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4人の育児・専業主婦を経て「もう一度」取材ライターに挑戦する理由

「ライフイベントがきっかけで中断したキャリアに再挑戦したい」と思いつつ、ブランクが気になって立ち止まってしまう方は多いかもしれません。

今回取材したフリーライターの那須あさみさんは「もう一度」歩み出さずにはいられなかった人。4人の育児と専業主婦期間を経て、働くのは久しぶりと笑う彼女は、まさに今取材ライターに再挑戦しています。

本記事では、あさみさんが取材ライターに再挑戦する理由今だからこそ興味のある取材テーマを取り上げています。書きたい記事こそ書ける記事と思わせてくれるお話です!

(※2024年1月 ききじょうず内の自主企画として取材)

那須あさみ さん
山口県出身、長野県在住(教育移住)。出版社や編集プロダクションでの編集・ライター経験を持つフリーライター。趣味は読書・映画鑑賞・Voicy・ヨガ。無類の猫好き。

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新卒で出版社へ。ベースにあるのは「社会を良くしたい」「世界を知りたい」想い

——早速ですが、あさみさんのこれまでのお仕事について教えてください。

新卒で入社したのは、専門誌の出版社。人事だったので、1年目なのに新卒採用を担当していました。さらに、半年で雑誌の編集部に異動になったんです。それから退職まで、とにかく忙しかったことを覚えています。

——新卒で出版社を選んだ理由は、何だったのでしょうか?

単純に、憧れですね。小さいころから本が好きで、文芸書の編集に興味がありました。

ミヒャエル・エンデさんの「はてしない物語」を手に取ったことはありますか?物語に出てくる本をイメージした凝った表紙で、すごくワクワクするんです。素晴らしい内容の本をより魅力的にする、装幀の仕事にも興味がありました。

\出版社に憧れたきっかけはこちらの本/

——装幀のお仕事、憧れますよね!出版社というと狭き門のイメージですが、就活の際にはどういった自己PRをされたんですか?

学生のころから環境問題や途上国支援に興味があって、海外ボランティアに積極的に参加していました。

お世話になった出版社は、環境問題を取り扱うビジネス誌を出している会社だったので、志望理由に自分の経歴や興味・関心を紐づける形で「ビジネス誌に関わりたい」と書いた記憶があります。

——環境問題や途上国支援に興味を持ったきっかけは何でしょうか?

小学生のとき家族で行ったタイがきっかけかもしれません。バンコクだけでなく、象しか交通手段がないような少数民族の村にも行ったんです。さらに親が、そこで集めた民芸品を日本で売って利益を村に返す活動をしていました。

親の社会への関心を目の当たりにして、環境問題や途上国支援に自然と興味を持ったのかなと。「社会を良くしたい」「世界を知りたい」想いは、小さいころから持ち続けていますね。

専業主婦から取材ライターに再挑戦する理由は「悔しさを晴らすため」

——出版社以降のキャリアを、教えてください。

周りに頼りつつ編集の仕事を楽しめるようになってきたタイミングで、出版社を辞めたんです。パートナーが家業を継ぐために地方に戻ると決めたので、迷いながらもそのときのキャリアを諦め、結婚を選択しました。

そして、2年ほど家業を手伝っていたのですが、1人目の子どもを妊娠して体調が不安定になったため、専業主婦に。

産後はキャリアが中断していると焦って、なんとか編集プロダクションの契約ライターになりました。ですがそれも、子どもが小さく仕事と家庭の両立が難しくて辞めることに……。

——仕事を再開しようと思ったきっかけは何ですか?

4歳から12歳の4人の子どもがいるのですが、一番上の子が小学2年生のときに不登校になりました。学校に通わせないととは思っていなかったのですが、家で時間を持て余している子どもに「あれやってみたら?」「ここに行ってみたら?」と言っても本人には響かず、お互いに疲れてしまって。

不登校から3年くらい経ったある日、「私は子どもに十分時間を使った」と突然吹っ切れました。自分のために何かやろうと思い立って、仕事を再開することにしたんです。

——取材ライターを選んだ理由は何ですか?

仕事仕事と考えて、真っ先に思い出した経験があって。編集者兼ライターをやっていたとき取材した方に「修正を入れなかった原稿は初めて。取材ライターに向いてるから、今後も頑張って」と褒められたことです。

実はその記事、編集長に大きく修正された記事なんです(笑)。「自分の書いた文章でこんなふうに言ってもらいたい」と悔しい気持ちになったので、ずっと覚えてました。

悔しさを晴らすために、取材ライターに再挑戦しているということです!挑戦している私の姿が子どもたちの刺激になるかな?とも少し思っています。

「私は、書きたい記事の一番の読者」育児を通して気づいた“当事者の強み”

——あさみさんの書く記事は、読者の知りたい情報がしっかり載っているイメージです。執筆の際、気をつけていることはありますか?

読者の役に立つ記事を意識しているので、嬉しいです。

私自身が、記事の途中ですぐに離脱してしまうタイプで。読者が離脱しないように、記事の前半に説得力を持たせるよう意識しています。そのために、リサーチに力を入れることが多いですね。

さらに、ネットで簡単に情報を集められる今だからこそ、読んで良かったと思ってもらえるようなオリジナリティのある記事をつくるよう心がけています。

\栃木県野木ブランドのジャム生産者さんにスポットライトをあてた記事/

——「人の役に立つこと」が取材のモチベーションなのでしょうか?

もちろんそうなのですが、自分が知りたいという気持ちも大きなモチベーションです。

子どもの不登校を通して気づいたのは、それぞれに合った選択があるということ。ならば、学校教育に向いていない子には、どんな選択肢があるのか。「当事者だからこそ必要としている情報」があるんです。

だから私は、大多数に当てはまる一般論よりも、目の前の人間が「どう考えて」「どう問題を乗り越えてきたのか」に興味があります。自分が意見を持つことも、選択することも、人に聞いて知ることから始めたいんです。

——書きたい記事は、自分が知りたいこととイコールということでしょうか?

ほとんどイコールですね。私が知りたいことは、誰かの知りたいことでもあるはず。読んで選択肢が増えるような記事は、子どもたちが生きていく世界を、今より少しでも優しく、しなやかにすると思っていますし、そういった仕事がしたくて。

特に今は、子どもの教育が一番の関心ごとになっているので、オルタナティブ教育に関する取材を、当事者として積極的に行っていきたいです。

——専業主婦期間に経験したことも、ライターとしての強みになりそうですね。

専業主婦の期間は世間一般ではブランクと呼ばれるし、私自身そう思っていました。でも見方を変えれば、「当事者として知りたいこと」を蓄えていた時間だったのかもしれません。自分が書きたい記事の読者であることが、ライターとしての強みになったら良いなと思っています。

当事者だからこそ生まれた気づきや疑問を、取材ライターという仕事を通して一つひとつ答え合わせしながら、自分の言葉で読者に届けていきたいです。

——「書きたい記事の一番の読者であること」は、きっと強みになると思います。今後のご活躍も応援しています!ありがとうございました!


取材・文:久保みのり

【ライター・那須あさみさんに興味を持ってくださった方へ】

お仕事のご依頼・お問い合わせは、XのDMまたは「asami.k1129@gmail.com」までお願いいたします。

◯ポートフォリオ
https://www.foriio.com/asami-k1129

◯興味・関心のあるジャンル一覧
オルタナティブ教育、不登校、地方創生、サステナブル、生き方、働き方、アニマルウェルフェア


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