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おいしいの裏の、物語。

先日から改めて、韓国の「食」について、色々と見ていました。
最近は韓国でも各地のローカルメニューなどが改めて注目されているようで、リピーターが多いと言われる日本からの韓国旅行者でも、ソウルや釜山から一歩踏み出した、近隣の名物料理などを食べたりしている人も多いかと思います。もう韓国料理の定番メニューになっているプデチゲも、元はソウル郊外の地方都市で生まれたローカルメニューですね。

さてそんなローカルメニューですが、京畿道(ソウル近郊を管轄する「県」に相当する区分)の観光公社が、こんなサイトを作っています。

ソウル近郊でも色々あるんだな~。華城や安山のアサリのカルグクス(細切りうどん)や利川の白飯は現地の名産品だわなー、いま華城や安山は海から遠いイメージだけど干拓が進むまではもっと内陸まで海が迫ってたしなぁ。楊平の冷麺は「望郷の味」、韓国各地にある北側出身で戻れなくなった人たちが望郷の念で作った料理ですね。先述の議政府のプデチゲ(部隊チゲ)もありますね。朝鮮戦争後の駐留米軍が関係して生まれた料理も、各地に色々あるようです。龍仁の白岩スンデは食べたことがあります。畜肉市場が近くにあれど滅多に肉を食べられない庶民が生み出した腸詰料理。野菜が多くて美味しかったなぁ…。見た目はちょっと、アレですが(苦笑)。

そして、ふと気になった見出し。二東のカルビ。

抱川市と言えば結構な内陸というか中山間地。

なるほど、牛とか豚の産地とかありそうだよな~。母の愛情かぁ~、広州のソモリクッパは妻の愛情から生まれて、ここは母の愛情から生まれたのかぁ、なんて、のほほんと考えながらリンクを辿ると…

思っていたより、想いが深い、ものでした。
兵役に絡んで生まれる名物料理。日本に居ると、なかなか想像の付かないものです。韓国の男子は兵役が義務。特段の理由がない限り、19歳から20代の食べたい盛りの息子を2年ほど手元から離し軍に預け、面会もままならなくなる。そりゃ、数少ない面会のタイミングなら、腹いっぱい肉を食べさせよう、そう思うモノでしょうね…。

ちなみにこの二東カルビ、抱川市の公式サイトでは、こう記載されています。

綺麗にまとめていますね。これもまた韓国らしい、浄化した紹介スタイルですね(苦笑)。

韓国のガイドサイトとしての代表格KONESTでは、こんな紹介になっています。

京畿道(キョンギド)北東部の抱川(ポチョン)市二東面(イドンミョン)は、軍事境界線に近く、昔から軍部隊が多いことで知られてきました。厳しい軍生活を送る息子が休暇や外出で一時的に外に出る機会があれば、家族で面会に行くのは今も昔も珍しくない韓国。空腹の息子を連れた家族たちの多くがまず向かったのが、貴重な牛肉を安価に提供する部隊近くの焼肉店だったと言います。

このように京畿道観光公社と同様のストーリーが示されています。
ではガイドサイトの双璧をなすソウルナビを見て見ましょう。

昔この地区には、屠畜場がありカルビを安く提供できることからこの周辺にカルビのお店が増えたんだとか。屠畜場の無くなった後もその名残から、この辺りはカルビ通りとして有名で…

あらま、そうなんですかね(苦笑)。

また、どこのお店を見てもウォンジョ(元祖)と書いてるのが韓国らしいところ。

身も蓋もないとは、このことか(苦笑)。

しかし、これも、たぶん全て、なにかの「物語」の、一場面。
どの物語を想うかはともかく、その物語を知ったうえで食べると、また味わいも、変わってくるのでしょう。

あ~カルビ食べたい!二東で!!
ところで観光公社はテジカルビ(豚)、KONESTは牛カルビ、ソウルナビは特段の記載なし。どっちのカルビが名物なの~?

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