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気軽に書くなら何に書くべきかという話

むかしから「研究者はブログを書くべきだ」という言説を散見する。知見をウェブで共有する利点は大きいので、これは研究者に限らない普遍的な事柄かと思う。一方でどこに書けば良いのかという指南は多くないとも感じる。今回は何か気軽に書きたい人に過去の知見から、いくつかのウェブサービスに関して私見を述べたい。

はてなブログ

独自性の強いウェブ日記の「はてなダイアリー」が00年代前半のブログサービスの中で異彩を放っていたのも過去のこと。ブログブームが一段落した2010年代にスタートした「はてなブログ」は、供給過剰で疲弊した競合サービスを横目に安定したサービスとしての存在感を高めた。有償プランなら独自ドメインの設定や自前の広告のフレキシブルな配置など柔軟性が増すが、まずは無償で使ってみて相性を試しても良いと思う。なおMarkdown対応。はてな記法?なにそれおいしいの?

WordPress

2010年代に覇権を取った無償のCMS=Contents Management System。本来はサーバー上にインストールする無償のソフトウェアなのだけれども、この運用に特化したサーバーも登場しており、ウェブサービス枠で紹介する次第。WordPressはあまり多くの専門知識がなくともカスタマイズの幅が広く凝った構成のウェブサイトを作ることができるため、いわゆる「まとめブログ」を作るためのプラットフォームとして爆発的に普及・定着した。利用者の多さは使い方に関する情報を増加させ、それが使いはじめるハードルを下げて利用者を増やす好循環となっている。ただし利用者の多さは脆弱性を点いた攻撃対象になりやすいなどの欠点とも背中合わせである。使用自体は無料だがウェブ上に公開する上で有料のVPSを契約する必要もあり、運用には一定の時間・金銭の負担がかかることに留意されたい。

Qiita

主にプログラミングをする人に限定されるが、プログラマーのための情報コミュニティサービス。あらかじめ情報の共有を目的として作られているので他の人が書いた記事をストックできるなど使い勝手が良い。ただしプログラミングは関係なく、個人のプログラミングやウェブサービスに関する考え、批評などを共有する目的で書かれた記事も増えた。基本的にはプログラミングに関する部分のみに留めて使った方が幸せになれると思う。Markdown対応。Qrunchという近いコンセプトのサービスもある。情報共有ならばユーザー数は多い方が良いと考えるが、このあたりは雰囲気もあるのでおこのみで。

note

この媒体。カスタマイズ性などに乏しいがマネタイズも可能で、とりあえず気軽に書いてみたいという場合に適する。以前はSEOにも弱かったが、最近はドメインを変更するなど力を入れており、体感的にも強い印象がある。Twitter的なフォロー/フォロワーの仕組みがあるなどSNS的な要素も強く、馴染みやすい人は多いと思う。類似のMediumというサービスがあり洗練されていたが、日本から撤退してしまったことが惜しまれる。

番外編:静的サイト

上述の各サービスはアクセスに応じてプログラムが内部のデータを取り出し、都度HTMLファイルを出力して人間が閲覧できるようにしている。このような挙動を行うウェブサイトは「動的」と呼ばれ、たとえばアクセスするたびにサイト内の関連記事が自動で更新されるといった機能を持つが、対してHTMLファイルそのものが最初から作られているのが「静的」なサイトと呼ばれる。動的サイトが当たり前になって久しいが、静的サイトはセキュリティの面でも運用コストの面でも実は非常に利点が多い。またMarkdownで書いたものを成型してくれる静的サイトジェネレーターと呼ばれるプログラムも普及しつつある。基本的にコマンド操作が必要など一定の知識を要するため、気軽にというテーマからは外れてしまう人も少なくないかもしれない。

あとがき

気軽にというテーマで色々並べてみましたが、一番気軽なのはnoteではないかなと思いました。ただ自分で書いて自分で読んでみるとウェブサービスという本題からは静的サイトはやっぱり魅力的だなと思いますし、そういう自分が静的サイトではなく今noteに書いているあたり、noteは気軽だなと感じています。

ただし、いかなるウェブサービスも永続するものではありません。文章は手元に保管することが大切で、その原稿用紙としてはMarkdownを推奨したいです。この文章もMarkdownを使ってローカルで書いたものをnote上で整えたものです。

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