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鬼八についての最終考察その④

高千穂、あららぎでの戦いは終わった。

そして、もう一つ重要な場所がある。

鬼八が住んでいたとされる乳ヶ窟。

ここは、押方地区二上山の麓になる。

あららぎの里とどういう繋がりがあるのか!?

ここで、登場する重要な人物が【漆島氏】である。

宇佐神宮でも神官を務めていたが、高千穂を攻めてきた大神氏や田部氏に名を連ねない。

以前noteでまとめた記事を参照いただきたい

https://note.com/kucky918/n/n49374c0dd5a4

漆島氏も新羅からの渡来系である秦氏、辛島氏とも同族であり、漆島氏が祀っていたのは新羅の神とも言われ、鍛治神であろうとのことである。

また、英彦山とも関連しており、修験、仏教にも携わっており、祭祀や呪術に長けていたという。

宇佐神宮創始の際も宇佐氏、大神氏と共に祭祀に関する神領の争いがあり、元々大神氏との争いはあったと思われる。

宇佐より追い出された漆島氏は先に高千穂へ移ってきた。

もしかすると、高千穂へ来ていた鬼八②と同年代であると思われ、修験者繋がりでもあり、興梠氏と争うことなく、霊山として二上山に二上大明神を祀ったのではないか。

そして、乳ヶ窟にて、霊場として修行していた氏族ではないかと考える。

つまり、あららぎの争い後に今度は漆島氏を倒すべく、大神、田部両氏が責めてきたのだ。

ここでも、鵜の目姫のように妻もいたであろうし、修験者でもあり、土豪であっただろうから、倒すにも苦労しただろう。

元々宇佐や英彦山の方から移ってきたのだから、興梠古伝記に書かれているように、伊予の国や八幡浜から佐賀関。英彦山に逃げる鬼八伝説も、逃げた足跡だけではなく、修験者として仲間が多数いたのであろう。また、情報や知識もあっただろうから、ネットワークも広く広範囲に及んだと思う。

それが、倒しても倒しても蘇るという話に繋がったのではないだろうか??

これが、田部氏が作った旭大神文書にこれらの幾つかのストーリーを織り交ぜて作った話が鬼八退治であろうと思われる。

つまり、まとめると。

まず初めに移住してきた鬼八①。

その時に興梠一族も武力ももった。

次に700年代に辛島、秦氏と共に鬼八②が渡来し、修験道や仏教を広め呪術による加持祈祷、医学的な飛躍、興梠氏と共に国作りをしていた。

900年代に入ると、豊後大神氏、田部氏と共に高千穂入りし、旧三田井氏、興梠氏を倒した。
この旧三田井氏と興梠氏の長、やられた鬼八が鬼八③。

そして、押方へ入り、漆島氏を倒した。
こと漆島氏が鬼八④。

ということで、鬼八退治に登場する鬼八は、鬼八③と鬼八④と捉えていただきたい。

《最終まとめ》
高山文彦氏の著書『鬼降る森』では、実は鬼八を『鬼』として、後世に伝えていったのは、自分の祖先の歴史を繋ごうとした興梠氏ではないか!と書かれている。

私はそれに共感を覚えた。

高千穂神社周辺には首塚を始め幾つかの塚があり、池の窪水神もいくつかあり、それが結界ではないかという見方もある。

興梠古伝記の中では、切った首は天に登った。

それが、遅霜を降らす為、健磐龍命が天にお祈りすると、肥後阿蘇まで飛んでいった。

その場所が霜宮として、毎年少女が火を焚きつづける【火焚き神事】が行われる。

近藤さんという民俗学者が仰るには、全国にも首が飛んでいく話はいくつもあり、それはその関係する人がその土地へ動いた証拠であろうと言う。

荒立神社付近、王の宮の別当寺とされる万神源寺(まかげんじ)の阿弥陀如来像の背板の書によると阿蘇霜宮の文字があった。そして、藤寺非寳氏が聞き取り調査の中で、古老が言うのは、この火焚き神事に興梠家の少女が奉仕に出ていたと聞いたそうで、考えられるに、一部の興梠一族が阿蘇の方まで移っていったのではないだろうか?

また、高千穂神社周辺の塚の件だが、民俗学者が言うに、塚を祀ることで、そこで信仰が生まれ、それを統治しやすくするものが、この塚であるという。

つまりは、豊後大神氏が入ってきて、それを弔うかどうかは別として、塚を作ることで、周りに怖い存在であることを知らせ、新たな信仰を作っていったのではないだろうか??

本当の鬼八の魂を鎮める場所は荒立神社である。

ただ、本当に大切なことは、鬼八がだれか!ということではなく、誰しもが鬼にもなるし、神にもなる。時代時代で移り変わるのだ。それは、自分かもしれないし、大切なあなたかもしれない。

そして、村々の行事、ししかけ祭りや、神社の祭りなど、様々な縦の繋がりを私たちが次の時代へと繋いでいかなければならないということだ。

何年も何年も続いてきた行事、そして、旧暦でやってきた行事の意味等を知ることで、本来の形、昔の人の想いを少しでも感じていくことが必要なのだ。

私が今暮らしている本組地区は興梠の里内である。

荒立神社を氏神として、この村を守っていきたいと思う。

長い考察だったが、お付き合いいただき感謝する。


参考文献
小手川善次郎著 高千穂の民家 他歴史資料
高山文彦著 鬼降る森
安在一夫氏考察 かるめごより
甲斐畩常著 高千穂村々探訪
西川功著 高千穂太平記
竹田恒泰著 怨霊になった天皇
十社旭大神文書
十社御縁起
日之影町史
高千穂町史





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