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ゴジラ-1.0感想(めちゃネタバレありのやつ)


本日(2023年11月3日)、ゴジラー1.0を映画館で観てきた。

予告編でかなりすごい映像が観れていたのもありかなり期待しての鑑賞だった。なんせ映画館に一時間前に着いてしまっていたので近くのお店がどこもやっておらず、仕方ないのでその辺をしばらく散歩していたほどだった。



初見の印象


で、ほどなくして鑑賞。
ファーストインプレッションというか、上映中の感想は正直に言うと実はあんまりよくなかった。
ゴジラが暴れるシーンや戦うシーンの映像は本当にすさまじく、圧倒されるばかりでこりゃすごい…!ってなってたんだけど、一部の役者の人の演技やセリフに違和感を覚えてしまって、う~~ん…映像は凄かったけどやっぱりあんまりこの監督のドラマパートの感じは合わないな…という感じで、面白かったけど、でも思った感じは越えなかったかなあ…みたいな、釈然としない気持ちで席を離れ、パンフレットを買おうか迷った末に買わずに帰途についてしまった。

帰り道で

で、帰り道で色々ゴジラ-1.0のストーリーを反芻していると、いや…この映画見てる最中は合わなかった部分もあったけど、いいシーンも多かったし、なんていうか人物たちの行動に対して、あれってそういうことだったのか…?みたいなのが浮かんできて、それが次第になじんできて、なんか、あれ?自分この映画やっぱり結構好きなんじゃないの…?なんか、やっぱ好きかも…みたいになりつつある。
とりあえず現状はそんな感じ。

ここから先は全部ネタバレなので未見の人はここから飛ばしてほしい。

思えばゴジラを映画館で観るのも久しぶりだなあ




ここからネタバレ感想

色々ストーリー的なことの感想を細かく描こうかと思ったんだけど冗長になりそうだったのでやめた。
滅茶苦茶散文的な感想になるので死ぬほど読みにくいし纏まってないと思うので読む人は怪文章を読むつもりで読んでいただきたい。

良かったところ・好きだったところ


ゴジラ-1.0、何が良かったかと振り返るとキャラクターの色んな行動に納得が行くようにすごく丁寧に(そしてやや丁寧すぎるくらいに)伏線というか、描写がされている映画だったように思う。

この映画はみんながマイナスを背負っていて、それを払拭してく映画だったと思う。

敷島は死に損なったことをずっと引きずっていて、ゴジラによってすべてを失った後に特攻して死ぬことで戦争で死ななかった責任を取りすべてにケリをつけようとする。でもこの話は生き延びてしまった人が死んでケリをつける話ではない。生き残ってしまった特攻兵が最後に特攻してケリをつける話である方がある意味定番だし綺麗っちゃ綺麗なのに、この話はそれをしなかったことが良かったと思う。
ゴジラと戦う人たちも軍隊ではないから死んで来いと命令することはできないししない。既に家族があったり新しい生活があるものはみんな帰っていいというし、実際結構な人が帰っていく。それを許してるのが明確に戦後になったんだなという感じでとても良い。
(あんまり関係ないけど、一方で一応軍隊上がりとはいえ普通の会社員である東洋バルーンの社員さんたちも参加してくれるの、なんかグッとくるよね)
最後に典子さんが生きていたのも、いくらなんでも無茶だろといえばそうなのかもしれないけど、でもこの話ではそれくらいのハッピーエンドがあってもいいんじゃないかなあと思えてしまった。

人間はそんな感じで生きていくために戦って戦争の世界から離れていく一方で、戦艦達や戦車、そして震電は散っていく(震電や四式中戦車は初めて本土を守るために戦えたんだなあ…とか色々感慨深い)ことで、戦争のための兵器はゴジラという戦争の象徴とともに消えていくんだな~みたいなことを思った。

脱出装置とかに関しても、最初はああこれって安全装置を外すって騙して、ギリギリのところで脱出するやつなのね!って思ってたら違って、実は先に言ってました。というのはちょっと野暮では?と思いもしたんだけど、でも思えばここで敷島が自分で生きていくと決めて脱出することが物語として大事よね…と気づいた。
(まああと単純にいきなり脱出させられても逆に危なすぎて死ぬよなあ…でもある)
橘としてもあそこで敷島を赦して脱出させることが自分の戦争を終わらせることだったんだろうなと思う。思えば橘は大戸島で特攻兵の飛行機をずっと直してきて死地に送り出してたんだな…とか。

で、戦争の象徴になってるゴジラなんだけど、ゴジラ本人の描写はむしろそういうメタ的な要素はほとんどない、歴代でも特にただの動物然とした生き物として描かれているのがユニークだと感じた。
ゴジラ自身の意志みたいなのはあんまりなく、本当に動物的にふるまうゴジラで、クマとかトラみたいだな…という印象を受けた。瞳が結構しっかりあるんだけど、絶対に言葉が通じない感じがとても怖くて良かった。

あと音楽の使い方も良かった。
ゴジラのテーマって初代だとゴジラだけじゃなくて人間側が戦う時にも掛かる曲なんだけど、今回ではまさに一番盛り上がるところであの曲を掛けてくれて、作戦自体はとても地味なはずなのにすごく盛り上がったので、これはわかってる選曲だ…とめちゃくちゃテンションが上がった。

最後のゴジラを倒す作戦も、作戦説明会で水槽が出た時にあっこれオキシジェンデストロイヤーのやつ…?と思ってしまった。違いました。
泡で浮力がなくなるのは知っていたけど、これを使ってゴジラを倒すのはちょっと見たことなくて面白いな…と素直に感心してしまった。(泡はオキシジェンデストロイヤーへのオマージュもあると思うけど)
思えば今年の夏にタイタン号の事故があったから水圧の怖さは結構タイムリーだったな…と。まあただ震電が用意されてる以上これで倒せないのはメタ的には分かってしまうところはあるんだけど、現実的かつ独創的なアイデアで素直にほえ~ってなった部分だった。

他にもいろいろ、ああ、この人たちこういうことしてたのは、こういう意思があったからなんだなみたいなのが結構しっかりしている映画だったな~というのは思い返すごとに出てきて、本当に思いのほかストーリー部分での評価が特に高い映画だった。

時代背景とかも、ああこういうシーン録りたいためにちょうどいいタイミングなんだなあ…とか色々思い返すと納得が行く部分が多く、なんていうか色んな部分にしっかりエクスキューズがある作品で、これって結構すごいことだなと思う。
やりたいことのために舞台設定したと言えばそうなんだけど、それがストーリーにも活きてるので。

そしてストーリー的な部分に終始してしまってたんでこれを最後に言うと思ってなかったんだけど、映像面は本当にすごい。ゴジラによる破壊のシーンはすべてすごいの一言に尽きる。映画館で観れてよかった。
冷静に考えると銀座の街を全部CGで作ってぶっ壊してて、それにあまり違和感を覚えなかったのちょっとすごいな…?ってなる。なんかかなり普通にあー街だなあくらいに思ってしまってた。

終盤や銀座での破壊ももちろんすごいんだけど、特に面白いと思ったのが木造のしょぼい船でゴジラから逃げるところ。めちゃくちゃ怖いし、あんまりなかったシチュエーションだったのでこの辺はゴジラ・ザ・ライドとかで体験型の映像を作っただけあるなーという感じがした。その後の高雄とのバトルもとても面白かったし大迫力だった。高雄の人達ガッツあるな…。

海でのバトルも少し前までは水ってCGがかなり苦手とするものだったはずなのに、全く違和感がないレベルでゴジラに追われたり戦ったりするシーンに人が当たり前のように映りこんでいるのは凄いことだ。

良くなかったところ・好きじゃなかったところ

で、逆にあんまり好きじゃなかったところもやっぱり結構ある。
やっぱり一番でかいのは俳優の演技で、一部のキャラクターの演技やセリフは大げさすぎてちょっと白けてしまったというのが正直な感想だ。
(あれくらいのキャラがいないと暗すぎるというも分からなくもないんだけど…)

あとセットや服装なども、汚しているのは分かるし生活が復興しているので当然とは思いつつも一部のシーンではその状況に対してやや綺麗すぎるように感じてしまった。(リアルを知ってるわけじゃないので感覚的なものに過ぎないんだけど…)

また、今作には初代における山根博士のような生物担当がいないので、ゴジラについての生物学的なアプローチが皆無なのはやや残念に感じた。
それどころじゃないのは分かるし冗長になるのでなくした理由も分かるんだけど、やっぱりもう少し何かしらのゴジラの生命力に対する解釈みたいなのが本編で聞きたかったなあというのはある。

それに付随することで、ゴジラの放射熱戦を撃つ前に背びれがガシンガシン動くシークエンスはとてもカッコいいんんだけど、生き物が放射能を浴びてあんなふうになる理由がちょっとわからな過ぎて個人的には気になってしまう要素ではあった(いや、超カッコいいしカットとしては大好きなんだけど)
ゴジラって熱線吹くよねという部分に関しては「そういうもの」で済ませてしまったのはやや残念だった。(ただそういうのはシンゴジラでやってるし物語の面白さにつながる?というと違う気もする)

あと熱線で言うと放射能のことも一応初代のオマージュでガガ…ってやって首を振るシーンを入れてはいるものの、それ以上のことはあまり触れられないのはやや残念…(ただ、やっぱそれもシンゴジラでやったしな…)

総じて、残念だな…とか、あんま好きじゃないな…という部分は、見やすく、わかりやすくするために整えた部分なんだなあというのが印象で、ただ、この分かりやすい部分というのが山崎貴監督の作品が多くの人に受ける理由とも思う。
なので、その部分は自分には合わなかったけど責めるのもちょっと違うのかもしれないな…みたいなことは少し思ったりもした。(まあだからってそれを全部受け入れるのも違うのかな、とも思うけど)

総評的な

そんな感じで、初見だと正直うーん…なんか、期待しすぎてたのかな…みたいになっていたんだけど、反芻して自分の中で整理したり解釈していく内に、あの映画なんか良かったな…好きだなあ…みたいになっている映画です。パンフレット買えばよかったな。

同時に、やっぱり自分はあんまり芝居然とした演技はあんまり得意じゃなくて、そこは明確に合わなかった。ただ、それでも過剰にメソメソした演技ではなく、結構いい沈黙の演技もあったりして全部嫌いだったわけではない。好きなシーンは沢山ある。

ちょっと急に話それるけど神木隆之介さんが最後にしてたゴーグルってあれ山崎監督の「ジュブナイル」のセルフオマージュもちょっとあったりするかなあ?とか。(「ジュブナイル」すごくいい映画です)

そんな感じで、総評としてはやっぱり結構、いや多分かなり自分は好き。初見での印象からしたら自分でも意外な結論ですが、でも好きなお話です。前向きになれる。個人的に映画館で観て損はないと思う。

そして私は上映前に売店で震電のプラモを見てしまってちょっとネタバレを食らったのも地味に初見の感動をスポイルされた部分はあると思います。

なお上映前にホントに偶然震電を買ってたのですっごいラッキーだと思いました。思い出しつつ作ろっと。

そんな感じです。
こんな怪文章を読んでくれた人ありがとう。


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