由です。都もそこに口を出す義理はありません。
 そういうわけで、手続きの労を軽くするために、実績額を超える費用については報告しなくてもよいという処理がColaboと都の間で行われていたのでしょう。
 もっとも、監査としてはそれでよしとするわけにはいかなかったようです。そこで改めて領収書などを精査した結果、表3の結果が登場したわけです。
 ここで重要なのは、『法人Aの本事業実施に係る収支に関する帳簿、領収書その他の諸記録を調査したところ』とあるように、調査したのがあくまで監査らしく、少なくとも表3がColaboが一方的に出した結果ではないということです。
 つまり、表3の実績額は元々存在していたが報告されていなかったものが、監査の調査や確認によって表に出てきただけだということです。
 事実、再検査でも一部を除き、大筋で表3の内容は認められています。
 ですから、表3の存在が不正の証拠であるとか、監査のタイミングで突然現れた、追及を誤魔化すための捏造された数字であるかのような主張は的外れです。
 もっとも、暇アノンはこうした事実を無視し、監査の結果を読むこともなく、「表3」と唱えれば全てが解決するかのように考えているようです。
 まるで口裂け女と出くわして「ポマード」と唱える小学生のように。
 残念ながら、現実は口裂け女よりも複雑で厳しく、一言呪文を唱えただけで自分の思い通りになることはないのです。

「不正」と「不当」の混同

 さて、ここまでで監査の指摘する「不当」の内容を解説したわけですが、そもそも「不正」がないという結論自体は1月4日に出ていました。
 実績が委託料を超えており、『都に損害をもたらすという関係にはなく、請求人の主張には理由がない』という内容は1月4日の監査結果にあるものです。
 では、なぜ監査結果が公開された後もColaboへの攻撃は続いたのでしょうか。その理由のひとつと考えられるのは、「不正」と「不当」の混同です。

 監査では「不正」、正確には「違法」であることと、「不当」、監査の結果では「適当でない」とか「妥当性が疑われる」とされる状態は区別されています。
 住民監査請求の基本的な根拠となる地方自治法第242条では、『違法若しくは不当な公金の支出』などがあると認めるときに監査を請求できるとしています。[6]
 この書き方からもわかるように、違法であることと不当であることは異なります。ただ、地方自治法ではどちらも監査請求の根拠となるとしています。
 そもそも違いがないなら別々の単語を列記することはないでしょう。単に違法あるいは不当の一語で書けばいいだけです。
 「違法」であることは法律に反している状態を指し、意図的に会計を操作した場合や、過失であっても程度が著しい場合これにあたる可能性があるでしょう。
 一方、「違法」と呼べるレベルではないが、正しい状態ではないことを指して「適当でない」と表現されます。
 Colaboが監査で指摘された点は、まさに違法ではないが正しくもない状態だったという意味で、不正ではないが不当だったということなのです。
 暇アノンたちは、こうした2つの単語の使い分けが出来ず、あたかも「不正」と「不当」が同じものであるかのように認識してしまったのです。
 とはいえ、このような事態は、これまでのオタクたちの振る舞いから十分予想できることでした。
 過去、別の動画で解説したように、オタクたちに特有の論調として、単語や概念の粗雑な使用というものがあります。
 これは、単なる批判を攻撃や燃やす、叩くと表現するような振る舞いに代表され、物事を事実とは異なる、自分に都合のいい方向に捻じ曲げる行為です。
 実際、Colaboの代表である仁藤氏が『温泉むすめ』を批判した際も、単なる批判を「攻撃」と言い換えられました。
 仁藤氏は別に『温泉むすめ』の看板を傷つけたりはしていないのですが、彼らの手にかかると否定的な反応は全て「攻撃」になってしまいます。
 このような特徴を持つ言語感覚の前には、意図の有無という抽象的な要素はないに等しいものとなります。
 彼らにとっては、少しでもColaboの非を認める表現は全て同じに見えてしまうのですから。

 それでもなお、暇アノンたちは「不当」と「不正」を混同し、認められなかった会計が意図的な不正の賜物であるかのように頑張っています。
 しかし、少し考えればわかるように、Colaboが「不当」とされた状態を意図的に作り出していないのは明白です。
 もし、「不当」とされた会計も意図していたのだとすれば、Colaboは192万円をちょろまかしながら、それよりも遥かに大きな額の自腹を切って事業を行うという意味不明な行為をしていることになります。
 もし「不正」な会計をするならば、その目的は十中八九私腹を肥やすことでしょう。
 にもかかわらず、会計を意図的に弄りながら自腹をきっていては何にもなりません。支離滅裂もいいところです。

 なお、ミスがあったことをもってなおも「Colaboに問題がある」と主張する暇アノンもいます。しかし、このような主張もいちゃもんに過ぎないでしょう。
 当然ですが、ミスをしない人間や団体は存在しません。多かれ少なかれ誰もが経験することですが、煩雑極まる行政手続きであればなおさらです。
 ですから、ミスがあるから問題だとするなら、この世に問題のない人間や団体はなく、何ら意味のない主張となるでしょう。
 ミスをどう評価するかは、ひとえにそのミスが持つ意味や程度の大きさによります。確かに、大きなミスであればミスとはいえ重大です。
 しかし、Colaboのミスは程度も意味も大きいとはいえません。
 すでに指摘したように、ミスであると認められ経費から削られた額を踏まえても、なおColaboは委託費用よりも多い額を事業に使っていました。
 ミスがあったとしても、それによって生じた問題は自分たちで吸収しており、都に損害を与える格好にはなっていません。
 自分の責任は自分でとっているわけですから、それ以上の文句のつけようはありません。
 しかも、ミスの多くは領収書の処理など、Colaboと都の間で生じた認識の齟齬によるものでした。これは都にも責任の一端があると言えます。
 こうした事情から、少々のミスをもってColaboの会計が杜撰であるという主張も的外れであると言わざるを得ないでしょう。

(本編ではカット)
 最後に、「不正」と「不当」が混同された一因として、マスコミ報道の問題を指摘してこの動画を終わります。
 1月4日に監査結果が公開された際、新聞社の多くは見出しで、会計に不適切な点があったという結果ばかりを強調していました。[7][8][9][10]
 確かに、不適切な点が指摘されたのは事実です。しかし、この問題の本質はそこではなかったはずです。
 監査の結果を読めばわかる通り、監査は「不正」があると主張され請求されたものです。
 そして、その主張はほとんどが無理のあるもので、案の定否定されました。
 主張の動機は女性差別による攻撃でした。その前提を無視し、僅かに認められた「不当」を強調して報じればどのような結果に繋がるかは容易に予想できます。
 事実、こうした報道は暇アノンたちの攻撃を正当化するものとして使用されました。
 また、暇アノンではない人々にも、あたかもColaboに問題があるかのような誤った印象を流布することとなりました。
 そして、報道は3月3日の再検査の結果公表でも同じ失態を繰り返そうとしています。[1][11][12][13]
 見出しを打つ際には、「なかったこと」より「あったこと」に注目するというのが新聞の法則なのかもしれません。
 しかし、仮にも新聞を名乗るのであれば、機械的に見出しを打つのではなく、それにふさわしい紙面を作ってほしいものです。

まとめ

 最後に、今回の内容を簡単にまとめて動画の締めとしましょう。
 1月4日に公開された監査の結果、そして3月3日に公開された再検査の結果をもって、Colaboの会計に何ら不正がないことが明らかになりました。
 一部の会計が不当とされましたが、その分の金額を除いてもなお、Colaboは事業に委託費用である2600万円以上の額を費やしていました。
 このことから、監査が言うように、Colaboの会計は都に損害を与えるような関係にはありませんでした。
 不当とされた部分に関しても、単なる記載のミスであったり、事業の性質から領収書を都の望むかたちで示せないという事情があるものでした。
 このため、会計のミスに関しても、悪質であるとか杜撰であるという評価は妥当ではないと言えるでしょう。

 今回の動画はここまで。次回は今度こそ、監査で否定された「不正」を解説します。
 今回の動画の参考資料などの情報は、概要欄にリンクのあるnoteの記事からどうぞ。動画化にあたってカットされた内容もあります。
 高評価、チャンネル登録をよろしくお願いします。noteのサポートもぜひ。ではまた次回。

注釈・引用文献

[1]「Colabo」192万円分の経費認めず 都の再調査結果 委託料の返還請求はなし-東京新聞
[2]東京都若年被害女性等支援事業について当該事業の受託者の会計報告に不正があるとして、当該報告について監査を求める住民監査請求に係る勧告に基づき知事が講じた措置について 別添資料(別紙)
[3]東京都若年被害女性等支援事業について当該事業の受託者の会計報告に不正があるとして、当該報告について監査を求める住民監査請求監査結果
[5]【弁護団声明】東京都に対する住民監査請求結果について
[6]地方自治法第242条
[7]都監査委員、再調査を勧告 都事業受託した女性支援団体の会計‐朝日新聞
[8]「Colabo」めぐる住民監査請求 経費精算が一部不当 東京都に再調査指示 監査委員 請求の大半は退ける-東京新聞
[9]Colabo委託事業、支出の一部「不適切」 都監査委が再調査勧告-毎日新聞
[10]経費再調査求める勧告 「Colabo」巡る請求一部認める 都監査委-産経新聞
[11]女性支援事業の経費、192万円認めず 東京都、返還請求はなし-朝日新聞
[12]Colabo委託事業、192万円分を経費と認めず 東京都再調査-毎日新聞
[13]「Colabo」東京都調査 経費約190万円を不認定-産経新聞

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