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わたし、退職しました

タイトルの通り退職エントリーですが、昨年8月に入社したうるるを辞めました。3月からは金融系のスタートアップでエンジニアとして働きます。自身の整理も兼ねて、振り返りと退職を決断した経緯を書いていこうと思います。

退職の理由

退職を決断するに当たって大きく3つの理由がありました。

1. 自分の求めていたことと違う

キャリアアップのための転職は自分のやりたいことが明確になっていて、それを求めて実現できる環境に行くものだと私は思っています。うるるへの転職では残念ながら実現することができないと気付き、退職の決め手の1つになりました。

2. マネジメント層と現場の求めることに乖離がある

業務内容については後述しますが、私は社内でもかなり特殊な立ち位置でした。その中で私に対してマネジメント層に求められる部分と現場メンバーが求めるものに大きく乖離があり、結果的に技術にコミットできませんでした。これが2つめの決め手になりました。

3. 入社前後のギャップが埋めきれなかった

正直ここが辞める要因の5割くらいの比率を占めています。前述した入社前の話と違うというのは一部で、細かい部分をあげればキリがないくらいに日々ありました。残念ながらそれらを埋め得るだけの魅力がありませんでした。これが3つめの決め手となりました。

どんな会社なの?

2017年3月にマザーズに上場した企業でWebサービスを中心とした所謂Web系企業です。5つのプロダクト(一つは子会社)を運営しており、サービスの内容はざっくりと下記です。

・公示入札案件データベース
・Web写真販売サービスとカメラマン派遣サービス
・在宅ワーカー向けプラットフォームサービス
・電話代行サービス
・スキャン代行サービス(子会社)

これらのプロダクトが各々営業やCS、開発などを抱えています。

もしも興味ある方は調べてもらえるとわかりやすいのですが、うるるスピリットといういわゆる企業文化的なものがあるのですが、このカルチャーフィットを非常に重要視するため合う人には非常にマッチすると思います。

何をやっていたの?

わたしの仕事は冒頭で特殊と記述したのですが、特定のプロダクトにコミットせずに手が足りなかったり困っているところにお呼ばれして解決していくといった、今風でいうSRE業務的なことをやっていました。複数のプロダクトを掛け持ちして、各々違う課題や障害を解決していく仕事です。

またそれとは別に会社の戦略(主にセキュリティや監査対応)として、様々な改善や変更をプロダクトと調整しつつ実施していました。

入社当初は1名業務委託の方に来てもらっていたのですが、12月以降は一人で実施していました。

エンジニアの業務として在籍期間中はざっくりとこんな感じのことをしていました。

・Infrastructure as Codeの推進
・リリース支援
・SREチーム設立の計画/スケジュール/QA
・サーバーメモリリーク対処
・ユーザー管理自動化
・Jenkinsサーバーのツールアップデート

技術選定や既存アーキテクチャの見直し、実施手順策定、スケジュール調整、実施などこれらの業務に付随してメンバーへティーチングやKTをすることが主な業務でした。

入社前のミッション

インフラエンジニアとして入社したのですが、入社前に伝えられたミッションは以下でした。

・インフラの最適化(セキュリティ / 構成 / コスト)
・Infrastructure as Codeの導入
・SREロールの策定 / 計画 / 推進

インフラ最適化については、社内にインフラエンジニアがいない背景もありヘルプやQA対応が多少はあるかもしれないが、基本はがんがん手を動かして進めていってもらい、積極的にプロダクトへの改善を実施して貢献してもらいたいと言った要望から与えられた役割でした。

Infrastructure as Codeの導入については、上記も含めて対応していく中で必要だろうし、何より監査対応の部分でインフラ側の変更履歴や理由が追いにくいのが辛いので解消して欲しいといった要望からの役割でした。

SREロールの策定 / 計画 / 推進については、やっぱり自社サービスの安定性という意味ではプロダクトごとに任せっきりは良くないよね、対応速度向上やナレッジシェアも含めてそういう組織があったほうがいいと思うという考えの基に提示された役割でした。

入社のきっかけは?

エージェント経由で知った会社だったのですが、当時は中小SIerで所謂SESとして客先常駐と請負案件をこなす毎日でした。

今後エンジニアとしてもっと幅が欲しいなと考えたため、チーム開発を学びたいと思い事業会社を探していたところ出会いました。面接時には再三以下のことを伝えていました。

・向こう3年は技術に集中したい(技術者として働きたい)
・技術者として開発業務がやりたい

この2点は抜け漏れなく全3回の面接で各担当者に伝えていました。

求められている役割に関しても聞いていた上で、上記2点要望も叶えられると明言してもらったため入社を決めました。当然入社して即ではないですが、年内くらいにはできると思うという回答を貰っておりました。

他の会社さんはここはできるけど、ここは厳しいかも的なお話しがあったため環境的に一番理想だと感じたので入社を決めました。

なんで辞めたの?

冒頭に記載した通り決め手となった要因は3つあったのですが、決定打となった出来事がありました。

とあるプロダクトのPO(プロダクトオーナー)との衝突をきっかけに会社に対する愛情が持てなくなってしまいました。

1. 自分の求めていたことと違う

私は去年転職活動をしていた際に、上述した通り開発ができる環境を求めて転職をしています。

組織的な話をすると、わたしは予定ではどこかのプロダクトにコミットしつつインフラ領域での技術的なQA対応などを他プロダクトへ必要に応じてする、といった話を聞いていました。

しかし、実際に入社してみると新しいチームが立ち上げられており、そこに属しながらスポット的にサポートしていくと言った状況でした。

わたしの直属の上司と2人のチームで、それぞれロールが違うというより既にエンジニアとしての一線は退いてマネジメントにキャリアを振っていたため技術的な話にはついてこれなかったというのが正直な感覚です。そのため業務上の相互補助は難しかったです。

わたしの採用時は彼もまだ入社していなかったためお互い聞いてた話と違う、という状態でしたのでそこの認識合わせからスタートしました。(わたしの技術者としてのロードマップ的な話は一切共有されていませんでした。)

また前述したとおり、業務委託の方がおりわたしの下につくことになりましたので、彼へのタスク提示や進捗管理などが業務として必要でした。

また、各プロダクトメンバーへのティーチングやコーチング、相談事やそのアドバイスなど技術以外の部分で業務に逼迫され出しました。

上記でやっていたことは完全に社内AWSサポートでした。

結果的にこの半年間で技術的な成果はほとんどなく、自身も業務を通しての成長が実感できないまま過ぎてしまいました。

これまでそれなりに時間とコストを掛けて得た技術を、高々月30万の給料でただ放出するだけなのは余りにもコスパが悪過ぎました。

3年間技術に集中したいと思っていたのには理由があります。自身の能力の衰えが最も大きいです。新しいことを今までと同じスピード感でインプットするのはあと3年が限界だな、と思うくらいには自身が衰えていくことを感じていました。

そのためこの半年間は本当に歯がゆい想いしかなかったですし、無駄に失ってしまった喪失感が強いです。

それらを鑑みた結果辞める決め手の1つとなりました。

2. マネジメント層と現場の求めることに乖離がある

わたしのこれまでのキャリア的にどちらかというとマネジメント層でのキャリアの方が長かったです。

特に役員陣には面接時からそこに対する質問と要望が多かったですが、前述した通りこれがやりたいですと強く主張はしていましたし、合意は取れていたと思います。

しかし、入社してみるとマネジメント層へのコンバートを求められるような業務依頼ばかりでした。最初のうちは確かに必要だよな…くらいの感覚でやっておりましたが、段々と比重が高くなり最終的にはさも当たり前のように求められるようになりました。

とあるマネージャーからはプロダクトメンバーの志向性としてフルスタック志向が強いため「手を動かさないでほしい。ティーチングして欲しいのでその方向でよろしく。」と言われました。

しかし、現場メンバーからは「インフラよくわかんないんで適当にやっちゃってください。正直めんどくさいんで全部お任せしたいです。」と言われました。(後々彼は重要性と面白さに気付いてくれたと思いますが…)

この時点でメンバーとマネージャー間で私に求めることに乖離があることがわかります。

あまりフルスタック志向を体現しようとしているメンバーは多くなかったように感じられましたし、そこに対して追求するような動きは見てとれなかったです。

残念ながら私の求める環境ではなく、技術者として業務を通して成長できるとは思えなかったためこちらも辞める決め手となりました。

3. 入社前後のギャップが埋めきれなかった

上記も含まれるのですが、入社前に聞いていた話と入社後のギャップが埋めきれませんでした。

複数プロダクトを並行してサポートしていたため、チームごとにスクラムの色を掴むことがまずは一苦労でしたし、使い分けに神経を払いました。

私の立場的にプロダクトの外から関わる形になるので、1対プロダクトメンバーみたいな構図になりがちでした。

今まで横断的組織がなかったがために、私のような平社員が横断的に働きかけた経験があまり多くなかったのかなと思います。常にroot権限による実行が多かったため、役職者の方々には認識がしにくかったのかもしれませんね。

こんな感じの意思決定のシェルがあったと思ってもらえればw

$ ls -l
total 20
-rwxr--r-- 1 root    root     995 Feb 23 22:00 strategy_execution.sh
-rwxrwxr-- 1 manager manager  646 Feb 23 22:00 strategy_proposal.sh
-rwxrwxr-x 1 manager manager  243 Feb 23 22:00 handling.sh
$ 
$ cat ./decision_common.sh
#!/bin/bash

if [$user = "root"]; then
  sudo ./strategy_execution.sh
elif [$user = "manager"]; then
  ./strategy_proposal.sh
else
  echo "deny your opinions"
  exit 1
fi
$ 

細かいエピソード

上記に書ききれないエピソードは山ほどあるので、こっから先は完全に愚痴としてに吐き出していきますので、嫌いな方は読み飛ばしてもらえると。

業務委託の管理

私が入社する前から業務委託のインフラエンジニアに来て貰っていたのですが、勤務体系が特殊でした。

・週4日はリモート(20:00-24:00)
・週1日は出社(16:00-20:00)
・上記についての引き継ぎは一切なし

なんの頭出しもなく、蓋を開けてみたら上記の勤務体系だったので本当に謎でした。

わたしが入社する4ヶ月前から働いてもらっていたのですが、その間やったことはどこにもドキュメントとして残っておらず、直接ヒアリングするか、Slack板から掘り漁るしかなかったです。

また正社員の定時は10:00-19:00なので彼が働く時間帯はほぼ定時外でしたが、作業に詰まった際やQAなどあった場合対応する必要があるので、基本私も自宅からリモートで対応していました。当然無給ですが、わたしの上司や彼を雇用した某POも黙認状態でした。闇過ぎて誰も触れてきませんでした。

彼は技術者として優秀でしたが、優秀なあまり色々なことを勝手に進めがちな部分があったため結構細かなコントロールが必要でした。(私が入社するまでの4ヶ月間はわからないが故にほぼやりたい放題でした。)

また入社前にわたしのスキルセット判断出来ないがために、彼に教育的な部分を依頼していたが故に上から来られることも多かったです。

確かにわたしは入社時にはエンジニア歴約3年しかなかったですが、その年数以外でも判断できるエビデンスはいくらでも出していたんですが残念ながら判断できなかったんでしょう。

結局わたしの体が持たないという理由から契約満了で更新はなしにしました。

結果的に誰も幸せになれずに中途半端な形で退場して頂く形になってしまったのは非常に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

入社前の評価基準

入社後に気付いたのですが、インフラ領域全くわからない人がどうやって私のスキルセットを評価できたのでしょうか?

ちなみに面接時の保有資格は下記です。

・AWS Certified Solutions Architect Associate
・AWS Certified Developer Associate
・AWS Certified SysOps Administrator Associate
・AWS Certified Solutions Architect Professional

これを持っている人間に対して、インフラエンジニアがいない事業会社がティーチングの役割をさせたい気持ちはわかりますが、その場合然るべき職務と給与を与えるべきかなーと個人的には思っています。

ちなみに評価クラスでいうと、私はチーム内のできる人くらいの感覚でした。

同じ評価クラスの人間に対して、ティーチングをすることは日常茶飯事でしたし、それどころかマネージャー層に実施することも少なくなかったです。

こういう職能を持った人材が専門職として評価してもらえない基準がちょっと私には合わなかったです。

給与面での不満

上記の評価と関わってくるのですが、開発やらせてもらえる前提ということだったので、年収が下がることを合意した上で入社しました。しかし結局インフラしかやらず、年収ベースで100万くらい下がりました。

それであれば他に条件の良い会社は山ほどありました。(事実今回の転職ではしばらくインフラにコミットすることで合意しているため遥かに高いです。)

まして今は空前の売り手市場と言われているので、市場感を理解した上で変えていかなければ難しいと思います。

特にインフラエンジニアはSIerやクラウドベンダーなどにキャリアを切っていく方が多いので、各社採用に苦戦しているので本当に必要なのであればそれなりの予算を用意すべきだと思っています。

今回の転職活動でそこは特に痛感しました。

カジュアル面談に行こうものならCTOや役員の方が出席してくれて、こちらの温度感や求める待遇など結構探られましたしその後の温め方も結構力が入っていました。また面接も通常の選考フローではなく、即最終が多かったです。

そういう扱いを受けると尚更、なんで繋ぎとめられると思ったんだろうと疑問しか湧かないです。

ちなみに今は倍の月給を正社員ながらいただいております。ありがたや。

前任のインフラエンジニア

私が入社する前に正社員のインフラエンジニアがいたのですが、1年以上前に退職されていました。

私同様一人で頑張っていらっしゃった形跡が所々にみえて、お会いしたことはないのですがめちゃくちゃ好きですw

しかし、そんな彼に対する評価を入社直後某POから聞いたのが未だに忘れられません。

「前任の彼は大したことないエンジニアだったから。」

あなたにインフラの何がわかるんですか?と思いました。某POも元々エンジニアの経歴を持つ人なので、それは絶対に言ってはいけない言葉だと思いました。

少なくとも私はどんなレイヤーで働いていても学ぶところはあると思いますし、本人のいないところで貶すようなことはしたくありません。

まして自分のわからない領域をやっているのであれば尚更私は何も言えないですし、最大限敬意を払います。

なので前任の彼は人としてもエンジニアとしても非常に尊敬していますので尚更人として信用ができなくなりました。

これからのキャリア

半年間でしたが、自分のコミュニケーションにおける未熟さを知るいい機会ではありましたので、全くの無駄という訳ではありませんでした。

しかし、また半年前に戻ったとして入社するかというと確実にしないと断言できます。今わたしの中で最も優先度が高いのはやはり技術なので、そう言った意味では合わない会社でした。

もしも現職の方が見ていれば、これが常にわたしが社内で喚き続けた総てであり、きっと知らなかったであろう入社前のできごとを知るきっかけになったと思います。

最後になりますが、半年間お世話になりました。自分の未熟さを学ぶいい機会になったと切り替えています。これからも伝統と文化を重んじ、成長していけることを願っています。

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