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心を動かすドラマチックでエモいイラストの描き方

本日は旅行先生から『心を動かすドラマチックでエモいイラストの描き方』の記事をお届けします!


京都芸術大学イラストレーションコース レイアウト・構図にて非常勤講師をしている旅行と申します。この記事では、私が考える「人の心を動かすドラマチックでエモいイラストの制作方法」についてお伝えしていきたいと思います。


ドラマチックなイラストとは?

「ドラマチック」と聞いて、みなさんは一体何を想像するでしょうか。高層ビルから眺める夜景や夕焼けなどを想像する方も多いかもしれません。

私が思うドラマチックなイラストとは、「光と構図をしっかりと意識して描かれた臨場感のあるイラスト」です。イラストに臨場感を与えることで、見る人の心を動かすことができます。

ではそのために、どのように制作したらよいのでしょうか。

アオリ、フカンを使って魅力的なイラストに

ドラマチックなイラストにとって、一番大事なのは「構図」です。画面の真ん中に人物を描くだけの単調な構図では、やはり動きや変化がなく地味に見えてしまいます。そういったイラストが全て悪いわけではありませんが、迫力がある方が見る側にドラマチックなイラストとして伝わります。

迫力のあるイラストにしたいときは「アオリ構図」「フカン構図」を使ってみましょう。アオリは下から見上げる構図、フカンは上から見下ろす構図のことです。人物や背景に角度をつけることで絵全体に動きがつき、魅力的に見えてきます。

【アオリ構図から得られる効果】
・主観的
・迫力が出せる
・フカン構図と比較すると空間に広がりをつくりやすい

【フカン構図から得られる効果】
・客観的
・ドラマチックだけど日常の一部を切り取ったように使える

どちらもイラストの中に高さが加わるので、奥行きが出て迫力のあるイラストになります。

上2枚がアオリ構図、下2枚がフカン構図を使用したイラストです。

アオリ構図は上から見下されるような状態になるので力強さを表現しやすく、キャラクターの感情などを描写しやすいです。また、天井がある場合を除いて空や上へ伸びるビルなどが入るので、フカン構図と比較すると高さに奥行きを出せるため臨場感が出ます。

フカン構図は第三者視点的に描けるので、キャラクターの表情やしぐさを客観的に表現することができ、日常の一部分を切り取ったかのように見せることができます。また頭が一番最初に見える構図でもあるので、キャラクターの顔を魅せたいときにも効果的です。

ポイントは広がる空間

アオリ構図もフカン構図も下から上、上から下へ広がる空間が重要です。実際に2つの構図を使用し、空間を意識して描いたイラストを見てみましょう。

日夜 イラスト【日夜(@dokop_in)さん / Twitter】

こちらのイラストではキャラクターだけでなくビルも使って、上へ広がっていくような空間を演出しています。このように背景もうまく使うことで、より壮大さや迫力、臨場感を出すことができます。

こちらのフカン構図のイラストでは、キャラクター→テーブル→床のように空間が広がっていくのでアオリ構図より空間の広さが出しにくくなっているものの、このようにキャラクターの持ち味を出すのには効果的です。

奥行きで演出する

この考え方はキャラクターだけのイラストの場合にも応用できます。

上のイラストは左の男性の肘→肩→顔のように流れを作り、空間を演出しています。またキャラクターの配置を手前から男性→花→女性となるようにして、奥行きを出しています。

より細かく説明すると、体のパーツを使って奥行きを出すこともできます。

下のイラストは上のイラストを明暗で簡略化したものです。

絵の中で手前側に来る頭などの部分を明るく、奥にある胸元などの部分は暗くしています。

さらに簡略化しました。ピンクが一番手前、緑が中間、青が奥となっています。このように体のパーツの立体感や配置で、イラストの中に空間の奥行きを作ることができます。

構図だけではない、光でも演出する

はじめに「ドラマチックなイラストとは、臨場感のあるイラスト」と述べましたが、臨場感は構図だけでなく光でも演出することができます。

私たちは日常で光に当たって暮らしているので、きちんと光源を決めて描かれていると本当にその場にいるかのように感じるのです。また、光の当たり方や強さによって迫力を出したり、見せたいところを強調したりすることができます。

光源設定で変わるイラストの印象

こちらのイラストは光源の位置を設定し、そこから光が当たっていることを説明したイラストです。それぞれの光源設定からは以下のような効果が得られます。

【上から強めの光】 強調できる、強さを表現
【下からの光】   不気味な印象
【逆光】      ドラマチックで強さを表現
【横からの光】   アクセントになる
【漏れ出る光】   空気感を表現

光が当たる部分を意識することで立体感も出てきてリアリティが増しますし、光の当たり方によってはエモさにも繋がってきたりします。

上のイラストは光の当たる部分を右耳→口元→胸元と流れるように作り、色気を表現しています。

明暗のコントラストでドラマチックにする

構図はばっちりでもなんだか物足りない…そんな時は明暗のコントラストでドラマチックにしてみましょう。

このイラストは宇宙と光のコントラストを利用して人物のシルエットを強調し、二人の関係性に一番目が行くように光源を設定してあります。

このイラストは主役となる中央のキャラクターに注目を集めるため、右側に光源を設定し左側は暗く、右側は明るくなっています。また主役のキャラクターの周りだけ彩度が高くなっており、水色とオレンジ色の補色を配置してコントラストも付けています。

このように見せたい部分に強くコントラストをつけると、より迫力のある画面をつくることができます

でもいざコントラストをつけようとしても、上手くできなかったりしますよね。そういう時は、まず白黒にして考えてみましょう。

上のようにラフの段階で明暗を決めます。慣れていない場合は白、グレー、黒の3段階、もしくは白、薄いグレー、濃いグレー、黒の4段階を意識して明暗を決めてみましょう。

「エモさ」には情景描写が重要

空気感、温度感などを感じられるようなイラストにすることが、エモさに繋がります。季節や時間、場所、天気などその場所を想起させる要素を具体的に決めておくと情景を表現しやすく、見る側に伝わりやすくなります。

上のイラストはビルから夕陽を眺めているところを描いています。右側は暗く星が光っていて、夜が迫っていることがわかるかと思います。また、ビルの上から街を見下ろす形になっているため景色も良く、人物の服や髪で風を感じられることで爽やかな印象になるように描いています。人物が夕陽に背を向けることで逆光で人物の力強さを演出し、何か決意をしているのだと感じられるように描いています。

上のイラストは全体的に寒色系でまとめ、少し寒そうな温度を感じるイラストになっています。また、昼もしくは朝の薄く白む月で時間帯を表現しつつ、大きく描くことで非日常感のあるわくわくするようなイラストにしています。

このように時間帯や空気感を設定して表現することで、見る方に情景を伝えることができます。

まとめ

今回は「ドラマチックでエモいイラスト」の制作に対する私なりの考え方を紹介させていただきました。

  • アオリ構図やフカン構図を使ってキャラクターを魅せる

  • 広がっていく空間が迫力を出す

  • 体のパーツごとに奥行きを出そう

  • 光でも演出することができる。コントラストをつけて見せたいものを強調する

  • 情景を描くことがエモさに繋がる

全体を通して、迫力や臨場感を出すことがドラマチックなイラストに繋がるというお話をしました。加えてあなたの好きな情景を描くことで、あなたの思うエモさを表現でき、見る人に伝わるイラストになるでしょう。

今回紹介した構図と明暗を駆使していただくことが、みなさんがドラマチックで人の心を動かすエモいイラストを描く助けとなれば幸いです。


〇プロフィール
旅行

フリーイラストレーター。京都芸術大学通信教育課程イラストレーションコース レイアウト構図 非常勤講師。書籍イラスト、キャラクターデザインなどで活動。
Twitter:https://twitter.com/3San_325



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