奥畑 大日如来堂について
ふと高千穂町史○神社仏閣員数を眺めていると、大日如来という文字が目に留まった。
大日如来と言えば、密教。
9世紀初頭、密教は中国(当時は唐)において、最先端の思想であった。
密教を日本に広めた真言宗の開祖である空海は日本より唐へ留学。
同時期に唐へ派遣されたのは当時エリート官僚であった天台宗の開祖である最澄。
今で言う留学とは、桁外れの事業で宇宙旅行へ行くようなものであったらしい。
それくらい費用もかかったわけだ。
今までの仏教(空海は顕教という枠にはめた)では、人生の苦しみという輪廻転生を繰り返すなかで、そこから解脱する為に、四諦を理解し、八正道を行いなさいという教えである。
四諦とは人生の真理を理解するための4つの真理。
八正道は解脱に至る修行であるという。
つまり、顕教とは輪廻を繰り返し永遠の時間をかけながら、経典から学び悟りを開いていくことで、密教とはダイレクトに宇宙の命の根源である大日如来と結びつく修行を行い、今現在を生きながら仏になる即身成仏という教えである。
現在新型コロナウィルスの感染防止に対して、『三密を防ぎましょう』と言われている。
密教においてもこの『三密』という言葉が存在する。
身体、口、心によって大日如来と結びつく修行を行う。
身体では手で印を結ぶ。
口では真言を繰り返す。
心は大日如来という宇宙全体と通じ合う為に投じ、心と仏を一致させること。
この三密によって即身成仏を目指すということだ。
空海、密教の説明は困難で時間も要するので、今後の課題として、話は戻る。
ここ高千穂においても、大日如来か祀られているのは記録で見るとここしかない。
ここは、押方地区の奥畑集落。
大日如来とその他に、不動尊、観音、淡島様などが合祀されている。
延宝2年(1674)の佛明帳にも「ふどう 大日 かんのん 、弍間四面かやおりかけ おくばた」と書かれており、三佛併祠しているのは郡内でもここだけとのこと。
大日様は写真ではわかりづらいが、牛の上に座っている。
昔は牛馬の神様として五ヶ瀬町の桑野内や三カ所からも参拝に来られていたらしい。
境内には五輪塔があり、この奥畑地区に入った開拓者が守護佛として祀ったのではないかと、甲斐畩常氏は記す。
主要な道路端ではない為、なかなか通らない道だが、興味ある方は参拝してみるとよいかと思う。
参考文献
高千穂町史 郷土史編
高千穂村々探訪 甲斐畩常著
あらすじとイラストでわかる密教 知的発見!探検隊 文庫ぎんが堂
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