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雇用に関する事業者の負担について

前回ChatGPTを代表する生成AIの話題を上げましたが、先日会社と従業員との関係を見直すきっかけがあったため、今回は視点を変えて雇用にかかわる雇用者側の負担を振り返ってみます。

採用

下記リクルートエージェントのホームページに記載の情報を参考にすると、リクルートが行った調査では、2019年度に実施された新卒採用(2020年卒採用)における1人当たりの平均採用コストは、93.6万円とのこと。
また、中途採用の場合2019年度の1人当たりの平均採用コストは103.3万円とのことでした。

内訳の詳細は不明ですが、推測すると採用情報サイトへの求人登録や具体的な採用活動にかかる費用が計上されていると思われます。情報元は失念してしまいましたが、以前調べたところリクナビのサービスを利用するための掲載料はサービスによると思いますが50万円程度はかかると聞いたことがあります。また具体的な採用活動では、採用会場や提供資料の準備などの直接的なコストに加えて、面接役従業員の拘束時間などといった間接的なコストも考える必要があります。

一人採用するのにもかなりの金額がかかっていることがわかります。このように金額をかけて採用した従業員がすぐにやめてしまう場合、事業者側にとっては大きな痛手となります。そのため、事業者は採用だけでなくその後の継続的な働きやすい環境づくりにも注力することが必要となります。

給与など

従業員に対する金銭的負担の代表的なものは給与・報酬でしょう。後述する各種社会保険の算定基準ともなる金額であり、企業に勤める人の主な収入源となります。
金銭的な報酬は衛生要因であり、足りないと不満につながりますが、多く与えれば満足感につながるというわけではないことは診断士の学習で学んだ通りです。そのために給与・報酬の金額は不満につながらない金額で妥当な金額を設定する必要があるため、従業員のエンゲージメントを高めるための重要な要素の一つとなります。

福利厚生・教育

私の勤務先の採用ページに記載されている福利厚生の内容を確認すると以下の通りでした。
・福利厚生
 -扶養家族手当
 -資格取得費用
 -健康保険費用
 -健康診断
 -賞与積立
 -退職金積み立て
特段珍しいものはありませんので、他の企業も同様の負担は費用として計画されていると思います。
また、採用後の各種外部教育など事業者側で計画しているものに関しては会社で費用負担していると思います。

健康保険証

各種社会保険類

厚生年金

実際に負担する金額は従業員の標準報酬月額により変化しますが、保険料率18.3%の半分の9.15%が事業主(残り9.15%が個人)の負担となります。

子ども・子育て拠出金率

厚生年金に加えて子供・子育て拠出金も事業主が負担しています。0.36% 全額事業者拠出となっています。

健康保険

すでに上記福利厚生の中に記載していますが健康保険料も事業者が負担しています。保険料などは健康保険組合などによって変わりますが個人と折半して事業者が負担しています。また、40歳以上の従業員の場合、介護保険も追加で負担しています。

雇用保険

一定の条件を満たす従業員を雇用する事業者は雇用者を雇用保険に加入させることになります。
農林水産業、清酒製造業、建設業を除く一般事業者の令和5年の雇用保険料率は1.55%(内0.95%が事業者、0.6%が個人負担)となっています。

雇用保険の料率ですが年々増えてきており、少しずつですが年々事業者と個人の負担が大きくなってきています。

まとめ


今回は雇用にかかわる雇用者側の負担を振り返ってみましたが、このように振り返ると会社に雇用されているサラリーマンの立場では、就業時間内での行動が雇用者側の指示で拘束されるなどの制限はあるものの、フリーランスと比較して各種多くの面で金銭的負担を肩代わりしてもらっているということがわかります。
もちろん給与という形で定期的な収入が保証されているという点も企業に勤めている人の大きなメリットと考えられます。

以上、まだ見落としているものもあるかもしれませんが、企業にお勤めの方は勤め先の会社が支えてくれている面が意外に多いことを一度振り返ってみてはいかがでしょうか。

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