エンカウンター・グループについて④

引き続き、エンカウンターグループに関する記事となりますが、今回は専門職のトレーニングとしてのエンカウンター・グループについて、所感を記してみたいと思います。

エンカウンターグループは、電話相談やひきこもり支援の研修でも取り入れられており、支援職のトレーニングの一環として行われることが少なくありません。実際、エンカウンターグループの機能としても、治療・訓練・成長という点が、今回の研修においても挙げられていました。

具体的にどのようなトレーニングの効果があるのかについて、まず「話を聞く感性を磨く」という点について述べたいと思います。エンカウンターグループ(特に非構成)では、話し手・聞き手が交代しつつ、時にはダイナミックに影響し合いながら、グループが展開していきます。その中での語りは、様々なレベルの深度があり、内容だけではなく、相手の表情、仕草、話す間など、膨大な情報を読み解きながら、話者の世界に歩み寄ります。

そして、そこにはグループの場の雰囲気といったものも作用します。例えばメンバー構成で、女性・男性の比率や、年齢の分布、また生育歴における生活水準など、ただ一同に会して集まる訳ではなく、様々なギャップ(多様性とも言えます)を必然的に内包しています。そうしたグループの中で生じるお互いの体験や価値観の違いは、時には衝突や葛藤を生みながら、螺旋状の相互交流によって理解が深まっていきます。

実際、そもそもエンカウンターグループ自体が、ロジャースによってアイルランド紛争や宗教対立の解決手段として用いられたという歴史があります。実際に、宿泊型のエンカウンターの1日目と最終日とで比べると、グループの語りの内容だけでなく、表情、姿勢、そして参加者が互いに影響し合い生み出される雰囲気が、大きく変化することは珍しくありません。

そうした、「集団力動を肌で感じ取りながら参与しつつ関わる体験」は、他のグループアプローチでも恐らく同様のことが起こりうるのだとは思います。しかし、恐らく宿泊型の非構成エンカウンター・グループという構造において、顕著に起こりやすいのではないか、という感触があります。

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