【読書感想文】イシューからはじめよ
みなさまごきげんいかがですか?
わたしはまあまあです。
先日までめちゃくちゃ詰まっていた問題がようやく解決できそうなので一気に心が晴れやかになりました。
先週1on1をやってもらって色々とすっきりした中で、タイトルの本をおすすめしてもらいました!最近はめっきり技術書ばかりでしたし、そもそも積ん読が溜まりに溜まっていたのでまた読書を習慣化させる1歩目として早速読んでみました。
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書評なんで大仰なことはできませんので、備忘録と整理を兼ねたただの読書感想文です。
大まかに下記の2つが全6チャプターに渡って書かれています。
- イシューとは何か、そしてそれを見つけるにはどうしたらよいか
- 見つけたイシューをいかにして解決していくか
前後半に分けて感想を書いていきます。
本書の伝えたいこと
冒頭の「はじめに」に記載ある内容が全てかと思います。
無駄なことをせずに効果的なことを追い求めるべき。
きっと著者はこれを伝えたかったんだと思います。
時間とは平等にだれにとっても有限で短いものです。しかし、人間は思考する生き物であるが故に思考しているつもりでも実は時間を無駄に消費してしまっている行動がある。人はそれを悩みと呼びます。
悩みの本質とは考えるフリであり、思考とは全く別のベクトルの行為であると説いています。恐らくこの話を聞いてぎょっとしたのはわたしだけではないと思います。
悩みとは問題解決とは程遠い行為であり、殊仕事に限っては無駄な行為であると言っています。
新人エンジニアによくかける言葉として「30分悩んでわからなければ聞いて〜」みたいなのがどの現場でもあったのですが、それと同じようなことがここにも書いてありました。
悩みの前提条件がそもそも問題解決という立ち位置ではないと筆者は説いており、効率を追い求めるのであれば積極的に排除していくような仕事の仕方が必要だと言っています。
これが本書において最も伝えたいことではないかと感じました。
前半部分 〜イシューを見極める〜
イシューを見極めるためにどのようなアプローチをしていけばよいかを本書の前半部分では書かれています。それらを自分なりに解釈しつつつらつらと書いていきます。
Chapter 0 序章
バリュー(価値)のある仕事とは何かをChapter 0では問うています。
筆者は横軸 : イシュー度、縦軸 : 解の質としたマトリクスを描き、その右上に位置する仕事こそバリューのある仕事だと主張しています。
本書のタイトルにもなっているイシューとは何か?
1. 2つ以上の集団の間で決着のついてない問題
2. 根本に関わる、もしくは白黒がはっきりしていない問題
これらの定義を満たす事象がイシューであり、イシュー度とは現時点でこの問題に対する答えを出す必要性の高さを現すと言っています。
そしてこのイシュー度を追い求めることこそ質の高い仕事に繋がると筆者は強く主張しています。
「誰もやらない仕事 = 需要がない仕事」と捉えることができる。つまりイシュー度とは需要の高い課題の度合いであり、仮に解の質が低くとも解決することでバリューの高い仕事につなげることができると言っています。
そのため何かに立ち向かうときは解を見つけることから始めるのではなく、まずはイシュー度を見極めることから取り組むことを推奨しています。
上述しましたが、時間は有限で短いため課題を解決できる時間はその人には一生で一定の時間しか無いわけです。その中で同じ時間をかけて解の質を高めていくのであれば、よりイシュー度の高い課題を解決することでよりバリューのある仕事を成し遂げる(即ち成果を上げる)ことができると思いました。
Chapter 1 イシュードリブン
前章で記述してあった通り、初手としてイシューを見極めることから取り組むべきだと筆者は述べています。
イシューを見極めるということはどういうことか?
まずは強引にでもよいので、具体的な仮説を立てることが肝心だと筆者は言っています。またその上でイシューの言語化が非常に大事だと説いています。
イシューや仮説を表現する上で非常に大事なポイントが以下の3点
1. 主語と動詞を入れる
2. WhyよりWhere, What, How
3. 比較表現を入れる
言語化が大事な理由としてイシューに対してチームで向かうためであり、そこが明確に共通認識取れていなければズレやムダが生じるためとしています。
上記を意識してイシューや仮説を言語化していきましょう。
またイシューを言語化していく中で、イシュー自体の質も上げていかなければなりません。よいイシューとはなにか?の条件については以下3つです。
1. 本質的な選択肢である
-> 答えによって今後の検討方向が変わる分岐点のような選択肢 ビジネスにおいては流動性があるため変わることもしばしあることに留意する
2. 深い仮説がある
-> 慣習 / 常識を疑い、否定しうるだけの考えを持つこと。また「新しい構造」という観点で共通点をもった2つ以上の情報を基に新たな理解を深める
3. 答えを出せる
-> 既存手法や上記の手法を用いて解に導くことに注力すべきだが、世の中には答えが導き出せない問題もあるということも認識すべき
またこれ難しいなと思いましたか?わたしもなので安心してくださいw
これらを意識してよいイシューを設定していく必要があります。
イシュー特定のための情報収集
上述してきたものを組み立てるために情報という材料が必要です。
ただし立ち向かうイシューが必ずしも自分の知見のあるものとは限りません。そのため以下の情報収集のコツをうまく利用して大枠を捉えていくことが重要です。
1 . 一次情報に触れる
->百聞は一見にしかず、細かな機微にも気付けるように自分自身で得たものを情報源とすること
2. 基本情報をスキャンする
-> 常識 / 基本的 / 業界構造を一定の塊として認識する 素早く把握することを念頭に置く
3. 集めすぎない・知りすぎない
-> 知り過ぎ : 情報過多により自己視点がなくなり知恵が出なくなるため
集め過ぎ : 情報収集はある時点を境にスピードが鈍化するため
これらを意識して仮説立てやよいイシューの設定のための情報収集をしていきましょう。
イシュー特定の5つのアプローチ
イシューを見つけられない場合のアプローチとして、上記を繰り返すことと共に下記を使った方法があると述べています。
1. 変数を削る
-> 問題の関連する要素をグルーピングや固定したりすることで検討すべき範囲を絞る
2. 視覚化する
-> グラフや図にすることで脳のメモリを開放する
3. 最終形からたどる
-> ゴールを先に設定し、そこから逆算的にイシューを構造化する
4. 「So What?」を繰り返す
-> 漠然としたイシューに対し複数回なぜ?を問いかけ仮説を立てていくことでイシュー度の高い問題に辿り着くことができる
5. 極端な事例を考える
-> 複数の要素について考える場合、共通する基本的な要素(環境や基盤)を極端に仮定してみて比較検討するとどれが重要な指標なのかを特定できる
これらの手法を用いてイシューを見極めていくことが大事で、それでも答えがでないものはあると筆者は言っています。その場合はほかに本質的なイシューを探しなおすことからはじめようと伝えています。
無限に時間を使うのではなく、ここまでやってダメならそもそも道が違うよという認識を持つことが重要な気がしました。
後半部分 〜解の質を上げる〜
前半部分でイシューを見極めることにフォーカスした話を読んできましたが、後半についてはイシュー度を上げるだけでは筆者の言うバリューのある仕事ができないと綴っております。
Chapter 0にあった通り、そこには順番関係があるだけで解の質も縦軸として重要な要素であるため後半部分はそこにフォーカスして読んでいきたいと思います。
Chapter 2 仮説ドリブン① ストーリーラインづくり
解の質を高め生産性を上げる作業をイシュー分析と言い下記の二つの作業に大分できると述べています
1. ストーリーラインづくり
2. 絵コンテづくり
ストーリーラインづくりはイシューを基に組み立てていくが、これらも以下の2つの作業に大別できる。
1. イシューを分解すること
2. 分解したイシューに基づいてストーリーラインを組み立てること
1. については前半部分で学んだとおり、まずはイシューを見極めるということがベースとしてありますね。イシューを設定してもまだいくつかの要素(変数)があるためそれらを意味のある形で切り分けて分解したイシュー(=サブイシュー)を明確にしてからはじめてイシューに取り組むことができるということだと思います。
サブイシューに分けていく上で重要な考え
1. ダブりもモレもなく
2. 本質的に意味のある固まり
上記を実現するために一定「型」を用いることができると筆者は述べています。イシューや仮説の表現でも出てきたWhere, What, Howを型として使うことができるらしい。
WHERE - どのような領域をねらうべきか
WHAT - どのような勝ちパターンを築くべきか
HOW - 取り組み方法をどう実現していくか
これらに加え、自らの経験や知見を基に自分の視点を加えた型を形成していくことがよりよいサブイシューに繋がると書いてあります。
このようにして少しずつ型を成熟させていき、より練度をあげていくことが解の質を上げることに大いに役立つと感じました。
反面、型に当てはめられないイシューもあるがその際は逆算して(ゴールから)考えることが有効であると述べています。
それらの手法を用いて切り出したサブイシューをChapter 1で出てきたように仮説を立てて取り組んでいくことが大事だと言っています。つまり、ここまで学んできた手法は順序立ててありそれらは前後することなく常に一定の大きさのイシューに出会うたびに繰り返し実施すべきものなのだと思います。
ここまできてようやく個々のサブイシューに基づいたストーリーラインを組み立てることができる。(長かった…。)
ストーリーラインは決して不変なものではなく段階によって変化し、必要な役割が変わってきます。以下はそれらの段階においての役割です。
立ち上げ段階
何を検証するためにどのような活動をするのかの軸となる
分析 / 検討段階
イシューに対する仮説の検証可否を判断する軸となる
まとめの段階
最終段階ではアウトプットのための資料やプレゼンの軸となる
すべての段階において軸となるストーリーラインを作成するにもまた型を利用することができる。
ストーリーラインの2つの型
1. WHYの並び立て
-> 最終的に伝えたいことに対する理由や方法をダブりモレなく並列させる
2. 空 / 雨 / 傘
-> 課題の確認(空), 課題の深堀(雨), 結論(傘)と順序立てて結論に結びつける
この手法の違いとしては1. は最終的に伝えたいメッセージに対して、異なる角度からのアプローチで理論付けを行っている。2. では最終的に伝えたいメッセージを起点とした循環を描いており、課題を深堀して結論を出してメッセージに理論を持たせるように働きかけている。
この2点はどちらが優劣ではなく、その時々に合わせてアプローチを変えていく必要があり2つの型があるという認識があるだけでも随分考え方の幅が広がるように思ったので忘れないように日々意識していこうと思います。
Chapter 2 仮説ドリブン② 絵コンテ
相手が納得するための分析イメージをつくる作業を絵コンテと筆者は呼んでいます。サブイシューごとに必要な分析のイメージがコンテとなり、それらがアウトプットの青写真となります。棒グラフてあったり分布図であったり形は様々ですが、どのような結果になるか仮説を基にこんな完成図になるだろうな、というものを描くといった流れをわたしはイメージしました。
筆者も大胆に思い切って描くことをポイントとして指摘しており、「どんな分析結果がほしいのか」を起点に分析イメージを作っていくことが重要だと述べています。サブイシューの検証に必要なデータをイメージ化することで、そのデータを取るための方法まで飛躍して考えることができるイメージがよいイメージだと言えるそうです。
絵コンテづくりの3つのステップ
1. 軸の整理
-> 分析とは比較であり、それらを可視化するタテ軸 / ヨコ軸を基に比較した結果イシューに答えを出すことに直結するようなものとすべき
2. イメージの具体化
-> 軸の整理が終わった後には具体的な数字を入れて結果のイメージをつくる。そうすることで必要なデータの形や粒度が自ずと見えてくる
3. 方法の明示
-> どのようにしてデータを取るのかを最後に加える必要がある
このあたりも具体例を交えつつ書いてあったのですが、現時点で理解が及ばず自分の中でまとめきれなかったので概要だけに留めておきます。
イシューは多岐に渡り様々な分野での分析が必要になるが、どの分野であっても一定使いこなそうと思えば相応の経験年数が必要になる。
そのためそれらを補ってくれるようなご意見番のような人や相談相手に頼るということも解の質を高めるために重要だと述べている。
すべて1人でやろうとするのではなくチーム、時には外部の人をも巻き込んで解の質を高めることの重要さがわかりました。わたし自身まだまだ自分でなんとかしようとする傾向が大いに強いのでまずはチームから巻き込んでいけるようにしようと思います。
Chapter 4 アウトプットドリブン
このチャプターの冒頭では「限られた時間で、いかに本当にバリューのあるアウトプットを効率的に生み出すか」というゲームだと述べている。
- イシュー度の高い活動に絞り込む
- アウトプットの質を高める
このようなルールのある種スポーツにも似たステップだと書いてあります。
ここまでで分解してきたサブイシューを片っ端から倒していくのではなく、その中でも最も影響度の高いものから取り組むことを初手として勧めています。つまり、まずは影響度の分類から始めようやく分析やそれに纏わる活動が始められるようになります。
理由としては前半部分でイシューは流動性があるということに注意すべきとありましたが、この段階で根底から覆ることは往々にしてあるためだと述べています。
また検証を進める際に仮説=答えと錯覚してしまうことが慣れていないうちは起こりがちだと言います。答えありきで検証をするのではなく、答えが出ないこともあり得る(そもそものイシューが誤っている)可能性も念頭に置いておく必要があると思いました。
アウトプットを生み出す際には様々なトラブルが付き物です。
そのトラブルとその対処方はざっくりと以下になります。
1. ほしい数字や証明がでない
- 構造化して推定する
- 足で稼ぐ
- 複数のアプローチから推定する
2. 自分の知識や技では埒が明かない
- 人に聞きまくる
- 期限を設けて別の手法に切り替える
これらの方法で様々なトラブルを乗り越えていきましょう。
またこのチャプターで書いてあった下記が個人的には非常に参考になったので、要約を書き残しておきます。
回転率とスピードを重視する
・停滞しないこと
-> 丁寧にやりすぎることが停滞の要因となる
・完成度は重要視しない
-> 検証/回ごとに完成度を気にするのではなく検証回数を上げる
一つ一つの検証精度を上げるのは大事だが、一度出た結果をこねくり回して完成度を追い求めようとすると膨大な時間を要すると筆者は述べています。
そのため完成度を追い求めることで、スピードと時間を同時に失うことになります。昔わたしが教わった言葉で「巧遅よりも拙速」と口酸っぱく言われたことを思い出しました。PDCAサイクルなどでも同じですが、如何に検証を早く回していくかに注力することがここでは重要だと思い出させられました。
Chapter 5 メッセージドリブン
最終的な成果物としてアウトプットする際にここでも大事なのがどのような状態であれば終わるのかという具体的なイメージを初めに思い描くことだと述べています。
そして受け手が下記のような状態になるように仕上げていく必要があります
1. 意味のある課題を扱っていることを理解してもらう
2. 最終的なメッセージを理解してもらう
3. メッセージに納得して、行動に移してもらう
そしてそれらを伝える際に受け手は「賢いが無知」であるということを理解しておくことが重要であるとも記載されていました。
ここまでを整えたらあとはイシューの解決に集めたものの中から本質を解決するものだけをシンプルに受け手に伝えることだけで十分だと感じました。
必要のない情報は受け手に混乱を招き、理解から遠ざかってしまうため極力無駄を排除することが大事だと筆者は述べています。
ここから先は具体的に論文や資料作りをどのように進めていくかという内容でしたので割愛します。
所感
非常に学びのある本だと思いました。
中には知っているような内容もありましたが、自分ができているか否かを常に問われる内容でぎょっとする場面が少なくなかったです。
「やらないということはたとえ知っていても知らないと同義だ」という言葉を聞いたことがあります。まさにわたしはそうだったなと、べき論だけの頭でっかちになりつつあったな…と痛感しました。
ページ数はそんなに多くはないのでさらっと読んでしまえば1, 2時間で読み終わると思います。しかし本書には基本的ではありますが、多くの方が蔑ろにしてしまっていることが例を交えてわかりやすく書いてあったため非常に読み解くのに時間がかかりました。
実際まだよく理解できていない部分もあるので、日々の活動に取り入れつつ理解を深めていこうと思います。
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