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2020年5月の記事一覧

連続小説『フィーリング ヴォイス』

 決して嫌いではない。むしろ、とても興味はあるし、どちらかと言うと好きな世界。そんな複雑な気持ちになる世界が誰にでもあるかはわからないが、俺にとって今向かっている場所は正に、そんな場所だった。

「おい、圭介。せっかくだから楽しめって」

 隣に座る正志が、スマホを片手に俺に話しかけてくる。

「勿論、来たんだし、楽しもうと思ってるよ」

 俺は正志の言葉に答えるが、明らかに生返事なのはバレバレだ

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