ご新規さん歓迎!世界でいちばんカンタンな?ラグビールール解説 第一回(仮)これだけわかれば楽しめる!はず!

 ワールドカップ開催を機に、日本でも大きな盛り上がりを見せているラグビー。
 今回は「試合を楽しみたいけど、ルールがよくわからない……」という方のために、「これだけ押さえておけば、とりあえずOK!」というポイントをご紹介します。

登場人物

太郎…筋金入りのラグビーファン。本業はライトノベル作家だが、最近はワールドカップに夢中になり過ぎて、執筆が滞っている説あり。

玲花…太郎の恋人。今回のワールドカップをきっかけにラグビーを見始めた観戦初心者。太郎のラグビー熱には若干呆れぎみ。

はじめに

玲花:ラグビーワールドカップ2019、日本代表のグループリーグ突破おめでとうございます!

太郎:ありがとうございます!!!

玲花:えっ、太郎、ラグビー関係者側の立ち位置?

太郎:もうほんとね、初めてワールドカップを見たのは1995年の試合でね、あの時のジャパンは——

玲花:ジャパン……? 日本代表じゃなくて?

太郎:ラグビーではジャパンって呼ぶことが多いんだ。そもそもラグビーの代表は国の代表というより所属協会の代表で——

玲花:ほら太郎、ルール! 私みたいな、今回初めてラグビーを見た人に、ルールを教えるんでしょ?

太郎:そうだった。では気を取り直して……ラグビーワールドカップ2019で初めてラグビーを観たという方、ありがとうございます!!!

玲花:その立ち位置続けるんかーい!

太郎:ただ、「迫力があって面白い! ルールはわからないけど……」って感想をよく聞きますね。

玲花:わっかるー! なんとなくは楽しめるんだけど、よくわからないところが多すぎる!

太郎:そこで! ラグビー大好きラノベ作家が! 会話形式でルールを説明したいと思います! これさえ読めばルールがわかる! ラグビー観戦がもっと面白くなる!

玲花:ほんとに? 私、太郎の説明つきで何回か観たけどよくわからないままだよ?

太郎:……これさえ読めばルールがちょっとわかる! ラグビー観戦がもうちょい面白くなる!

玲花:言い直しおった。諦めるの早くない? 「世界でいちばんカンタンな」じゃないの?

太郎:ラグビー経験者でもルール知らなかったりするからね、仕方ないね。

玲花:えっ、それ大丈夫?

太郎:今回のワールドカップでも「あれ? この場合、ルールはこうじゃなかったっけ?」ってざわついた場面があったけど結論はっきり出てないからね、仕方ないね(注1)。

玲花:待って、それほんとに大丈夫?

太郎:それでははじめていきましょう! 決勝トーナメントがはじまる、日本-南アフリカ戦がはじまるその前に!

玲花:こいつ、無視しおった……。

(注1)南アフリカ-イタリア戦のノーコンテストスクラム。スクラムを組める第一列の選手が、ケガや一時退場・退場で一人もいなくなった場合、ノーコンテストスクラムになる。故意にその状況に持ち込むと不利になるように、ノーコンテストスクラムの原因となった側が一人退出させる、だったはずでは……サンウルブズ-ジャガーズ戦で一人退出させられたような。試合主催者が決められる、のか?
(競技規則 第3条 チーム アンコンテストスクラム)


その1.どうやったら得点が入るのか

太郎:まずはじめに……。ラグビーは前半40分・後半40分の計80分間プレーして、点を多く取った方が勝利です!

玲花:そこから!?

太郎:スポーツによっては「セット制」とか「点の少ない方が勝ち」とか「採点制」とかあるからね、いちおうね。

玲花:スポーツオタクみがすごい。

太郎:ちなみに得点の入れ方は4つあって——

玲花:はいっ! 「トライ!」ってヤツと、蹴るヤツ!

太郎:そうそう、H型のポールの根元から伸びる横線の、向こう側にボールを置いたらトライね。ゴリゴリの男たちはHの向こう側を目指してるわけ。

玲花:言い方言い方! Hの向こう側って!

太郎:Hの向こう側にボールを置いたらトライ、5点入る。そのあとボールを置いて蹴って、Hの上の間に通せたらキック成功で2点。コンバージョンゴール(CG)ってヤツね。

玲花:さてはH表現気に入ったなこいつ。

太郎:あと、反則されたらその場所からキックを狙ってもOK。これでHの上の間にボールを通せたらキック成功で3点。これがペナルティゴール(PG)

玲花:あれほんと緊張しそう。ぜったい蹴りたくない。

太郎:ほんと無理だよねあれ。俺ならぷるぷる震えて地面蹴りそう。

玲花:わっかるー! あれ? 点の取り方、あと1つは?

太郎:あー、うん、滅多にないし説明しづらいから省略しようかと思って。

玲花:たろうー! 「世界でいちばんカンタンな」ルール説明でしょー!

太郎:ドロップゴール(DG)って言ってね、プレーが途切れてない時に、地面にボールをワンバウンドさせて蹴って、Hの上の間に通すヤツ。成功すれば3点。

玲花:やばい。聞いてみたけどよくわからない。

太郎:ま、まあほら、要するに! Hの向こう側にボールを置くか、ボールを蹴ってHの上の間に通すかってことで! どっちかで点が入ります!

玲花:雑ぅ〜。

太郎:初心者向けだから! トライ&CGで最大7点入るから7の倍数プラス1点差が効果的だとか、反則された時にPGで3点狙うかタッチキックしてマイボールラインアウトからトライ狙いにいくかとか、語り出したら複雑になるから!

玲花:アドバンテージは? 反則? があると? いっつも太郎が「アドバン出た!」ってテンション上がるヤツ。

太郎:うん、その辺は複雑だからね、第18回で説明する。

玲花:先すぎない!? どれだけ連載するつもり!?

太郎:とにかく、80分間やって、トライかキックで点をたくさん取った方が勝つわけです。

玲花:また無視しおった……。まとめ? もうまとめ?

太郎:さすがに早いでしょ。基本的なところをもうちょっと押さえたい。

玲花:了解でーす!

その2.ボールを持った人が一番前!

太郎:さて、点の取り方がわかったところで、ラグビーの大原則を覚えましょう。ラグビーは「ボールを持った人が一番前」って考えるとわかりやすくなる。

玲花:その説明がわからないんだけど?

太郎:うーん……「ボールより前にいる味方はプレーしちゃいけない」って感じかなあ。だから前にパスする(手で投げる)のもNG。アメフトみたいにボールの前で相手をブロックするのもNG。

玲花:当たり前のように言ってるけどアメフトもわからないからね?

太郎:横へのパスは当然OK。それと「ボールを持った人が一番前」だから、ボールを前に落とすのもNG。うしろはOK。

玲花:またまた無視しおった……。「いちばんカンタン」どこいったの?

太郎:この、ボールを前に落としちゃうのがノッコンで、前に投げちゃうのがスローフォワード

玲花:聞いたことある! 太郎が「いま前じゃね? スローフォワードじゃね?」ってよく言ってる!

太郎:リプレイの映像だと、だいたいスローフォワードに見える件。で、ノッコンやスローフォワードをしちゃうとスクラムを組みます。

玲花:なんか、わちゃーって押し合うヤツ!

太郎:おー、それそれ。ガチムチな男たちが密着して8人対8人で押し合うヤツね。

玲花:言い方言い方!

太郎:ちなみにパスは横かうしろしかダメだけど、キックは前に蹴ってもOKです。

玲花:複雑ぅ〜。

太郎:けど、蹴った地点より前にいる味方はプレーしちゃいけない。ボールを取れるのはうしろから追いかけた人だけ。

玲花:え? 相手は蹴った方向にたくさんいるよ?

太郎:そう、だからキックはだいたい相手ボールになる。ラグビーは「前に進む」のが大変なんだよねえ。

玲花:へぇ〜。

太郎:ボール持って、走ってキレイに抜ければいいんだけど。だいたい相手にタックルされて倒されてまたそこから、を繰り返すわけ。それか、相手ボールになるけどキックして前に進む。

玲花:ほぉー、ちょっとわかってきたかも。

その3.反則がめっちゃある

太郎:なお、ここまで説明してきた中に「重たい反則」は1つもない。

玲花:……え? ノッコンとか前に投げちゃうヤツは?

太郎:あれは軽い反則。反則って表現されるけど、まあミスだよね。前に投げたくないし落としたくないけど、ミスしちゃったっていう感じ。故意じゃないし悪意もないから、「その場所から相手ボールのスクラム」で再開される程度。

玲花:なるほど〜。ちなみに重い反則だと?

太郎:その場所から相手ボールのキックになる。ゴールにキックして3点狙ってもOK。横に蹴ってタッチラインの外に出すと、その場所からマイボールのスローイン。「ラインアウト」ってヤツね。

玲花:ほーん。けど、そんな反則なんてあんまりないんでしょ?

太郎:反則は両チーム合わせて1試合10〜30回ってところかなあ。

玲花:めっちゃあるな!

太郎:ちなみに種類もめっちゃある。ハイタックル、ノーバインド、タックルインジエアー、ノットロールアウェイ、ノットリリースザボール、ネックロール、オフザゲート、オフサイド、ハンド、スクラムコラプシング、オブストラクション、あ、ネックロールは通称だったかな。とりあえずパッと思いつくのでこれぐらいだからまだまだ……。(注2)

玲花:いやめっちゃあるな!?

太郎:ま、まあほら、点の入り方と「ボールを持った人が一番前」さえわかってれば観られるから……面白いから……。

玲花:ほんとにぃ?

太郎:あとはね、ほら、危ないプレーはだいたい反則ってことで。

玲花:えっ、ぜんぶ危なくない?

太郎:たしかにィ! 俺が入ったらワンプレーで骨折する。バキバキに折れる。

玲花:それはそう。ところで太郎、「世界でいちばんカンタンな?ラグビールール解説」は、ひょっとしてめっちゃある反則の説明は――

太郎:しませんッ!

玲花:言い切りおったー!

太郎:あ、最後にもう一つ大事なことを。

玲花:流しおったー! それで、最後に?

太郎:ラグビーは15人でプレーする。ワールドカップだと交代要員は8人。ちなみに交代は全員OKだから、1試合で23人出場するのが普通なんだ。

玲花:最後のまとめかと思ったらまとめじゃないな!?

太郎:なお脳しんとうの疑いがある時のヘッドインジュアリーアセスメント(HIA)や、止血の時は一時的に交代して戻ってこられる。

玲花:合理的だけど複雑だな!?

太郎:ちなみにフォワード第一列の交代を語り出すとさらに複雑になる。

玲花:せかいでいちばんかんたんな……らぐびーのるーるかいせつぅ……。

太郎:大丈夫! 点の入り方と「ボールを持った人が一番前」さえわかってれば観られるから! 面白いから!

玲花:押し切りおった……太郎が諦めて押し切りおった……。

太郎:この記事に反響があったり、ジャパンが勝ち進んだら、もうちょっと説明する原稿を書くかもしれません!

玲花:日テレで言ってた「じゃっかる」とか?

太郎:アレの説明は無理。文章オンリーは無理。

玲花:それで大丈夫なの、専業ラノベ作家ぁ……。

太郎:それでは、今回はこの辺で! 皆さまにラグビーワールドカップ2019を楽しんでいただけることを願っております!

玲花:最後まで関係者の立ち位置だったね、太郎……。

(注2)さらっとまとまってる初心者向けのルール説明はこれ! しかも無料!
『ラガマルくんのラグビールールブック』

もうちょい詳しく知りたい人に初心者にもわかりやすいおすすめのルール本はコチラ!
『観戦&プレーで役に立つ! ラグビーのルール[改訂新版]』/実業之日本社

日本ラグビー協会のサイトには競技規則(ルールブック)のPDFもあるよ!


筆者紹介
坂東太郎(Twitter: @bandoutaro2015)
母親の影響で小学校時代からラグビーを観る。当時は対抗戦と大学選手権、日本選手権がメインだったが1995年のワールドカップのとある試合を観たことで海外ラグビーに目覚める。以降、ラグビーワールドカップは毎回テレビ観戦。2015年のワールドカップに感動して、はじめてスタジアムに足を運んで虜となる。スーパーラグビーはサンウルブズのシーズンチケットで、トップリーグは「トップリーグパスポート」で観戦。ラグビーワールドカップ2019日本は9試合生観戦(10/16現在)、全試合テレビorPV観戦しているため、日常生活に支障をきたす。
なお本業はライトノベル作家・WEB小説作家。現在WEB小説の更新が滞り気味。一生、一生に一度だから……終わったら書くから…………。

著者既刊
『アイヲンモール異世界店、本日グランドオープン!』/GCノベルズ
『異世界おっさん道中記』1〜2/MFブックス
『ゴブリンサバイバー』1〜3/オーバーラップノベルス
『10年ごしの引きニートを辞めて外出したら』1上・1下〜5/オーバーラップ文庫

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