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【学習お悩みQ&A第1回②】家庭での学習の心配事にお答えします

※この記事は、前回の続きになります。
※この記事は深澤英雄先生(神戸市の小・中学校で38年間教壇に立ち、教職大学院の特任教授を4年半務める。現在は和歌山大学教育学部の非常勤講師として学生の指導に当たる。)をお招きして、久保田学園グループ代表久保田勤とグループ講師宮後が対談を記事にしたものです。


学習の予定を立てる 適度な休憩も予定に入れよう

宮後:前回は
”集中力がない”
”学習習慣がつかない”
”親がそばにいないとすすんで学習しない”
については共通となる解決のポイントがあるというお話を伺いました。

その中で
”家庭のルールを決めること”が大事と伺い、さらに、
”勉強開始時間”・”勉強する場所”
をルールとして決めることが効果的だというお話を伺いました。本日は続きを伺いたいと思います。よろしくお願いします。

久保田:さっそくですが、深澤先生、そのほかのポイントにはどのようなものがあるのでしょうか。

深澤:勉強開始時間や勉強場所について、できるようになってきたら、次のステップを考えることも大事です。次のステップとは、”学習の予定”を立てることですね。まずは1週間程度の計画を立てていくとよいでしょう。

宮後:まずは曜日単位で、この曜日は何時から開始しようとか、どの勉強をしようとかテキストの何を使おうとかを決めていこうということですか?

深澤:そうですね。その程度から決めていくことがいいでしょう。計画を立てることで、子ども自身も自分の勉強の進捗状況がわかるようになります。そうすることで、計画性をもって学習を進める習慣がついてきます。

ゆとりをもった計画を

久保田:計画性はとても大事ですね。計画性を持って勉強をすすめるポイントは、計画をあまり”ガチガチ”に決めてしまわないことだと思います。昔私も”冬休みは毎日6時半に起きて、7時までには朝ご飯を食べ終わって、7時からは二時間勉強して”というように厳密に計画を立てていました。細かく決めておいたほうが計画がやりやすいかなと思ってたんです。

宮後:私もそう思ったことありますね。たいへんよくわかります。ですが細かく決めると計画通りに全然いかないんですよね。

久保田:そうなんですよ。計画がうまくいかないと、”せっかく頑張って計画立てたのに、計画なんてたてても意味ないじゃん!”ってなってしまうんですよね。それで計画性を失ってしまうのが一番ダメなことだと思います。

深澤:計画に余裕は必要ですね。ゆとりある計画を立てるのが長続きのポイントですね。”計画に縛られて、やるのがしんどすぎる!”とならない程度の計画にするのがよいでしょう。そういう意味で、ゆとりをもたせるために”休憩時間”を決めることは大切ですね。

久保田:そうですね。勉強をする計画だけが計画ではないと思います。休憩する時間を決める。勉強しないで遊ぶ時間を決めるというのも立派な計画の一部です。そういう部分を話し合って決めておくとよいでしょう。メリハリも大切です。

安心して学ぶための、親のサポート

宮後:ルールの設定については、時間・場所・計画とお話を伺えたと思います。最後に、ルールを計画的に守っていくためにはゆとりも必要だというお話を伺いましたが、他に大切なことはあるのでしょうか?

深澤:やはり親のサポートは欠かせないと思います。子どもの質問に答えたり、一緒に解決しようとする姿勢を見せることで子どもに安心感を与えることができると思います。

久保田:保護者の方も家事や仕事で疲れていること思いますので、ずーっとみている必要はないと思います。特に、子どもがすらすら手を動かしている時にじっと見ているとかえってじゃまになってしまうこともありますしね。

深澤:疑問に答えてあげることも大切ですが、声掛けが特に大事だと思います。終わった時に、”すごいね!”とか”よくがんばったね”と声掛けすることがとても大切です。

久保田:終わった時の声掛けがあるとうれしいですね。私は、質問に来たこと自体をほめるのも大事だと思います。わからない事は質問すればよいとはよく言いますが、なかなか質問できない子どももいます。そういう子どもは、親に気を使っている場合がよくあるんです。”質問するなんてすごいやん!”といった声掛けするのも効果的だと思います。

深澤:そういう声掛けは効果的ですね。気を使って質問できない子どもには”わからない部分は貯めておいて、8時になったら質問しよう”などとルールを決めておくとよいでしょう。質問のルールを決めておくと、保護者の方も質問に集中しやすくなりますし、一石二鳥ではないでしょうか。

小さな成功体験と達成感

宮後:私は、ルールを決めたり、計画を立てていくには”目標”が欠かせないと思います。中学生だと”中間テストのために”計画を立てよう!といったことがあると思いますが、小学校4,5年生くらいだとまだまだそういう目標を持つのは難しいと思います。まずどういうことを目標にするのが良いでしょうか。

久保田:もちろん小学校4・5年生くらいだと目標を持つのは難しいし、中学生でも計画を立てたことがない子にはいきなり”テスト向けて”とやるのは難しいと思います。目標にむけてルール、計画というのは学習習慣をつけようとやり始めた時には難しく挫折しやすいものなんです。ここは目標からルールと考えるのではなく、逆に考えて、”まず計画をたててみて、その計画を1週間続けてみる”というのを目標にするという程度でよいと思います。

深澤:そうですね。まず1週間続けてみるというのを目標にするのは素晴らしいと思います。まずは小さな目標を立ててクリアしていくというのは本当に大切です。私はこれを”小さな成功体験”と呼んでいます。こういう積み重ねが自分の中に自信を生み出すんです。

久保田:こういう積み重ねで自信をもつには、親の声掛けがあるとなお良いのです。”1週間達成おめでとう、がんばれたね”と周りの人がほめるからこそ自信となり、それが自己肯定感につながっていきます。その自己肯定感が”やる気”の源泉になるんです。

深澤:この小さな達成感がやる気につながり、
”集中力がない”
”学習習慣がつかない”
”親がそばにいないとすすんで学習しない”という問題を克服していくと思います。

まとめ

予定をたてよう。ゆとりをもった計画が長続きの秘訣
計画にしばられてしんどいような計画はNG 休憩の予定も計画のうち
安心して勉強できるための親の声掛けが大事
まずは小さな成功体験を 親の声掛けで達成感アップ!