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「うるさい!」って反発されていませんか?親子コミュニケーションの質を高める質問術②

この文章は、久保田学園グループ代表久保田とグループ講師宮後が親子の会話について対談したものです。”「うるさい!」って反発されていませんか?親子コミュニケーションの質を高める質問術①の続きになります。


詰問してませんか? ”なぜ+否定語”がNG

宮後:前回の最後で、質問の際のNGワードを紹介するとのことでした。早速ですが、どういう質問がNGワードになるのでしょうか?

久保田:質問したところで、”なんでそんなこといわれたあかんねん、うるさいわ!”と言われることはよくあるのではないでしょうか?こちらはただ聞いているだけなのに、子どもは反発してしまう。そのような質問はNGワードになります。

宮後:それは具体的にはどういう質問なのでしょうか?

久保田: ”なぜ・・・しないの?”という言い方をするのがNGです。
  例えば、”なぜもっとはやく宿題終わらせないの?”とつい言ってしまうとは思いますが、これが反発される可能性が高い聞き方です。
 宮後君が中学生だった時の気持ちになって聞いてほしいんですが、

 ”なぜもっとはやく宿題終わらせないの?”

 と言われたらどういう気持ちになりますか?

宮後:まず、叱られてるという気持ちになりますね。

久保田:そうでしょう。親としては質問しているつもりでも相手は叱られた気持ちになるんです。ほかにどんな気持ちになりますか。

宮後:理由を説明しても聞いてくれないような気がします。何を言っても”言い訳するな!”っていわれそうで。

久保田:そうですよね。理由を説明したところで、結局”あなたが悪いんでしょ?”っていわれているようなものなので、子どもは理由を説明する気持ちにもならないんです。

宮後:全体的に、追い詰められた気持ちにもなります。こう言われてしまったら、疲れたり不満がたまっていたりしたら、”なんでそんなこというん?うるさいわ!”って反発してしまうかもしれません。

久保田:こういう質問は質問ではなく”詰問”になっているんです。この”なぜ+否定語”は相手を追い詰めてしまうんです。

なぜ→何に変えよう

宮後:でも、理由を聞きたいときは”なんでなん?”って聞きたくなるものですよね。どのように質問するのがよいのでしょうか?

久保田:まず大切なのは、”あなたを責めているわけではない、原因を聞きたいんだ!”という気持ちで質問することです。とはいってもなかなか気持ちを言葉で伝えるのは難しいと思います。まずは”なぜ”ではなく”何”と聞いてみるようにしてみましょう。例えば、

 ”宿題できなかった原因は何かな?”

と聞かれたとしたらどういう気分ですか。

宮後:ずいぶん優しくて楽な表現になった気がします。どういう仕組みなのでしょうか?

久保田:”なぜ勉強しないの?”という質問は結局のところ ”なぜ(あなたは)勉強しないの?”と言われていると感じてしまうものなのです。”原因は何?”と聞かれるとあくまで原因が話題なんだよというイメージになります。

宮後:なるほど、”私”じゃなく、”原因”が問題なんだと感じるから追い詰められている感覚が薄まって楽に感じるんですね。

久保田:ポイントは”相手”と”原因”を切り離す事です。例えばこういう聞き方もあります。
 ”なぜ宿題をやらないの?”
 →”宿題できなかった原因は何かな?”
 →”あなたが宿題をするのを邪魔したものは何かな?”

宮後:これだと、自分以外のどこかに悪い奴がいるんだという気がしてきますね。

久保田:そうなんです。こうすると、あくまであなたではなく”邪魔するもの”が悪いんだという気持ちになります。"なぜを何に変える"だけでずいぶん変わるものなのです。

ついつい言ってしまうNGワード 誇張する言葉

久保田:他にもこういう言葉に注意してください。
 ”なぜ・・・いつもそんなことするの?”
 ”なぜ・・・全然やらないの?”

宮後:私もつい言ってしまうような気がします。”なぜ”とセットで使ってしまいますね。

久保田:これをいってしまうと”いつもじゃないし!”とか”ちょっとはやってるわ!”と言い争いになってしまいます。他にもこういう表現があります。

 ”あなた以外みんな・・・してるよ?” →”全員みんなはやってないし!”
 ”何度も言ってるでしょ!” →”そんなん聞いてないし!”
 ”そんだけしかやってないん?” →”ちゃんとやったし!”

宮後:子ども時代に言われてイラっとした覚えがありますね。でも先生になってから言ってしまったこともあるようです。

久保田:ついつい口にでてしまうものなので注意したいところです。これらの言葉の怖いところは、”相手をちゃんと見ていない”というメッセージになってしまうところですね。
もし宮後君が、2・3回宿題やってなかったとして”いつもやってない”と言われたらどう感じますか?

宮後:”やってたこともあるし!やってた時の事はみてなかったんか!”と感じるかもしれません。

久保田:そういうことなんです。誇張表現は相手を見ていない、否定していますよという表現になってしまうので、注意が必要です。

宮後:質問のポイントはわかった気がします。他に大切なことはあるのでしょうか?

久保田:細かなテクニックはたくさんありますが、一番肝心な事は先にもいいましたが相手を問い詰めないことです。上手に話を聞くことを意識してください。話を聞き出したら、次は相手の話にどのように耳を傾けるか、要するに”聞き方”が大切になってきます。次回は相手の話をどう聞くについてお話したいと思います。

まとめ


①”なぜ+否定語”は相手を追い詰める
②”なぜ”を”何”に置き換えることから始めよう
③”誇張の言葉”は相手を無視・否定するメッセージになるので注意