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5STEPで「かわいい」を極める!

本日は柏木ちさめ先生から『5STEPで「かわいい」を極める!』の記事をお届けします!


こんにちは。作家・イラストレーターとして活動している柏木ちさめ(@chisamell)です。普段は主にメイド服や制服の女の子、静物のイラストを描いています。

今回は、日常で感じた「かわいい」をどのように絵で表現しているかについてお話ししていきたいと思います。


「かわいい」の見つけ方

お人形、香水瓶、エプロンドレス、猫ちゃん…かわいいものってどんなものでしょうか?

かわいいものはたくさんありますが、どれも私たちをキュ~ンとときめかせる不思議な魅力を持っています。広義に解釈できる便利な言葉ゆえに、何を見ても「かわいい~!」と口走ってしまうことが多いです。

私はかわいいものを見た時のときめきなど、日常で得た感情に共感してもらえたらいいなと思いながらイラストやグッズを作っています。

イラストにおいて「かわいい」を表現するためには、まず自分にとっての「かわいい」を見つける必要がありますが、私は間口を広げることを大切にしています。

ネットで話題のもの、友人がかわいいと言ったもの、ハマっているもの。自分が気になったブランド、雑貨屋さん、食べ物屋さん。

「好きなものだけ!」ではなく、興味がないものも一応「興味ないな…」と覚えておく。そうすることで、今まで興味がなかったものの魅力が少しずつ分かってきたり、「かわいい~!」と思う気持ちがどのように作られていくのかを知ることができます。美味しいご飯を作れるようになるために、いろいろな種類の美味しいご飯を食べるのと同じ感覚ですね。

「かわいい」を観察して、それに合った表現方法を考える

では、間口を広げて得た感情やモチーフをどのように表現すればいいのでしょうか。

直感的に描写するのもひとつの方法ですが、モチーフをよく観察してイチオシポイントを決めてから制作すると、さらに見た人に伝わりやすい作品になると感じています。

私がよくイチオシポイントにするのは「色」「構成」「顔」「質感」「シチュエーション」の5つです。これらにこだわって描写することで、多くの人に魅力が伝わりやすくなります。

それぞれのポイントで個人的に意識していることを紹介します。

小さいサムネイルで見た時、1番印象に残るのが「色」だと考えています。そのため、モチーフの内容は決めずに使いたい色先行でイラストを描くこともあります。

このイラストは、青みがかったグレーベースの淡い色合いを表現したいと思って描きました。人物の髪型や服装、持ち物は決めずにグレーに合いそうな色を置いていって、最後にやっとモチーフが決まりました。

絵全体に影響しすぎず、でもよく見ると「お人形さんみたいで可愛いかも?」と感じる表情を意識しています。顔にはさまざまな描き方があるので、個性が出やすい部分だと思います。

このイラストは、普段は使用していないiPad専用のProcreateというアプリで描きました。まずはいろいろな画材を試してみることで、今までにはない表現や描き方を見つけることができました。

質感

古い絵本を思わせるような、マットでのっぺりしているけれど、少しガザガサした絵肌を意識しています。いつも質感はPhotoshopのフィルターギャラリーや自作のテクスチャ、ガサガサタッチのブラシなどで表現することが多いですが、2つ以上かけ合わせるよりいずれかひとつだけで仕上げる方が画面にまとまりが出る気がしています。

構成

絵本のように遠目から俯瞰して見ているような構成や、平面的な構成が好きです。それらには状況が分かりやすいというメリットがあります。

シチュエーション

少しキャッチーな構成のものも、日常のワンシーンを切り取ったようなものも好きです。回文やギャグ、言葉遊びが好きなので、時々こっそり仕込みます。

「ハトが逃げた」というタイトルですが、鳩時計がさす時刻も…

表現がしっくりこないときは…

イチオシポイントを決めたものの表現がしっくりこない時は、他の表現をいくつか試してみるのも手です。

アナログとデジタルで画材を変えてみたり…

簡略化の度合いを変えてみたり…

同じモチーフでも異なるとらえ方をすることで、新たな魅力を発見することができます。ぜひひとつの「かわいい」の中にあるさまざまな魅力を見つけて、作品作りに活かしてみてください。

自分なりのかわいいを表現する

前項に加えて、私が自分なりの「かわいい」を表現するために大切にしている3つのポイントを例とともに紹介します。

モチーフ選び

メイド服や制服などのお洋服、古いもの、お花、雑貨など、どれも実生活で影響を受けて大切にしているモチーフです。実際に身の回りに置いてハッピーな気持ちになるモチーフを選ぶことで、それらへの気持ちも深まり、制作がより楽しくなります。

へなちょこ感

「へなちょこ感」とは、ミニチュアに感じるかわいらしさのようなものだと思っています。平面感やデフォルメで表現することが多く、クスっと笑顔になるような癒しの要素を大切にしています。

モチーフの参考画像をじっくり見ながら描くとリアルに寄ってしまうため、パッとみて印象に残った部分を強調して、できる限りあっさり描き上げるようにしています。実物を忠実に再現するというより、イラストの目的によってタッチや配色を変えています。

このイラストはシール用に制作しました。シート全体で統一感があった方がかわいいと思ったので、明度・彩度を変えた黄色で配色した後、黄緑やグレーの差し色を加えました。また、ペンを長く持ち、あえて不自由な状況を作ることでタッチにへなちょこ感を出しました。

コレクション性

グッズや本になって、複数のイラストが並んだときに感じるかわいらしさもあると思っています。並ぶことで同じモチーフでもちょっとした差に目がいき、普段より細かい部分に魅力を感じられるからです。

このイラストではワンピースと髪色は同じ色で統一し、持ち物、髪型、エプロンの形などを変えています。「この髪型とこのエプロン、たしかに似合う!」「広がっているメイド服が好きだったけど、タイトな形もかわいいな~」と、複数のイラストが並ぶことによって見た人が「かわいい」に気付いてくれたらいいなと思いながら描きました。

こちらは少し方向性が変わり、イベントで頒布するセットを考える時に作ったイメージです。「架空のメイド服ブランドのルックブック」というテーマの本とグッズですが、洋服を買った時についてきそうなおまけなど、イラストの中だけではなく実際に並べてさらに楽しめる仕掛けも考えるようにしています。

まとめ

制作の流れをまとめると以下のようになります。

①間口を広げる
②モチーフをよく観察する
③アピールポイントを決め、それぞれにあった表現方法を考える
④色、構成、シチュエーションなど、魅力が伝わりやすい部分にこだわる
⑤独自の「かわいい」アレンジを加える

「かわいい」とひとことで済ませることに慣れてしまうと、中身が置いてけぼりになってしまうことがあります。「なぜかわいいと感じるのか」「どこがかわいいのか」を大事にすると、制作する上での引き出しも増えて自分らしい表現に繋がると思うので、ぜひ日常でのかわいい探しに役立ててみてください。

ただし、気になるものややりたい表現がたくさんあって決められない場合は、無理に決めずに「今は分からない」と保留することも大切です。

最後に…
自戒にもなりますが、制作の基本は健康的な生活から。寝不足が続いたりすると視野も狭くなってしまいがちです。早寝早起き、運動、美味しいごはん!を無理なく続けながら、これからも日常で感じたときめきを表現していけたらと思います。

最後まで読んでくださりありがとうございました。少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。


〇プロフィール
柏木ちさめ

作家・イラストレーター。MV・CDジャケット・グッズイラスト等を手がけながら年に数回、絵本とグッズを制作。アンティークと廃墟とお茶と制服とメイド服が好きです。

Twitter: https://twitter.com/chisamell
Instagram: https://instagram.com/chisamell


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