見出し画像

小4の壁…交友関係の壁を乗り越えるには?【小4の壁②】

※この記事は、深澤英雄先生(神戸市の小・中学校で38年間教壇に立ち、教職大学院の特任教授を4年半務める。現在は和歌山大学教育学部の非常勤講師として学生の指導にあたる。)をお招きして、久保田学園グループ代表久保田勤とグループ講師宮後のお話をベースに記事にしています。
※この記事は前回の続きです。

交友関係の壁:ギャングエイジ

宮後:前回は、小4の壁というテーマでの精神面・肉体面の成長と友人・交友関係の変化についてお話をいただきました。今回は友人・交友関係で小4の壁に当たった時にどうすればよいのかについてお話を伺いたいと思います。

深澤:この時期は”ギャングエイジ”とも言われています。”ギャング”と聞くと”うちの子不良になるの!?”と心配するかたもいるかもしれませんが、”仲間””集団”という意味で、子どもが仲間を大切にし始める時期だと考えてください。

久保田:子どもたち同士の世界を築いていくのは成長の過程として大切ではすが、トラブルが発生する場合もあるものだと思います。その場合あまり親が介入すると子どもが反発したり、親が介入することで我が子が子どもの世界から仲間外れになったりするんじゃないかという心配もでてきます。ですが、放置していて子どもが悲しい目を見るのも…という不安を持たれる保護者もいることと思います。保護者としては、どのようにしていくのが良いのでしょうか?

深澤:まず、子どもの交友関係に変化を知ることが大切です。直接子どもに聴いても答えてくれるとは限りません。変化を感じるアンテナを高く立てて、変化に注目することが大事です。どういうアンテナをたてるとよいかの例を挙げると、

食べ物の好みが変わる 
 → お菓子やジュースのお友達の好みに合わせているケースがある
よく見るテレビ番組が変わる 
 → 仲間の話題に合わせようとしている。今はSNSなどの場合も
お友達の話をしなくなる
 → 今まで何でも学校の話をしていたのが激減する
決めたルールより、友人を優先する
 → 下校のルートを変えて友達と一緒に帰るなど、ちょっとしたことから
持ち物・服装の好みの変化(特に注意)
 → 持っていないはずのものを持っているときは特に注意

深澤:このような変化が現れたら、交友関係の変化の兆候です。ちょっとした変化は、それが大きな問題につながっていくというわけではありませんが、子どもの変化としてつかんでおくことが良いでしょう。もちろん、家庭決めたルールを破るなどの変化があった場合は、ルールに基づいて叱るなどした方が良いですが、交友関係そのものを悪いとして叱る必要はありません。

宮後:トラブルの兆候だと捉えた方がよい変化にはどのようなものがあるでしょうか?

深澤:最も注意すべきは持ち物ですね。買い与えていないものを持っている、逆に与えたものを持っていない等はよく注意してください。

鉛筆や消しゴムといった筆記用具
ゲームソフト、カードゲームといったゲームグッズ
グローブ・ボールなどのスポーツ用品
腕時計、髪留めのゴムなどの装飾品

これらのような持っているはずのものを持っていなかったり、持っていないはずのものを持っているというのは、友達との貸し・借り、あげる・貰うという事をしているということです。これがトラブルの原因になることがとてもよくあります。

良くない交友関係を見つけたら

宮後:保護者の方としては、”子どもが人間関係の壁にぶつかっている”ことに気付いたとして、どのように対処すればよいか困るのではないかと思います。どのように対処するのがよいでしょうか?

深澤:まず、子どもが自立に向けての成長段階にあるということをよく保護者・指導者の側もよくふまえた上で子どもに接していくことが第一に必要な事だと思います。

久保田:深澤先生がおっしゃる通りですね。この時期ぐらいから、子どもは親の言うことに反発し始めます。しつけのつもりで子どもに一方的に指示・命令をすると、親子関係が崩れてしまうこともあります。

深澤:今、反発されるということがでましたが、反発そのものは悪いことではありません。子どもの話をよく聞きくことで、子どもが自分の考えをしっかりと話すことで、自分の気持ちを振り返ることができ、それがより成長のきっかけになっていくのです。

久保田:そうですね。保護者としては、子どもに反発されると、”どうしよう・・・!ピンチかも”と動揺してしまうかもしれません。ですが、そこはピンチではなく、成長のチャンスだと考えてください。久保田学園グループの指導者が一番大切にしている事でもあるのですが、指導をする上で、一方的に伝えるのではなく、よく話を聴いて共感することを大事にしています。この共感は全て相手の言うことを認めるということではありません。話し合いをするための”土俵”を作るということです。話す前にまず相手の話を聴く。こうすることでお互いが”話し合う”ということができる。これが大事なことです。

深澤:そうですね。子どもの話をよく聞き土俵を作った上で、保護者としては子どもにどのような友人関係をして欲しいかという思いを提案するように伝えるのが良いと思います。
「私としては、あなたには○○のようにお友達と付き合っていってほしいと思っているの。あなたはどう思うかな?」
というような伝え方が良いのではないかと思います。子どもの意見も聞こうという姿勢を崩さないことも伝え方の大事なポイントだと思います。

久保田:提案するように伝えるというのはよいですね。”良くない交友関係を見つけた場合”といったものの、その”良くない・悪い”というのはまだ保護者の判断でしかないのです。おそらくはそれは正しい判断なのですが、話し合いの土俵を築くまえに”それは良くない関係だからやめようね”と伝えてしまっては親の判断を一方的に伝えることになってしまいます。一方的にならないようにしつつ、思いをしっかりと伝え、子どもに考えを促すような伝え方ができるのが一番だと思います。

一人で抱えずに、相談するのも大事

深澤:実際に子どもが交友関係の壁にぶつかっていることに気付くと、保護者としても心理的な負担は当然大きいものになると思います。やはり一人で抱え込まずに色々相談してみるのがよいでしょう。パートナーに相談するのももちろん良いのですが、子育て経験のある自分の祖父母や親戚、友人などに相談してみるのも良いです。念のためにはなるのですが、同じ校区内の同学年の子どもがいる友人に話をすると、利害関係もありもめてしまうこともあります。緊急度にもよりますが、まずは信頼できる方で、利害関係の絡まない少し距離のある人、例えば校区外であったり年上のお子さんをもつ子育ての先輩のような友人に話を聞いてもらうのが良いと思います。

久保田:そうですね。子どもが反発して困ってるんです!というときはもちろん抱えないことが大事ですが、良くない兆候が気になりだしたなという予兆段階でも相談してみると良いと思います。

宮後:ありがとうございました。前回・今回と子どもの発達とそれにともなう子どもの心理状態や交友関係についての小4の壁についてお話をいただきました。次回からはみなさんより気になる”勉強面の小4の壁”についてお話を伺いたいと思います。次回もよろしくお願いします。

まとめ

子どもの交友関係の変化には、アンテナは立てよう
食べ物・テレビなどの好みや、話題、ルール破りにはよく見ておこう
持ち物には注意 トラブルの原因になりやすい
子どもの変化に動揺せず、まずは向き合うことが何よりも大切
一人で抱え込まずに周囲に相談することで、解決策を見つかることも