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【完結】健康的で清潔で道徳的な秩序ある社会の不自由さについて

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友人たちとのオンライン読書会記録です。各回5千文字程度。 テキストは『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』熊代亨 https://honto.jp/netst…
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#少子高齢化

資本主義、個人主義、社会契約 #3

◆欧米のようには解決できない東アジアの少子化問題うえむら ここは落合恵美子さんの「圧縮された近代」論ですね。 こにし そうですね。ただこの節に関して補足すると、若干事実誤認があります。つまり欧米も低出生率の問題を別に克服したわけではない。出生率が2.0以上ある国は先進国の中には無い訳ですから、日本と同じ問題の中にいる。アメリカは非白人の、ヒスパニック系や黒人系の移民効果で出生率が高くなっていますが、欧米が少子化問題に苦しんでいないという見せ方は間違いです。 途中でフランス

リスクとしての子育て、少子化という帰結 #2

◆“動物”として生まれてくる子どもうえむら P132では「遺伝形質」とか「予測不能性に生殖テクノロジーが貢献するとしても完璧にはほど遠い」「優生学への反省を経た現在においては完璧でさえあれば良いとも考えられない」といった話題が提起されますが、クソゲーをできるだけモデレートしていこうと考えたときに、遺伝の段階でデザインしておこうという発想に進んでいく人も当然いる。 こにし クソゲーを回避しようとする。 うえむら テクノロジー上そっちに移っていく人は、「動物として生まれてくる

リスクとしての子育て、少子化という帰結 #1

課題図書 『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』 (熊代亨、2020年) ◆際限のないリスクを強いる「子育て」しろくま 著者のブログタイトルが「しろくま」となっていて、熊代さんだからしろくまなのですね。私もYouTubeチャンネルで「しろくま」を名乗っていますから、親近感を持ちました。 うえむら それでは、テキストもタイトルが長いので「しろくま本」とでも略しましょうか。あえて順番をバラバラに、第4章から入ります。 しろくま 分量的には、『ブルシット・