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20年間の仕事を振り返る2
【19年前:天正 三木屋】
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地下防空壕が出てきてびっくりした案件。クライアントは天正時代の三木城主の末裔。贈答用の手延べうどんを製造し、オンライン販売されていた。事業拡大のため試食もできる直売所をつくりたいというご依頼でした。注文が入れば、エントランスに設置したカマドの羽釜でグツグツとうどんを茹でる。大きな御影石の天板からの湧水が水盤へと流れ、絶えず水の音を響かせる。
工事が始まって水盤を作るため重機で土間を掘削したところ、地面にえらく大きな空洞が口をあけた。重機が転落していたら大変な事故になっていた。大家さんに確認したところ、昔の防空壕だろうということだった。姫路市で一番大きなアーケード商店街の地下にこんなに大きな防空壕があるとは。。。というわけで大量の砕石とコンクリートで防空壕を埋め、工事を再開した。
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水を扱う難しさも学んだ。天板から流れる水は垂直に落ちるかと思いきや底面を伝って引き返し、座敷へとボトボトと落ちる。まずいことになった。今更御影石の天板を作り変えるわけにもいかない。今思えば建築の雨仕舞と同じことだが、当時は建築士の免許もなくインテリアデザインしかしたことがなかったので、その知識も無かった。とにかく水返しを設置するしかなかったので、天板の底面角に小さなアングルを両面テープでつけてなんとか水が下に落ちるようにした。(写真をよく見るとアングルがわかります)かくしてなんとか引き渡したものの、2方に枝別れしてしまう水の落ち方は納得いかないままだった。この後も滝を作ったり、川を作ったり、色々と水を使う演出に挑戦したが、その都度、予想外の水の動きに悩まされ、試行錯誤するのはなかなか骨が折れた。でも、苦労はしても挑戦する価値はあった。水の流れは空間に動きを与え、水音は爽やかな癒しを与えてくれる。
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