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会社経験者こそクリエイターになれる!─イラスト仕事に活きるビジネススキル─

KUAイラストアドベントカレンダー、12月3日はイラストレーションコース研究室の大塚先生から『会社経験者こそクリエイターになれる!─イラスト仕事に活きるビジネススキル─』です!


こんにちは。京都芸術大学 通信教育部 イラストレーションコース研究室の大塚です。

プロのイラストレーターやマンガ家は、サラリーマンとは正反対のイメージがあり、センスや才能がないとやっていけないように思うかも知れません。確かにそういった側面があることは否定できませんが、イラストやマンガのお仕事には、実はサラリーマンで得たビジネススキルを活かせる場面がたくさんあります。

私は芸術大学でイラストやマンガを学び、卒業後はサラリーマンとして広告系の企業に勤務しながら副業としてイラストやマンガのお仕事を続けてきました。今回は私の営業時代のお話を紹介しながら、創作活動との共通点についてお話いたします。

サラリーマンで学んだ提案力が、副業のイラスト・マンガの価値を上げる!

私は芸術大学を卒業後、サラリーマンとして広告の企画営業職に就職しました。毎日クライアントのところに訪問し、広告の企画や販売を行う仕事です。

元々話をするのは得意でしたので、新卒としてはそこそこ“売る営業”になっていきました。しかし、“売る”のに必死だった私はクライアントの声ではなく、自分の売りたい商品の説明ばかりしていました。そのため商品に興味のあるクライアントには買っていただけるが、新しく需要を掘り起こすような提案は全くできていませんでした。

営業がただの商品説明になってしまっていた。

そんな時に、上司から学んだのが、提案型の営業です。提案型の営業というのは、クライアントの声によく耳を傾けてから、需要に合わせて話をする営業スタイルのことです。実際に人の話をよく聞いてから、提案を行うように意識すると、今まで以上に売り上げを伸ばすことができました。

一方で個人クリエイターとして、イラストやマンガの仕事も受けていました。当時は自分の看板になる実績などなく、1カット1,000円~2,000円ほどで安く受注し、本業の合間に描いていました。副業を始めた頃は好きなイラストがお金になって、ただ嬉しいという気持ちでしたが、徐々に自分の作品があまりお金にならないことに対して辛く感じるようになりました。

創作を助けた営業スキル

そんな時、サラリーマン生活の中で身につけた提案型の営業スキルが私のマンガ家としての生活を一変させました。

転機となったのは整骨院さんからお願いされたマンガ制作です。

マンガを依頼された時に指定されたターゲットは「腰を痛めてしまった人」でした。しかし整体師さんの話をよく聞くと、その整骨院の特徴は「慢性的に腰を痛めてしまう人を根治させる(根本から治療し再発しないようにする)」というのが強みであることがわかりました。そこで私はマンガの中で腰を痛めてしまう主人公のセリフを「腰をやってしまった!」から「また腰をやってしまった!」とする変更を提案しました。

「腰痛になった人」ではなく、「繰り返しの腰痛に悩む人」にターゲットを変更

ほんの些細なセリフの変更ではありましたが、整骨院さんも強みがよく出たマンガが完成し大変喜んでいただきました。更にマンガを使ったチラシによって客足が増え、最終的には予定よりも多くの金額を手にすることができました。

サラリーマンでの提案型営業の経験は私が描くマンガの価値を上げてくれました。真摯に本業である営業と向き合った結果、それまでには考えられなかった成果をマンガ家として残すことができたのです。

本業で得たスキルを好きなことに活かす!

少し前にヤフーやライオンなど大手企業の「副業解禁」が話題になり、企業が副業を認める動きが活発になってきました。政府も「働き方改革」の中で副業を推奨しています。このような社会の動きに対して「空き時間で収入を増やしたい」「自分の好きなことでお金を稼ぎたい」と思う人が増えていると思います。

サラリーマンとして労働に時間を費やして得たスキルや経験を副業と別々で考えてしまうのは勿体無い!多くの人が見落としがちですが、サラリーマンとして得られる経験には大きな価値があります。スキルや経験は自分の好きなことに役立て、結果的にお金を得るができれば人生の限られた時間を有効に活用することができます。

持ち味を活かせ!

「強み」と「弱み」は伸ばす順番が大事。

大学でよく聞く質問に「強みと弱みどちらに注力すればいいか?」というものがありますが、私の回答は間違いなく「強みに注力」するです。

「強み」をさらに伸ばすと、自身が社会で発揮できる価値が増え、仕事をより早く、高いクオリティで進めることができます。そうなってくると、おのずと「弱み」が気になってきて、改善する方向に意識を向けることができるからです。

営業時代の私の話に戻ると、当時は商品説明のために、何回もプレゼンの練習を行っていました。話すことに集中して「強み」を伸ばしていたからこそ、聞くことが疎かになっているという「弱み」を顕著に感じることができたのです。

イラストで言い換えると、人物キャラクターを描くことが好きなら、とことん人物キャラクターを描きます。そうすると、その人物キャラクターにふさわしい背景が描きたくなり、背景が苦手でも「頑張って描いてみよう!」と考えるようになっていくものだと思います。

サラリーマンのスキルはイラストレーターの武器になる

本業のスキル・経験は副業に活きるし、副業のスキル・経験も本業に活きる。

私が営業時代に意識していた「自分が伝えたい情報を相手が受け取りやすい情報に変換する」ことはイラストを描くときにも必要なことです。他にも、目標を分解して実現可能なステップに整理することはマンガの構成を考える時にも役立ちます。

私は芸術大学在籍中に「君の絵には個性がないから、絵で食べていくのは難しい」と言われたことがあります。しかし今はサラリーマンで培ったスキルや経験をイラスト・マンガに活用し、お仕事につなげることができています。普段は絵と全く関係の無い仕事をしている方も、働きながらイラストレーターやマンガ家を目指している方も、今のスキルや経験は必ずイラスト・マンガの表現を強化してくれる武器になります。

重要なのは自身の「強み」をさらに磨いていくこと。そのための学習は何歳になってからでも遅いということはありません。創作活動を仕事にすると、自身の作品と社会が結びつきます。
仕事をすることは、お金を稼ぐ以上の”つくる喜び”を創作者に与えてくれるのです。

プロフィール
大塚 勇
京都芸術大学 通信教育部 イラストレーションコース
講師
https://twitter.com/isamushi_1024

1990年栃木県栃木市生まれ。イラストレーター・マンガ家。
主な制作実績にKIRIN公式オンラインショップ「DRINX」挿絵、HKT48 #劇はじ「不本意アンロック」マンガなど。


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