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心霊愛人(ゴーストハーレム)

台湾は占いが浸透している占い大国でもあるの
占いは日本でも盛んでも台湾ではそれが自分の人生にまで関わるの
占いなんて軽いイメージに捉えられるけど占い師にと通っては天機(天の神秘)に触れるという行為になる
つまりは秘密をばらしすぎてバチが当たるとも言われるの
ある意味命がけね
だから占ってもらった者は謝礼として赤い封筒に謝礼を入れて渡すんですって
それで占い師の寿命を伸ばすという願いも込めるの
それくらい台湾の人にとっては占いは神聖なものであり、天命ともいうわね
その占いの中に、こういうのがあったの
子供が生まれた時に占い師にそのこが生涯何人と結婚するか?
というものを占ってもらうの
そこで多妻命(たさいめい)というものが出る人もいるんですって
うちの主人がそうだったわ
つまりは浮気性
生涯にに結婚する相手が複数だと浮気性になるんですって
でもそんなんじゃあ後継者問題や遺産相続でも大問題よね
だからそれを防ぐために位牌婚という冥婚のような風習が使われるんですって
冥婚とは死者との結婚
と言っても死体と結婚するわけじゃなくて
独身で亡くなった女性の位牌を飾って結婚したことにするの
台湾では女性が未婚で亡くなると先祖のお墓に入れてもらえず、姑娘廟(くーにゃんびょう)というところに祀られるんですって
だから多妻命の男性に死後でも良いから嫁ぐのは幸せな事とも言われてるらしいわ
台湾といえば一時期赤い封筒が流行ったわね
道端に落ちている赤い封筒を拾ったら死者の花嫁になったいうの
S N Sでも新宿駅に赤い封筒が落ちてたって話題になったじゃない?
結局AIによるイタズラっだったけどあれの逆バージョンみたいよね
それでなんでこんな話をしたのかって
私の夫が多妻命で位牌婚をしたの

私と夫が出会ったのは合コンだったの
同僚に誘われて行った先で1人だけイケメンがいて
日本語の話し方からして海外の人で、聞いたら台湾出身ですって
イケメンだし日本語で冗談も言って、楽しい人だったのだけれど
私にはどうしても気になることがあったの
彼の背後にいる5人の女性

の霊

実は私は子供の頃から人には見えないものが見えたの
霊感があるって言い方は嫌い
何か馬鹿にされてるみたいだから
まあそれは良いんだけれど
年齢はバラバラで顔も彼には似てないからもしかしてこの人は連続殺人鬼で、この女性たちは被害者なんかじゃないかと
今思い出しても自分お馬鹿馬鹿強い妄想癖に笑っちゃうけどあの頃は本気で怖かったわ
私の表情に気づいたんでしょうね
御手洗にたった私に彼が話しかけてきたの
「あの、もしかして彼女たちが視えたんですか?」

正直に頷いたら
「彼女達は母奥の妻です。実はこういう風習があって」
そこであの位牌婚の事を聞かされたの
説明jを聞きながら彼女達の表情を見たんだけど皆穏やかで、とてもじゃないけれど殺されたって顔じゃ無かったわ
「彼女達もあなたを気に入ったようです」
それが彼からのプロポーズで呆れちゃった
普通あなたのことが好きになりましたっていうものでしょ?
彼女達も同じだったみたいで
彼は彼女達に叩かれてたわ
それからはとんとん拍子に行って
国際結婚にも関わらずお互いの両親もあっさり結婚を許してくれたの
うちの両親は古い考えの人間だから国際結婚なんて絶対に許さないと思っていたの
なのに彼を紹介したら二つ返事で許可どころか本当の息子みたいに仲良くなって
私の方もそうだった
あちらのご両親が私の事を気に入ってくれて
彼女達の力なのかしら?
「位牌婚の人達は現実の妻とは義理の姉妹のようなものなんだ。互いに助け合う戦友だね」
私も例に漏れず、彼女達は私にとって良い義姉だった
彼女達はそれぞれ年齢も性格もバラバラで
キャリアウーマンで今期を逃し80歳で天寿をまっとうした人
サバサバ系の現役で婚活中に事故死した人
農村の生まれで結婚を控えていたのに病死した人
おっとりした事務職でお餅を喉に埋まらせて亡くなった人
看護師をしていて感染症にかかって亡くなった人
全員が私を実の妹のように可愛がってくれた
台湾の行事や風習を教えてもらったり、逆に日本の事を教えたり
時にはこし餡の方がが美味しいか粒あんの方がが美味しいか
というくだらない理由で喧嘩もしたけど彼女達との生活も楽しかった
何の不安もない新婚生活だけど問題があって
それは彼の性欲
流石に位牌婚の相手が5人もいるせいか、毎日何回しても彼は満足できなかったの
彼はスタミナがある方だけど私はね
あまりにも求められすぎてげっそりしたら、彼女達がそれから私と交代で夜の生活に協力してくれたの
1週間のうち5日間は彼女達で6日目は私
残り1日はお休み的な
彼はそのルーティーンを受け入れてくれた
私も一緒のベッドで過ごすんだけど
肉食系に見えた人が意外に奥手だったり
逆に朴訥(ぼくとつ)な感じだった村出身の人が激しかったり
特に凄いのは最年長の人ね
一体どこで知ったのか?というアクロバティックさで彼の精力を奪い取ってね
もうあれは何ていうか‥
あ、話がそれちゃったわね
そんな感じで皆え楽しくやってたんだけど
多妻命の宿命って避けられないのね

彼は他に女を作ったの
彼が浮気していたのはすぐにわかったわ
だって彼の妻はわたしだけじゃないのよ?
逆に幽霊の妻を連れているのを自覚しているのに何で浮気なんかしたの?って感じ
浮気を問いただしたら最初は否定したわ
「君という妻がいるのに僕が浮気なんてするわけないだろ」

な訳あるんだよ
お前は浮気してんだよ
言い逃れなんかできるわけないだろ
私の目は誤魔化せても義姉たちの目が誤魔化せるわけねーだろ?

こんな感じで責めたら今度は開き直ったの

「仕方ないだろ。僕の多妻命は6人じゃ足りないんだ。君たちのことは愛しているけれどついつい他の女性にも愛を捧げたいんだ」

自分は博愛主義者だと言わんばかりの彼の言い草に
呆れて声も出なかったの

代わりに彼女達が順番に彼を呪ってくれたけど

悲惨だったわ
5日もの間彼のあそこが腫れて痛みも出て
凄く辛そうだった

その後に皆で話し合って不足した彼の妻を探し始めたの
つまりは未婚女性の位牌収集
とにかく未婚女性をね
姑娘廟はもちろん日本でも位牌を集めまくったわ
時に名前だけで判断して男性の霊が出たりして大変だけどそれでも中々集まらないし、その間にも彼は手当たり次第に浮気をし続けて
ああ、あなたもその1人よね
彼と離婚してと迫った人もあなただけじゃないわよ
私としては離婚巣つきはないわ
彼の事を愛しているのもあるけれど

これだけの位牌を持っている男を愛せる女って私以外にはないわよ
今は50人の義姉が居るけどまだまだ足りないの
だって彼の多妻命は

100人だもの

あなたは彼を自分だけのものにしたいと企んでいるのだろうけれど彼はまだまだ浮気するわよ?
私みたいに集める気力はある?
それとも彼女達のように位牌の仲間入りをする?
あなた未婚でしょう?
今死んだらあなたも彼の妻になれるわよ

大丈夫

私達は同じ男を愛する義理の姉妹だから

皆で彼を愛しましょう

あなたの戒名は私も考えてあげるから

そう思うと私、あなたのことも好きになれそう


終わり


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