島のワイン

近年、世界中で造られるナチュラルワインの勢いは目覚ましいものがあるが
それとは別に多くのプロフェッショナルの注目を集めるワインがある。

「島のワイン」と呼ばれるそのワインたちはその名の通り島で造られる。
そのほとんどがヨーロッパに属し既に相当な歴史を誇る産地ばかりだ。

有名なところではイタリアのシチリアやサルデーニャ、フランスのコルシカ、
ギリシャのサントリーニやパロス、モロッコ西のカナリア諸島といった産地。
ほとんどは火山の隆起によってできた島であり現在も火山を有する島が多い。

温暖な地球海性気候でありながら隆起によって標高の高さも得られるため
温暖で日照に恵まれつつも冷涼なクリマで、強い風のため病気も少ない。
ある意味ワイン用のブドウにとって理想郷ともいえる環境である。

味わいにもはっきりとそれら由来の特徴が出ている。
高い気温と日照に恵まれた太陽を感じさせる外観と香り、アルコールの高さ。
標高の高さがもたらす美しい酸味とのバランスが素晴らしい。

内陸のワインと全く異なるテイストは様々な場面で使い分けることができる。

今回のワインはコルシカのパトリモニオ白。造り手はアントワーヌ・アレナ。
ホテル時代から頻繁に使っている大好きなワインだ。
イタリアのヴェルメンティーノと比べやや塩気を感じる冷涼な造り。
魚貝の中でも特にイカやタコとの相性が素晴らしく、長く重宝している。

近年ではほかの地方で成功した生産者が新天地として島を選択することも多く
あらゆる意味で今後も目が離せない産地と言えるだろう。

品質に比べそれほど高額ではない島のワインたち。是非お試しあれ。