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半狂乱の音楽体験とポップカルチャーの洪水【ずっと真夜中でいいのに。ROAD GAME「テクノプア」~叢雲のつるぎ~ ライブレポート】

ずっと真夜中でいいのに。による代々木第一体育館で行われた単独ライブ 『ROAD GAME「テクノプア」~叢雲のつるぎ~ 』初日の公演に行ってきたのでこちらのライブレポートを書いてみます。(僕は昨年、なんとなく耳にした『ミラーチューン』にハマり、フジロックでの生配信を観て完全に虜となったのですが、いうてファン歴は1年未満。それでもライブは絶対ヤバそうだなと思ったのでこの度参加を決意。)

会場に入ると、ステージセットの凝り具合が目に入ってきてテンション爆上げ。怪しいネオンの光るゲームセンター?の入り口、ステージ後方に刺さる巨大な剣、浮かぶ木星とアドバルーン、積みあがるブラウン管テレビ。巨大なセットを観るだけでこれから行われるライブの迫力やバンドメンバーの多さに胸が膨らむわけよ。

席に着くと、会場で流れているBGMに聞き覚えを感じたのですがなんと流れていたのはゲーム『FINALFANTASY』メインテーマ曲!「ゲーム」というライブコンセプトに合わせBGMが全てゲーム音楽になっていた。このほかにも大名作『スーパーマリオ64』の「かいぞくのいりえ」や『ゼルダの伝説時のオカリナ』タイトルテーマ等々、数々の有名BGMが流れ、私はずっと声を荒げていました。こりゃ最高。てかモニターでずっとストリートファイター5のプレイ映像流れてるし。(笑)すげえ空間だ。

いざライブが始まってからというもの、度肝を抜かれない瞬間など一秒も存在しませんでした。オープニングから三味線の独奏、フルバンドでのセッションと共に書道家のパフォーマンス、そして一曲目、ACAねの弾き語りから始まる『サターン』。もう凄すぎる。

一曲一曲の感想とかは正直細かく思い出せないので、ライブ全体を通して感じたことをざっくばらんに書きたいと思います。

ずとまよのライブを観て感じてしまったのは「こんなすげえライブ、他にできるアーティストいんのかな?」というシンプルな疑問でした。Perfumeとかサカナクションとか、凄いライブをするアーティストを沢山生で見てきましたが、そのどれとも違う唯一無二のエンターテインメント性を秘めているし、金のかけ方も異常。

やはりなんといっても20人弱という超リッチなバンド編成にあると思います。ストリングス、ホーン、ツインドラムにダブルキーボード、そこにTVドラム、オープンリールに三味線まで。そこに超絶テクのベースギター。これだけでもうおなか一杯の音の洪水なのに、特筆すべきなのはやっぱりACAねという日本最強のボーカリストの存在。音域の広さ・声量&芯のある、それでいてキュートな歌声、正確な音程。どうやったらあんなに歌上手くなるんだと感じてしまうくらいの存在。このすべてが絡み合った放たれる音の洪水。そんだけ音数あったらぐちゃぐちゃし兼ねないのに全くそんなことは感じない、すごすぎる。

ずとまよは大前提として曲が良いんだけど、ライブでそれをダイレクトに感じることができた。ポップ・ロックだけではなく、アイドル・歌謡・ゲーム音楽・テクノ・ノイズミュージックなどなど、すべての音楽ジャンルを包括しているなと改めて感じました。『MIRABO』のアウトロとかで披露していたACAねが演奏する扇風琴。面白い音程のノイズが出るんだけど、あれで演奏してるときとかめちゃくちゃノイズミュージック的でバンドの演奏もそれはそれはカオスで、「これがポップアーティストのライブですることなのか・・・・・・」とちょっと引いちゃうくらい前衛的だった。音も馬鹿デカいしもう最高。

途中にアコースティック編成を入れてくるところもライブの構成上手いな~と思うのだけれど、そこにも「チャリで移動」「おにぎり食う時間ある」「移動中はバックバンドのジャズ生演奏(しかも終演後も生演奏!)」とかの遊び心も満載で、まさにエンターテインメントだなと。

アコースティック後の盛り上げ方は本当にすごい熱量で、『脳裏上のクラッカー』『ミラーチューン』『正義』『残機』とかましていったラスト4曲は本当にすごかった。ステージ上でもバンドメンバーが踊り狂ったりしていて、なんかもうあまりの熱量に「これ軽くドラッグやってるだろ」と感じてしまうくらいほぼ半狂乱のパフォーマンスに感じた。そのライブのボルテージが上がるにつれてどんどん観客の歓声も増していくのが本当に最高で、「最高のパフォーマンスに思わず出る称賛」が1万人分集まってデけえ塊になってる感覚がそれはそれは幸せだった。あ~ライブってこれだよなあ。としみじみ。

アンコールではMori Calliopeも登場して『綺羅キラー』『あいつら全員同窓会』を連発。ここも素晴らしかった。Vtuberとのコラボ、って所も非常にずとまよ的で最高だよね。この人たちはヴィジュアル面とかも含めていろんなポップカルチャーをミックスした存在でもあって、グッズも病み系・ストリート系・電波系がミックスされていたり、インターネットやゲームカルチャーを濃く反映させたり、そこも非常にエンターテインメント性が高い。正にポップカルチャーの極地。『同窓会』のアウトロ、早口&ハイトーンでまくしたてるACAねのボーカルがあまりにもカッコ良すぎてまじで昇天しかけた。というかACAねのボーカルがヤバすぎて召されそうになった瞬間、何度もあった。

あと強く感じたのは「ACAね」のアイコン性の強さ。その強さがあまり「教祖性」がすごいなと感じました。顔出ししていないってのもあってまあ近くないと顔は見えないようになってるので、とても「降臨してる」感じがするんですよね。教祖様が我々信者のために降臨して歌ってくれてる感じ。ACAねが従えているバンドメンバーの男たちもなんだか教祖を引き立てるために半狂乱で演奏する幹部に見えてくるのです。そこの会場を巻き込んだ一体感もまさにライブ的であり快感。すごかった。

もちろんずとまよのライブがすごいことは知っていましたが、こんなにも激ヤバでなんなら日本でこんなにすごいライブするのってずっと真夜中でいいのに。しかいないんじゃねえのかと感じるレベルのものでした。タイトルにもありましたが、正に半狂乱の音楽体験でありポップカルチャーの極地なのです。そんな尖ったパフォーマンスを男女や世代問わず様々なリスナー層に届けている。ずとまよってめちゃくちゃ偉大な存在だ。

もっともっとこの魅力が伝わるべきだと強く感じました。とりあえず全国各地のフェスに出て各地のリスナーの度肝を抜いてほしい。(笑)

ファンになってからせいぜい半年くらいしか経っていないのにライブを1回観ただけでこんなに虜になってしまう、そんな体験はほんとうにずとまよだけです。これから一生追いかけようと思うし、絶対ライブに通い続けようと決めました。

最高で最強に狂ったエンターテインメントショーをありがとう。

ずっと真夜中でいいのに。

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