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【参考】国連特別報告者マオド・ド・ブーア=ブキッキオ氏の記者会見の書き起こし


はじめに

 この記事は2015年10月26日に行われた、以下の会見の動画の内容のうち、日本語部分を書き起こしたものです。自分がこの会見の内容を検討する用事があったのですが、動画だと全体的に何を言っているのか把握しにくいので文字にしました。
 なお、筆者は英語のリスニングに優れていないので、ブキッキオ氏本人の英語による発言は文字起こししていません。

 なお会見の司会は土生修一・日本記者クラブ事務局長、通訳は池田薫氏ですが、それぞれ司会、通訳と記します。記者の質問の場合、質問者にかかわらず記者と記しています。
 書き起こしにある時間は再生時間の目安です。

会見内容

ブキッキオ氏のスピーチ

司会:それでは時間になりましたので始めます。本日のゲストは、児童の性的搾取に関する国連の特別報告者であるブーア・ブキッキオさんです。ブキッキオさんはオランダ出身で、2002年から10年間、欧州評議会事務次長を務められ、性的虐待から児童を守る条約の採択などで大きな役割を果たしてこられました。2014年5月に、国連人権理事会から、児童買春・ポルノに関する特別報告者に任命されました。今回の来日では、日本での児童ポルノ製造販売など、児童の性的搾取の現状について視察されて、この結果は来年3月に、国連人権理事会に提出される予定です。今日は今回の日本の視察についてお話を伺おうと思っております。司会は当クラブ事務局長の土生が務めます。それではブーア・ブキッキオさんお願いします。

通訳:皆様おはようございます。本日はこのプレスイベントにいらしてくださって大変ありがとうございます。今回は私、日本を八日間訪問させていただきまして調査を行ってまいりました。それについての第一印象、また結論の、まずさわりということで本日お話し申し上げたいと思っております。来日の目的は日本において、日本における子供における人身取引ですとか性的搾取ですとか児童ポルノ所持、製造物また児童虐待製造物等も含めてどういう状況にあるのか評価しに参ったということであります。そしてこの間いろいろな方達にお会いさせていただきました。司法関係、警察の方からAまた県関係者の方々、地方自治体の方々、ITカンパニーの方々、NGOの方、またもちろん実際に被害に遭っておられる児童の方ですとか関係者の方にもいろいろお話しさせていただきました。で、東京のみならずいろいろ地方にも伺いました。大阪川西また那覇にも伺いました。

6:22
通訳:また今回は実際に被害に遭われた児童ののいろいろお世話通している施設にも伺って視察をいたしました。そこには専門家の人たちが配備されておりまして、子供たちの回復ですとか社会の再統合を支援するといったようなサービスが提供されてるんですけども、また今回分かった事は日本においては、子供の性的搾取については、実にいろいろな形態を取るということなんです。そしてその行為自体が全て犯罪化の対象にはなっていないということであります。ということで、搾取的な行為と言うのは別に犯罪に触れるものではないと言うことで、犯罪の事犯としては捕らわれないので、法の規制対象にはなっていないものがあると言うことなんです。しかしながら、その行為自体、非常にリスクが高い危険なものであり、重篤な事態につながりかねないというものが多く含まれております。そして最終的に搾取につながりかねないということであります。例えば、例としては援助交際があります。これはの女子学生の3割は現在援交をやっていると言う風には言われているわけでございますし、最初は非常に罪のない形で始まるわけです。JKお散歩といったようなものに見られるように。しかしこれは自体がどんどん発展してしまうと深刻かつ危険極まりない行為につながりかねないということであります。まだチャイルドエロティカと呼ばれているほんとに年少の子供たちを対象にした着エロといったようなものもありますし、ジュニアアイドルといったようなものもあるわけで、あのこういった形で後半にあの搾取につながりかねない行為があるんだということが今回よく分かりました。
(筆者注:「女子学生の3割は現在援交をやっている」は「13%」の誤訳)

9:04
通訳:で、以上申し上げた行為そのものというのはICTの発展の流れで助長されていると言うことであります。今申し上げましたようにこういったビジネスというのは明らかに非常にお金の儲かるビジネスになっているわけで、一見したところ、社会そのものが容認している、かつ寛容の精神で見ているように見受けられます。また公式統計の数字も出ております。その中に児童買春ですとか、また児童虐待製造物の普及ですとかいろいろを対象項目として入っているんですけれども、確かに児童回収のほうは減っております。しかしながら、児童虐待製造物の入手可能性と言うのは着実に増えているんです。特にオンラインで介して提供されるものっていうこと。また、児童虐待製造物、いろいろな店舗にても売られていると言うことでありまして、こういった傾向と言うのは、昨年日本で改正されました、児童買春、ポルノに関する取締法の改正に、多分にリンクしている結果と言うふうに見ております。

10:27
通訳:法律改正された事は非常に歓迎しております。一部、確かにその後前向きの展開も出ているんですけど、まだ抜け穴が残っておりますので、ぜひこれは対処をお願いしたいと思ってます。

10:57
通訳:例えば、結婚できる年齢について、本人の同意を要する年齢と言うの引き下げ、同意について改正するといったようなことですし、上げるっていうことですね、年齢。それから児童の虐待製造物についてのアクセスですとか、それを見ると言う事、行為自体を犯罪化するといったようなことです。

11:53
通訳:逆に、子供たちの性的搾取行為に対しての対策について良いものも出ております。大半は児童虐待、製造物オンライン提供にまつわる、取り締まりの行動です。

13:05
通訳:例えば、警視庁が中心になりまして、オンラインサイバーパトロールというのが進行中であり、これが奏功いたしまして、オンライン上の児童虐待、製造物のアベイラビリティーが減っていると言う事は事実として挙げられます。私、法手続きの中にも、実際に被害にあったお子さんたちに関しまして、より子供たちに敏感になりましょうといったような面からの策が導入されていると言う動きも認められます。すなわち、被害にあったその児童が実際に裁判上内において法廷内において、また法廷外において、それからまた裁判所の指令によって、まぁいろいろヒアリング、審理を受けると言う期間があるんですかこれをできるだけ減らそうといったような動きにもなってるわけでございますし、実際に法廷で審理が行われる前に事前にフォレンシック関係のインタビューもしくは面接なども行えるように図るといったような動きが進んでおります。
(筆者注:フォレンシックは恐らくforensic)

14:35
通訳:また官民協力も効果高い形で進んでおります。特に児童虐待製造物にまつわるオンライン提供が対象になっていると言うことで、例えばいろいろ団体があります。コンテンツの安全性を確保するような団体、より安全の高いインターネットコンテンツを推進する会、またホットラインセンター等がございますので、こういったところと警察の方が鋭意協力しあいまして、何か問題のある製造物がアップされそうになったもしくはオンラインで出ている場合にはブロックをかける取り下げるといったような方面に向けての活動も見受けられます。

16:29
通訳:もちろん、法執行の部門から対策にいろいろ応じると言うことについては、応じると言うことについては重要なのではございますけれども、それに加えて、被害者自身の状況も支援しなくてはいけないと言うことももちろん重要な点であります。ちゃんと被害者のお子さんに対して十分ケアを提供すること、回復支援、また社会に再統合できるようにはかってあげると言う必要性があるわけです。これも決して見くびってははならないものでございまして、子供たちはもちろん権利があるわけですから、こういったサービスを受けるということで。もちろん、いろいろな関連各所センター等が支援サポートを提供していると言う事はとても重要なことではあるんですが、もう少しセンターですとか施設でも特化しても良いのではないか。サービスに専門化する余地があるんじゃないかと思ったところであります。具体的にサービスの内容を絞ってセンターとして何とかすると言うやり方でございまして、県、地方公共団体レベルのみならずもう少し下がってその市町村レベルにおいて、こういった子供たちのケアをする施設、24時間七日体制も365日ずっとオープンにしておくといったような施設も必要ではないかと感じました。

18:51
通訳:さらにその子供の権利をさらに強化すると言う面で余地があるのではないかとも感じた次第です。ケアを提供するまた回復を助けるといったような支援がいろいろ提供されているわけではございますけれども、今後はさらに回復プログラムを設計する段階から、被害者本人がより関与できるように相談に預かれるようにすることが良いのではないかと思いました。ケアの分野ではまだまだ改善の余地があるのではと思った次第です。特に具体的にはジェンダーに対して考慮をもっと熱くする余地があるのではないかと言うことです。特にこういった事項の被害者の大半は女児ではあるんですけども、女の子っていうことで、しかしながらこの頃搾取対象に男児が入ってくると言うことも結構増えており、人数が増えていると言うものも問題化しているので具体的な対策が必要と感じました。特に性的マイノリティーの人たちであるLGBTの要素も入って参りましたので、性搾取の被害者になった方々の対策は、より広範な視点から行う余地があるのではないかと思ってます。

20:37
通訳:もちろん、その問題がいろいろ起こっていると言うことで、対策がさらに必要であると言うことであります。子供たちにももっと啓蒙するって言う必要があるわけです。搾取の被害者にならないようにと言うことで。NGOですとかそういった支援提供できますけれども、NGOのみならず、公的当局、特に教育を行っている当局の支援が欠かせないと思っております。子供たちを教育施設で教育を受けているわけですけれども、教育の内容と言うのは正式の授業科目以外のものもあるはずです。

21:45
通訳:日本において、子供の性的搾取に対しての対策ということで、包括的な戦略が必要と感じております。で、唯一存在する包括的なテキストと言うのは、2001年に戻るものしかないと言うことで、このまずバージョンをアップデートする必要があるのではないかと思ってます。具体的な実施措置を盛り込む事とそれなりに資源も配分すると言うことです。

22:43
通訳:まず包括的な戦略を採択するということが必要だと言う風に感じておりますし、まず根源となる原因究明についてのリサーチ研究も欠かせないと思っております。プッシュとプル、両側面からということであり、また元にその子供の性的搾取についていろいろな形態があり得るということでありますので、これについても幅広く視点を持って考えると言うことであります。そして実効性の高い政策立案をすることではないかと思ってます。で、テーマによっては、公の場でディベート、討論をすると言うことも重要だと思います。特に漫画ですとか、アニメと言う面で。

24:10
通訳:子供の性的搾取を撲滅する意味で、日本では真の進展ももち起こっているわけですけれども、さらに真の意味で進展を促進していくために必要な事は、根源的な原因をまず究明すると言うことであります。そして主要な原因の1つというの沖縄でまさに目の当たりにしたんですが、やはり原因は貧困にあると言うことです。またジェンダー平等が足りないと言うのも原因の1つになっていると言うふうに思っとります。冒頭のところで申し上げたように、こういった事態を受け入れてしまうような社会の寛容性があるのではないかということ。そして、実際にそういった行為を犯してしまった本人に対して不処罰、罰が加えられないと言う状態が続いていると言うことも実態でありますので、この辺で対策を取ると言うことができれば、日本でも100%児童の性的搾取はなくならないまでも大きな進展をきたすことができる事は明らかです。

26:04
通訳:子供の権利を守ると言うコミュニティーの中で日本は確固たる地位をちゃんと持っておられます。2001年に沖縄で第2回目の世界会議も開催されたわけでありましすし、今後2020年の東京オリンピックはまた良い機会になるのではないかと言うふうに思っております。何しろ児童また青少年を対象としたケアをちゃんと提供することそして子供たちの搾取が撲滅できるように目指していくと言うことです。これについては弾みも日本ではついております。申し上げたように昨年、関連法の改正も行われたわけでありますので、ぜひせっかくの機会があるわけですので、ご活用いただいて努力を継続していただいて、この部屋にいらっしゃる方々全員が望んでおられる共通目的、世界から子供の搾取を無くすと言うことが、ぜひできればストップをかけることができればと願っております。以上ご清聴大変ありがとうございました。

ブキッキオ氏への質問

司会:どうもありがとうございました。それでは、ちょっと私の方から1つだけ、質問があるんですけど。日本はコミックアニメと言う業界がかなり大きなマーケット思っていて、そういう業界からこういう児童ポルノの規制に関しては一種の表現の自由の観点から慎重の意見がないわけじゃないんですけども、なかなかこれ、児童だけじゃなくて、ポルノ一般の規制に関して、表現の中との関係について、どのようなお考えを持ってらっしゃるのか。

30:53
通訳:まず、表現の自由また情報の公開の自由が一方に、そしてもう一方で子供を守るニーズというものがあるわけで、その両者の間のバランスを取るということは非常に難しいデリケートで微妙な作業だと言う事は認めます。で、法律改正案が昨年日本の国会で討議されている時も、マスコミ側もかなり盛り上がりました。いろいろ報道していたと思うんですけれども、なにが議論の対象になったかと言うのは、まず一方で漫画があります。そして漫画で、例えばその、児童ポルノ的なものが表現されていると、そして、それで結果として性的搾取にどのぐらいの影響を出したのかと言うその因果関係について、もうちょっと両者間調査をした方が良いのではないかと言う要請があったとあの記憶しております。すなわち漫画の形態で表現されている児童ポルノにアクセスするまたそれを実際に見るということで児童虐待製造物が、ほんとうに原因となって性搾取が増えているのかどうかと、もうちょっと研究的な側面から明らかにしてほしいと言う要請だったわけです。で結果として、その結果が法律のによって採択をされませんでしたけれども、この両者の間には関係があると思っておりますので、もうちょっと検討、今後していただければと言うふうに思っとります。そして成人にまつわるポルノについては、確かに表現の自由の方が議論として勝ると言う風には思います。しかしながら、その子供のポルノで、あまりにも内容が過激なコンテンツが漫画になる場合には、そういった漫画はやはり法律でもって取り締まり禁止すべきであると言うふうに考えております。子供のポルノコンテンツ、すべてをその取り締まるということでは無いんです。そしてあの違法行為にせよということではないですけれども、あまりにも過激な目に余るような子供が主題となったようなポルノのコンテンツを表現した漫画とはやはり法律で禁止すべきと考えております。

34:30
通訳:立法のことをお話ししておりますのでさらに触れたいんですけれども。法律を作ってもやはりそのあとにある法律の実施のニーズが非常に高いと言うことをもう一回力説したいと言うふうに思っております。もちろんどんな法律でもこういった形での法律を歓迎はいたしますけれども、やはり環境整備をちゃんとした法律ができたからには、ちゃんとそれを実行する本領発揮できるような環境がまず必要であると言うことです。社会としてあまり寛容になりすぎない児童の搾取については、絶対行為としてストップをかけるんだといったような環境がまず必要であると言うことなんです。で、現在の法律が改正を見まして、内容的に改善されていると言うふうには申し上げましたけれども、しかしその結果、本当に事犯を働いたあの人たちが有罪判決を受ける件数っていうのはまだまであまりにも今少ないです。また有罪判決を受けて量刑判決を出ましてもかなりその刑が軽いと言うあの自体があるわけですし、また裁判所にも持ち込まれないケースがまだまだあると言うことです。やはり裁判所に提訴するにはそれなりの正式な証拠ですとか申し立てが必要なわけでありますけれども、特に被害者となったお子さんっていうのは大体虐待が誰が働いたかって言うその本人を知ってるわけですから、なかなか正式に提訴できないと言う事情もあると思うんです。ということで、事犯があるのに処罰をしない不処罰の状況がある。これをまず何とか是正しなくてはいけないと言うふうに思ってます。社会的にこういったことを許さない寛容の精神を持たないと言うことにしなくてはいけないということで、ぜひその有効な形で法律改正をし、それがちゃんと実行される世の中を望みます。

司会:はい、ありがとうございます。それでは会場から質問を受けたいと思います。

司会:お名前と所属をおっしゃってください。

記者:どうも、お話ありがとうございました。ジャパンタイムズで記者をしていますキタウチと申します。二点伺いたいんですけれども、まず一点目がですね、加害者が不処罰と言う状況があるときにおっしゃいましたけれども、その実際に事犯が起こったとしても、裁判に持ち込まれないと言う話もありましたが、それは日本に特色というかって言える状況なのか、あるいは刑が非常に短いというか、という話もありましたが、じゃあ他の先進国と比べて日本がどういう状況にあるのかっていうのをもっと詳しくあの比較的に教えてもらえれば思いました。それから……この1点だけよろしくお願いします。

40:51
通訳:世界各国のその法律の状況について、現場、すべて今この段階でお話しすることはできないんですけれども、あくまでも相対的比較ということで申し上げます。やはり比較すると世界の先進国に比べて、日本における加害者に対しての不処罰の状況っていうのはちょっと高いんじゃないかと言うふうに思っております。それから法律上はこういった事犯については、警察に対して事件を持ち込む時にそれほど正式ばった文書ですとか、また証拠ですとか出さなくても一応その警察は自分が選べば、こういった事犯の捜査の着手をすることができるんですけれども、それでも警察がまず躊躇の念を覚えてしまうと言うところがまずちょっと我々としてはあの理解ができない、腑に落ちないと言う点であります。また、法律上書かれている罰則規定につきましても非常に軽い形になっておりまして、せいぜいその罰則が課されたとしても、罰金だけにとどまるといったようなことが多いわけでありますし、加害者の自由を取り上げて投獄するいったようなことはほとんど起こっていないと言うことでおります。それからまたそういった事態を結局放置してしまうが結果、被害者はさらに同じような被害を受けてしまうリスクが高まるわけですし、事犯から見れば、再犯率が非常に高くなってしまうと言うことになり、どんどん虐待さらに搾取が拡大してしまうと言う状況を生みかねないということであります。また被害を受けた人はやっぱり仕返しが怖い報復が怖いということで、なかなか自分が受けた被害については口外しないということがあるのでなおさら繰り返し、同じような行為が繰り返されてしまう温床を生んでしまうと言うことであります。ということで、一応先進国比較として日本がどういう状況かと言うことをまとめて申し上げました。

43:07
通訳:日本でお話を伺った対話者の1人がおっしゃった発言がとっても印象深く残ってます。日本だと虐待をした方、搾取をした方は大手で太陽の下を歩けるのに、被害を受けた方はこそこそと影の下で、日陰の下で歩かなくちゃいけないんだと。これで全てを物語っているんじゃないかと思います。

司会:はい、ありがとございます。他にどうですか。

記者:こんにちは。琉球新報のシマと申します。沖縄の新聞社です。今回調査地の1つに那覇を選んだと言う理由を教えていただきたいのと、それから先ほど沖縄で貧困と、そしてジェンダー平等が足りないと言う2点を指摘なさいましたけど、具体的にはどういうところから2つの点がわかったのかと言うことを詳しく教えていただきたいと思います。

48:11
通訳:今回の来日を準備するにあたって、首都だけに私の訪問先とどめたくないなと言うふうに思っておりました。もちろん首都を訪問させていただく事はそれ自体興味深いことですけれども、必ずしも社会全体を反映しているものではないと言うことで、沖縄も選んだと言うことです。事前の情報で貧困が、特に極度の貧困が高い地域が沖縄って言うふうに伺っておりましたし、失業率も高いと言うふうに伺っておりました。加えて、学校の中途退学者も非常に多いと言うことで、それからまた児童の買春の被害者で、もちろんその大半は女児であるわけなんですけれども、そういったものも高いと伺っていたので、ぜひ沖縄現地で当局NGO、また被害者であられるお子さん自体にお会いして調査したいと思ったんです。本当にその貧困が原因の1つとして私のマンデートであるこの分野における状況の調査でリンクが浮かび上がってくるのか調べたかったってあの言うことであります。そしてやはりある程度思ってた事は当たっていたんだと言う確認は取れました。特にあの児童の性的搾取と言う面で、その児童の買春の面でもやはり被害者の90%は女児であるわけでありまして、特にそれが、沖縄で際立っていたっていうことです。特に崩壊家庭であの生育を受けている子供たちと言うのは家庭内でアルコール薬物乱用等起こっていてもいたたまれなくなって家出をしてしまう子供たちがいるわけで、そうするとどうしても生き残って行かなくちゃいけないからたどり着く先は売春産業といったようなものになってしまうと、あくまでもこれは生き残るためにやっているわけですということで明らかに貧困が原因となってセックス産業に行ってしまうといったようなリンクが出てしまう。しかも生き残っていくためには、これ以外にないと言うことでの展開ということであります。それからジェンダー不平等っていうのももちろん原因として関係してるわけです。非常に失業率が高いところで、特にその失業率が高いのは、女性もしくは女児と言うことになってるので、やっぱりここでもジェンダー不平等が響いていると言うことだと思います。ジェンダー不平等がある貧困がある。そしてだからその学校からの中途退学率も高いということ、加えて10代の妊娠もとても際立ってこの地域は高いと言うことでありますので、こういったプッシュファクターが積もり積もって特に沖縄では、その性的搾取が非常に児童の分野で見られると言うことで伺いました。

52:02
通訳:さらに1点追加申し上げたいんですけれども、何しろ根源的な原因を究明することが必須でございますので、これは日本政府及び沖縄県としての共同の責任であると言うふうに思っており、これは明らかなことだと思ってます。沖縄確かに遠いです。私も2時間半飛行機に乗ってやっと着いたんですけれども、日本の一部であるので投資が必要であると強く感じております。沖縄への投資と言うのはマストだって言うことであります。なんにしろ共同で責任を持って県単位、そして中央と一緒になってやっていくべきであると言うふうに思っております。まさに教育啓蒙の問題です。いろいろ女児にツールを与えることによってこういった事態の被害者にならないように予防策を打つということ、そして失業対策として、いろんな他の面で投資をしていくと言うことではないでしょうか。特に沖縄美しい土地でありますので、観光業に対しての投資と言うのも大いに効果があるのではないかと思っています。

司会:はい、ありがとうございました。この後ちょっと今日の午後お帰りと言うことで、あとまだスケジュールあるそうなので、残り1問だけさせていただきたいと思いますけど。

53:40
記者:NHKの佐藤と申します。一点、子供を、性的搾取を受けたケアにつきまして、先ほどサポート施設等専門化したほうがいいじゃないかと言うお話がありましたが、少し具体的に教えていただきたいのと、そういったケア施設、サポート施設に対して日本っていうのは海外に比べて遅れているのか、もしくはその海外でより具体的に取り組んでいる事例がありましたら教えていただきたいと思います。

58:07
通訳:特化したケア施設が必要ではないかと述べた理由なんですけど、もちろん日本には児童相談所というのがありまして、まさにその被害を受けた子供たちが最初にトントンとノックするドアは児童相談所と言うことになっております。ただここでは子供たちが必要としてる支援が十分はあの提供されておりません。と言うのは、児童相談所というのは、そもそも戦後孤児を対象にして作られた施設であるからです。かなりもちろん施設としては発展をしたということはその通りなんですけれども。まずその家庭内虐待というのがあります。でも家庭内虐待と性的搾取とはまた別物ということでありますので、大きな違いがあるので対策もまた使うツール、テクニックも違うって言うことであります。特に性的搾取にあったお子さんがまず過去と向き合ってコーピングをするといったような事は、一般的な家庭内における虐待に使うテクニックとは違うものであります。ということで、問題が違うので、対処法も違ってくるということがいえます。日本でも県によってはもうすでにワンストップセンターといったようなものを設けておられまして、1カ所に行けばも一括して医療行為も受けられるフォレンシックの調査等にも対応できるようになる。そしてその後の手続きに備えて、被害者自身の心の準備をさせると言うことで、心理的な観点からまた法律的な観点から弁護士が相談に望んでくれるといったようなことをすべて一か所で揃えるといったセンターがちらほらできてきているので、これは良い慣行であると言うふうに思います。これは最初の入り口の部分の話ですけれども、入り口だからこそ適切な対応が必要だと言うことで、ワンストップセンターができつつあると言う事は良い慣行なので、ぜひ日本全域でさらに普及できることを望んでおります。で、2番目の他国との比較についてなんですが、どうしてもこれは日本だけではなく各国共通なんですけれども、即時のケアにフォーカスが当たりすぎるということで、特にこれは日本だけのことではなく、先進国共通でいえることなんですけども、もっと大事な中長期的なケアですので、これが不足していると言う事は世界共通の問題ではないかなっていうふうに思ってます。中長期ケアの方がよっぽどリソースを食いますし、ノウハウ、訓練も充分もっと必要ということなので、なかなか対処しきれないと言う実態があります。で、もちろん被害にあったお子さんは明らかにまずはシェルターに収容してあげるとそして安全な環境を提供する。その安全性、ってのとても重要なんですけれども、その後の話としてそういった被害にあったお子さんが社会に再統合を果たすと、そして真の意味で回復をするには、それなりに長い時間がかかりますし、資金等もかかりますので十分な投資が必要って言うことで、この面については日本だけではなく、世界共通のテーマになっていると感じております。

1:01:41
通訳:あと1点追加申し上げたいんですけど、何しろケアですとか回復について相談してる最中に必ず被害者本人である、それが女の子であれ男の子であれ、本人を入れて相談していろいろ討議するということも絶対に不可欠ですので、これをぜひ強調したいと思います。もう個々個人全然ケースは違うわけですから、それぞれの個人の被害者を対象にして、それぞれ個別にその人生涯にわたるプロジェクトを設計すると、そして長い時間をかけて本格的に、その方が社会に再統合ができるようにはかって行かなくちゃいけないというのが重要な点なんです。

司会:はいありがとうございました。それでは最後に記者クラブから記念品を差し上げて会見を終わりにしたいと思います。それでは拍手をよろしくお願いします。

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