無題

何を書くべきか、それが問題だ。「ハッとする」「グッとくる」「ドンとくる」「ガツンとくる」 文章を組み合わせる。

皆さん、こんにちは。久保家です。

久保家のリビングにはホワイトボードがありまして、毎朝、そこに夫が考えたことを描いて、朝ごはんを食べながら夫婦でディスカッションをしているのですが、その内容をコンテンツとしてまとめてみようというのが今回の試みです。

○言語化することを徹底せよ

昔は、ホワイトボードにモデルを描いて、それを夫がわちゃわちゃ話すというスタイルだったのですが、最近は、このように一旦文章に起こしてから、翌朝プレゼンをする習慣に変わりました。見える化から話せる化へのパラダイムシフトです(笑)

若い頃から夫は、何を考えているのかよくわからない、独創的すぎて理解できない、論理が飛躍しすぎると言われてきました。自分の頭の中にあることを、うまく表現して、他者に伝えることができなかったのです。いまも大して変わりませんが(笑)

なぜだろうとずっと思っていたのですが、安宅さんの『ISSUE DRIVEN ?イシューからはじめよ』という本を読んでいるときに、その理由がわかりました。

 世の中の人を見ていると、「視覚的なイメージから考えるタイプ=ビジュアル思考型」と「言語から
考える=言語思考型」に二分されるように思う。僕は典型的なビジュアル思考人間で、漢字を使う日本人に
はこちらのタイプが比較的多く見られるようだ。

 ビジュアル思考型は言語思考型が言っていることをおおよそ理解できるが、逆に言語思考型はビジュアル
思考型の言うことをほとんど理解できない。世の中には言語思考型のほうが多いので、ビジュアル思考型が
自分が取り込もうとしているイシューを言語化していないと、チームの生産性は大きく下がる。

「これだ!」ガツンときました。自分の頭の中にあることを、他者に伝えるためには、言語化することを徹底しなければならない。気づきはしましたが、それで安心してしまい、言語化を徹底する習慣は身につきませんでした。理解するだけでは駄目なのです。記憶に定着させて、習慣化しなければならなかったのです。

○「ハッとする」「グッとくる」「ドンとおす」 「ガツンとくる」

夫は読書が大好きです。就職するときに、自分の好きな仕事につくのがいいですよ、と言われていましたが、そのときは何が好きなのかわかりませんでした。そこで、何にでもつぶしが利きそうなITの道に進みました。当時は、インターネットが一般の人にも広がり始めた頃で、なんだか楽しそうな未来に思えたのです。

20年ほどIT業をやってきましたが、好きな仕事はいまだにわかりません。毎日、飽きずに続けられることは、読書と散歩くらいです。なるほど、本当に好きなことは、読書と散歩なのだと気づきました。しかし、それで飯は食えません(笑)

ある日、小林秀雄の本か何かを読んでいるときに、読むことが書くことのように思えてきました。主客未分のような感じになってきたのです。それなら、書けばいいじゃないか。では、何を書くべきか、それが問題になりました。

ホワイトボードを見てください。人間の脳のかたちをモデルにしています。上が抽象化で下が具象化です。右は右脳で、左は左脳です。脳を4つに分類するわけですね。このモデルは、夫がアイクラフトさんで働いているときに、チームの生産性を上げる目的で導入した、「エマジェネティックス」というモデルに基づいています。

「エマジェネティックス」とは、アメリカで開発され、IBM・ヒルトンホテル・インテル・マイクロソフトなど世界のトップ企業でも採用されている、脳科学をベースにした思考と行動の特性分析ツールのことです。科学的なアプローチで、思考と行動の特性を分析することで、自己理解、対人関係向上、チームの生産性向上に役立てます。

まず、抽象的で右脳的な領域、これは「コンセプト型」といわれる領域で、「創造的」「アイデアが直感に浮かぶ」「変わったことが好き」などの特徴があります。コンセプト型の人をターゲットにするなら、「ハッとする」話が有効です。

コンセプト型の人には、「ハッとする話」で好奇心を掴む。

次に、具体的で右脳的な領域、これは「社交型」と呼ばれる領域で、「人間関係を重視」「人に共感する」「人から学ぶことが多い」などの特徴があります。夫はこの社交性の領域が多いタイプです。「見るんじゃない、感じるんだ!」。このタイプには、「グッとくる」話が効きます。

社交型の人には、「グッとくる話」で共感を得る。

続いて、具体的で左脳的な領域、「ディテール型」です。こちらは「実用性を重視」「予測できることを好む」「自分の経験にもとづいて判断」などの特徴があります。神は細部に宿る。このタイプには、データやエビデンスを示して「ドンとおす」話です。

ディテール型の人には、データやエビデンスを示して「ドンとおす」。

最後に、抽象的で左脳的な「分析型」です。「数学が好き」「理性的」「分析することで学ぶ」などの特徴があります。知識の質は論理にあり。チマチマした小手先の技術ではなく、結論から、全体から、単純に。「ガツンとくる」話がいいでしょう。

分析型の人には、結論から、全体から、単純に。「ガツンとくる」話。

ここで重要なポイントは、人間の思考はとても複雑なので、4つのタイプのどれか1つだけに分類されるわけではない点です。この人は「このタイプだ!」と、ステレオタイプな考え方に陥ってはいけません。論理的な人は、分析型とコンセプト型の両方をあわせ持つ場合が多いですし、信頼性の高い人は、ディテール型と社交型をあわせ持つ場合が多い。対極のコンセプト型とディテール型をあわせ持つ人もいますし、4つのバランスが良い人もいます。

3つの行動スタイルには詳しく触れませんが、自己表現が強い人と、自己主張が強い人を分けて考えている点は慧眼です。自分の考えを積極的に外に発信してる人が、その考えを受け入れてほしいと思っているとは限らないのです。

「エマジェネティックス」に興味をもった方は、書籍にもなっていますので、ぜひ一度読んでみてください。研修プログラムにもとづくセミナーも全国的に開催されています。夫は、神戸でエデュテさんのセミナーに参加したことがありますが、自分の強みを発見する良い機会になりました。

○何を書かないか、それが問題だ

「戦略とは、捨てることなり」という言葉があります。夫はこの言葉が好きです。日本の「わび・さび」に通じるからかもしれません。小さくコンパクトにまとめていく、そこに日本文化の本質を感じます。

「わび・さび」とは、「自然さ」「簡素さ」「不足の美」です。自然さ、簡素さは流れるようにできるかもしれませんが、「不足の美」は無意識では難しい。ついつい、余計なことを話したり、書いたりしてしまいます。

何を書かないか。徒然なる心で沢山のことを感じても、それをそのまま言葉にするのではなく、ひと呼吸おいてみる。そして、小さくコンパクトにまとめていく。そのプロセスに美しいものを求める、日本人の精神があるように思うのです。

いかがだったでしょうか。皆さん(妻)はどう思われますか。

○本日のおすすめ本

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」
安宅和人 (著)
単行本(ソフトカバー): 248ページ
出版社: 英治出版 (2010/11/24)

チームの生産性を最大化するエマジェネティックス 単行本(ソフトカバー)
小山 昇 (著), 賀川 正宣 (監修)
単行本(ソフトカバー): 280ページ
出版社: あさ出版 (2018/1/26)



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