ビジネスモデル・キャンバス(BMC)

Outline

ビジネスモデルを9つの要素に分割して分析し、全体の構造を可視化するフレームワーク(表形式)。

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新規事業立ち上げ, 事業の多角化, 収益性の向上など、利益を生み出す仕組みの創造・変革が求められるシーンにおいて、適切なビジネスモデルを構築するための設計書として用いることが多い。またこのようにフレームワークを用いて観点を整理することで仲間や投資家からの理解も得られやすくなる。

nine "building blocks"

9つの構成要素はInfrastructure(企業側の項目), Offering(企業から顧客に提供されるもの), Customers(顧客側の項目), Finance(それらの資金構造)という4つに大きく分けることができる。

 1. Infrastructure

Key Partners:主要パートナー
自社の主要行動に集中するため、パートナー関係を構築することでオペレーション最適化やリスク軽減を行う。特に代替が効かない協業相手を明確にすることが重要。
Key Activities:主要活動
企業行動のうち、価値提案の差別化において最も重要となるもの。重要性の高いアクションを明確化し、資源の適切な投下を行う。
Key Resources:主要リソース
価値を生み出すために必要な全ての経営資源。人的資源、金銭、あるいは知的財産など。

 2. Offering

Value Proposition:価値提案
自社が顧客に提供する製品・サービスと、その本質的な価値。顧客セグメントが複数あれば当然VPも個別に存在する。

 3. Customers

Customer Relationship:顧客との関係
①新規顧客との出会い
②顧客の維持
③既存顧客からの収益性向上
といった観点からどのような関係をどのように築いていくか。
Channels:チャネル
顧客に製品・サービスを提供する手段と経路。認知を広げるプロモーション活動もここに含む。
Customer Segments:顧客セグメント
市場を同じ特徴を持ったグループに分割し、特に資源を投下する顧客を明確化する。複数セグメントを選出することもある。

 4. Finance

Cost Structure:コスト構造
事業を行う上で発生する金銭的コスト。まず事業自体がコストドリブンかバリュードリブンかを明確化し、さらに固定費と変動費とを明確に分けるとよい。また、どのような要因によってそのコストが変動するかを分析する。
Revenue Streams:収益の流れ
各顧客セグメントにおいて収益を生み出す具体的な方法とその構造。売るモノは製品かサービスか、サブスクか買切か、それらはどのように変動するか。

Application

実際に行う際には、付箋を用いて複数人でアイデアを出しながら各項目を埋めていくのもよい。

またマーケティング4.0の考え方においてはCustomers→Offering→Infrastructure→Financeの順で考えるのがやりやすい場合が多い。

Criticism

BMCそれ自体はある時点でのモデルを分析するものであり、未来への予測等を含まない点で静的なフレームワークと言える。内外の環境が大きく変化したときにBMCは寿命を迎えるため、環境から孤立したモデルを継続しないよう定期的に見直していく必要がある。

Related Framework : Lean Canvas

類似のフレームワークに「リーンキャンバス」が存在するが、こちらはビジネスの課題や価値に主に内部環境にフォーカスし、自社の事業の方向性を定める際などによく活用される。対してBMCは顧客との関係やチャネルなど外部環境にも特に目を向ける点で方針が異なり、既存事業の安定化・発展を目的として用いられることが多い。

References


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