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久保田唱
2020年5月1日 21:02
決して嫌いではない。むしろ、とても興味はあるし、どちらかと言うと好きな世界。そんな複雑な気持ちになる世界が誰にでもあるかはわからないが、俺にとって今向かっている場所は正に、そんな場所だった。「おい、圭介。せっかくだから楽しめって」 隣に座る正志が、スマホを片手に俺に話しかけてくる。「勿論、来たんだし、楽しもうと思ってるよ」 俺は正志の言葉に答えるが、明らかに生返事なのはバレバレだ
2020年4月29日 18:19
(前編よりの続き) 女学生の沈黙は少しの間続き、その次に出てきた言葉はとりとめもない質問で、話題はすっかりすり替わっていた。 僕も僕で、何か探してるなら見てこようか? と聞くことも出来たが、それはしなかった。 女学生からの質問は、「何年生?」から始まって、「学校は楽しい?」や、「勉強好き?」など、これがいわゆる世間話というやつかという、まさしくとりとめもない内容だったが、僕は今までその
2020年4月28日 21:00
「でも、必要なかった」 妙に自分の中に残っている言葉というのは、誰にでも一つはあるんじゃないだろうか。私にとっては、“それ”が子供の頃から何かにつけて頭の片隅にある言葉だった。 子供の頃の私は、友達と呼べる存在がいなかった。勿論義務教育である小学校には通っていたし、テレビの特集番組で時々見る、過疎化が進んだ地域の「全校生徒の人数が一桁」というような特殊な環境だったわけでもないから、クラス